十二話 ユニークモンスター
俺は少年のいる方向へ駆け足で向かった。俺が雑草を踏みつけながら、少年の元へたどり着くとそこには一体の魔物と少年がそこにはいたて、異様な雰囲気が漂っていた。
一体の魔物がその少年の方向へじりじりと近寄っていた。
その魔物がいつもの魔物の雰囲気と異なっていた。
その魔物は普通のスライムのような感じがするがなぜかいつもと同じ水色ではなく、無色透明であった。
この異様な雰囲気に戸惑っているとピースが話しかけてきた。
「まさかここでユニークモンスターと遭遇するとは、廉さんは下がっていてください。私が処分してきます。」
ピースはどこか焦っているような表情をし、スライムの方へ走っていった。
ピースの速さに俺は目で追うだけで精いっぱいだった。
ピースがスライムの核を握りつぶそうとスライムの体の内部に手を入れようとしたとき、スライムとピースの間に一人の人影が割り込んできた。
その人物は俺でもなくあの少年であった。
ピースもさすがに少年を殺るのはまずいと思ったのか間一髪、少年とピースの拳があたるかあたらないかのぎりぎりの距離で止めた。
「ダメだよ!この子は僕の友達なんだ!倒すな!」
少年の言う通りスライムからも不思議と敵意を感じなかった。
俺はふと不思議に思い、少年の事を鑑定した。
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[名前]荒川ロエル
[年齢]9
[身長]129
[ユニークスキル]テイム
[テイム中の魔物]スライム
[スキル]没頭
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「ピース、この少年あのスライムをテイムしているけど」
「そうなんですか。それなら大丈夫ですね。」
ピースもこのスライムをあの少年がテイムしていると聞き、戦闘の意志を消した。
場がいったん落ち着くと俺は体をかがめて少年へ訪ねた?
「なあ、少年はどうしてここに来たの?」
「いつもと見慣れないものがあって、気になったから入ってきた。そしたらこのぷにぷにとした生き物と会って気づいたら友達になってたんだ!」
そう言って少年はスライムを抱きかかえるようにすくい上げた。
俺は一瞬だけヒヤッとしたが本当にテイムされているようでスライムは俺達に攻撃を仕掛けてくるような素振りは見せなかったので話を続けた。
「いいか?少年はもしかしたら今死んでいたかもしれなかったんだぞ。そしたらお父さんとお母さんが悲しむじゃうだろ。だからこういう危険なことはしないように」
少年の身の危険が起こって親が悲しむ顔を想像すると胸が痛くなった。俺も同じようなことを経験したことがあるから少しだけ強くいってしまったかもしれない。俺の話を聞くと少年は何も言わずうつむいてしまった。
これは確実に言いすぎたな。と少し後悔し、少年の機嫌を取り直そうとした。
「まあ、少年は魔法使いにあったおかげで無事に助かることができたんだ。」
「魔法使い?おじさんが?」
おじさん、、、まあ、もう子供から見たらそうみられるのも仕方がないか。
「う、うん、そうだ。おじさんが魔法使いなんだ。だから君の名前なんてすぐにわかっちゃうんだ。君は荒川ロエル君だよね。」
「そうだよ。もしかして本当に魔法使いなの!?」
ロエルが少し興奮した様子で話しかけてきた。ちょっとずつ機嫌を取り戻しているようで少し胸をなでおろした。
「ああ、もちろんだとも。もっと魔法が見たいか?」
「うん!」
「じゃあ、今度は一緒に魔法を唱えようか一緒にステータスと言ってみよう。そしたら不思議なものが目の前に現れてくるよ。じゃあ、いくよ、せーの」
「「ステータス」」
すると俺の目の前にステータスが現れた。
「すごい!ほんとに現れた!」
ロエルの目の前にも現れたようだった。
「そうだろ!もう一回唱えるとそれを閉じることができるよ。」
「ステータス、、、ほんとだ!」
「すごいだろ。よしそろそろ時間だし、一緒に帰るぞ!」
俺はロエルと手をつないで出口へ向かっていった。その後ろ姿はまるで年の離れた兄弟のようだった。
俺らが外に出ようとすると一つ問題が生じた。
「もう自衛隊が出口を封鎖しているな。」
もしかしたら俺達は閉じ込められてしまったりするのではないか?
まず、人がいるとばれるのはまずいからとりあえず物陰に隠れたが八方ふさがりだった。
「なあ、ピース何とかならないか?さすがに」
「なりますよ。一応こんなこともあろうかと思って準備してました。ダンジョンマスターの権限で家の物置に転移するようにしておきました。」
「有能だな。」
「どうやって転移するんだ?」
「そこらへんはめんどくさいので私がやりますね。」
と気づけば地面に転移陣のようなものが組まれていて、はたまた気が付いたら地面が光っていて、はたまた気が付いたら別の場所に移動していた。
そこは俺達にとっては見慣れた光景であった。
「こんな機能があったんだな。」
と感心していると隅の方から声が聞こえてきた。
「これは何なんですか?廉さん」
奏は俺の方を向いてそういった後、俺と手をつないでいる小さい少年を見て、奏は慌てた表情で俺の手から奪い取るように少年の手を取った。
「私は廉さんがそんな人だとは思いませんでした!おとなしく刑務所に入って刑期を全うしてください。」
え~っ誤解なんだけどな。完全に自分の世界に入っちゃっているし、何か言おうものならまたよからぬ誤解をされてしまう気がする。
「違うよ!お姉さん、このおじさんは魔法使いなんだ。そして僕の事を助けてくれたんだ!」
「もう大丈夫だよ。こんなヘンテコ魔法使いの魔法にかかってしまったって、私がその魔法から解き放してあげますから!私が必ずお母さんの元まで無事に返してあげるからね。」
「奏、ちょっと、一回落ち着こう。」
「何が落ち着こうですか?この誘拐者が」
この感じは絶対に駄目だ。もう俺にはどうすることもできない。
「おい、ピース、何とかできない?」
「奏さん、この部屋の違和感に気づかないですか?」
「そういえば、この部屋、広く感じたような気がします。」
「そうです。この物置自体に魔法をかけているのでこんなに広々に感じることができるんです。
例えばこんな風に部屋を狭くすることだって可能です。」
するとピースがいきなり手を動かした。するとピースの手の動きと同じように部屋が狭くなったり広くなったりした。
「こんな風に世界には超常現象と言えるような不思議なものがあります。その一つの例としてダンジョンです。ダンジョンはご存じですか?」
「あの新しくできた不思議な奴ですよね。」
「そうです。その首謀者は私とマスターです。そしてなぜ今のような状況になっているかというとその少年がダンジョンにひとりでに入っていってしまいマスターが「くっ、まずい、助けに行かなくてはあの子が死んじゃう!」と言って、気づいた時には颯爽と少年の事を助け出していたんです!」
とピースが公明正大に話し始めた。多少持っているところはあるが奏を納得させるためとしょうがないと口を出さなかった。
「そ、そうなんですね。勝手にお騒がせしてしまいすいませんでした。まあ安心しました。誘拐犯ではないということが分かって」
俺たちの話がちょうどきりよく終わったときお母さんの声が外から聞こえてきた。
「奏ちゃん、ご飯作るの手伝ってくれない?」
「じゃあ、私は呼ばれているみたいなので行きますね。できる限り早くお母さんに帰してくださいね。お母さんが心配してはダメですから。」
といって奏は物置から出て行ってしまった。
「よし、もう日が暮れ始めているし、なるべく早く帰らせないとな。ロエル、家までの道ってわかるか?」
「うん、僕覚えているよ。」
「よし、じゃあ行くか!」
俺はそう言ってまたロエルと手をつなぎ、ロエルの助言をもとに家まで送っていった。
俺たちがちょうど公園の横を歩いていたときそこには自衛隊のような人と野次馬であふれかえっていた。
これは危なかったな。このまま外に出てたらきっと今頃、全世界で注目の的だった気がする。
いやそんな世界線も案外悪くなかったかもしれないな。
俺はこんなどうでもいいことを考えながら公園の横を通り抜けていった。
そしてその公園から5分ほど歩き、気づけば少し古びれたアパートにたどり着いていた。
「ここがロエルの家?」
少し古びれていたが家の中には机、ソファなど必要な家具はそろっているようだった。
「そうだよ。おじちゃん達も座りなよ。」
俺達はロエルに言われ、ソファーへと腰を掛けた。
「じゃあお母さんはどこにいるかわかる?」
「お母さんは今も仕事で働いているから、帰ってくるのはあと4時間後くらいだよ。」
「じゃあ、その間はどうするんだ?」
「本読んだり、勉強したりしているよ。将来たくさんお金を稼いでお母さんに楽をさせてあげるんだ!」
そう豪語していたロエルの表情はとても自信に満ちていた。
「じゃあ俺が一緒に遊んでやろうか?」
「うん!いいの?」
「当たり前だろ。じゃあ何をして遊びたい?」
「じゃあキャッチボールがしたい。わかった。でも今日はもう日が暮れちゃっているからまた明日な。明日なら学校も休みだろ。」
「わかった。じゃあ約束だよ。明日必ず来てね!指切りしよう」
「わかった。」
「指切りげんまん、嘘ついたらハリセンボンの~ます!指切った!」
そういうと手にスライムを抱きかかえたまま眠ってしまった。
俺はロエルを抱っこし、布団の中に入れると静かにその場を去っていった。
俺は帰り道の途中に一つ疑問に思ったことをピースに尋ねた。
「そういえば、どうしてピースはあのスライムを見つけた瞬間、倒そうと思ったんだ?」
「ユニークモンスターというのは普通の魔物が百体そろっても倒すことが難しいんです。ましてや塩水だけで簡単に倒せるような敵ではなかったので、ここは早めにやったほうがいいと思って、倒そうとしたんですが、ロエルさんにテイムされていて、危害を与えるとは思わなかったので倒すのはやめましたね。」
「そんな理由だったなんだな。案外ピースはマスターの事を考えていたんだな。」
「それは、もちろんこんなとこで死ぬのは惜しい存在ですから。」
「なんか鼻につく野郎だな。」
「それはマスターも同じですよ。」
俺達はどうでもいいような話をしながら帰路へ着いた。




