救出?
俺は新しくできたダンジョンの中へ足を踏み入れた。今ままで準備段階のダンジョンには何度か入ったことがあったがある意味これが初めてのダンジョンということになった。
中へ入るとまず視界の先に広がるのは平原であった。あたりが平らであたりが一望できるおかげで少年の後ろ姿はすぐに見つけることができた。俺は亀のようにのこのこと歩いている子供に大きな声で話しかけた。
「おーいこれ以上先に進むと大変だよ~、戻ってきな~」
と少年に引き返すように促したが、俺の声が聞こえてない、聞こえてないふりをしているのかわからないが少年は足を止めることなくひたすら歩き続けていた。少年は周りにいる魔物たちに目もくれずに一直線にどこかへ向かっていた。
少年の後ろに迫っているスライムたちは少年との距離をじりじり詰め始めいずれ追い付いてしまいそうであった。
俺はとりあえずスライムと少年との距離を開けようと思い、地面に転がっている小石を拾い上げ、スライムに向かって投げた。
俺が投げた石はスライムへときれいな軌道を描いて飛んでいき、スライムの体にぶつかり、スライムの体内に入り、消化されると同時にスライムは後ろへ振り返り、俺らの方に気が付いたようだった。
少年を狙っていたスライムたちがこっちに雪崩のように押し寄せてきた。
「なあピース、思った以上にスライムの数、多くないか?」
俺は今向いている方とは逆の方を向いて、走り出そうとした。
「そうですかね。そんなに多いとは思いませんがむしろ少ない方じゃないですか。」
「それはお前だから言えることかもしれないぞ。このままだとスライムに食われて死んじまうぞ。俺は一足先に避難させてもらうよ。」
と言って走り出した。
さすがにこの数の魔物を引き寄せたら少年の方へ行かないし、いったん巻いてからでも大丈夫だろう。
俺が全速力でスライムから逃げているとさっきまで突っ立っていたピースが俺の片手を握った。
「ピース、おい、何してるんだ。」
「何って、マスターこそ何しているんですか?逃げてたら成長しませんよ。」
「いいか、これは戦略的撤退だ。いいから手を放せ。」
「わかりましたよ。」
そう言ってピースは手を放し、俺はまた走り出した。そんな俺にピースは話しかけてきた。
「逃げてばっかでは一生勝利をつかむことは無理でしょう。昔と同じようにそうやって逃げてけばいいんですよ。」
ピースの言葉が俺の脳内でリピートされ、俺は素早く回転していた足を止め、スライムたちの方向へ向いた。
「いいぜ、そこまで言うならやってやるよ。ピースさん」
薄々こんな風になるとわかっていたから俺は準備も怠らなかった。
俺はポケットに手を突っ込み、ある液体状の物を取り出した。
これは「塩水だぜ!」
俺は霧状に発射する百均という特別なところから格安に仕入れ、そこに塩水を入れて完成させた対スライム特化武器名付けて「スライムバスター!」だ。
俺は両手に握りながらスライムの方へ駆け出していった。
なぜこの武器がスライム特化型武器と言われているのかというとこいつをかけることでスライムの体が縮小されるんだ。理由はわからないがまあこの海水のおかげでスライムの核がわかりやすく、足で踏みつけて倒すことが可能になる。
これが俺がダンジョンを作る間にやっていた研究だ。
俺はひたすらスライムに塩水をかけて、足で踏む、この動作をまるで作業のように行っていた。
「よし、ラスト一匹だ。」
俺はへとへとになりながら最後の一匹に塩水をかけ、足で踏みつけた。
俺は最後の一匹をやったのを確認するとその場に仰向けに倒れ込んだ。俺が天井を見ながら意気消沈していると視界の中にピースが入り込んできた。
「マスターはなかなか性根が悪いですね。それよりあの少年の事は大丈夫なんですか?」
「そんな心配ならお前が確認しに行けばいいだろ。」
「私は人の死に興味を感じたことなどありません。人が死のうが死なないかなんてどうでもいいんです。」
「どっちの性根が悪いんだか」
俺はすぐに立ち上がった。
「ピース、あの少年はどっちに行った!?」
「あっちです」
とやる気がなさそうな声でピースが正面の方向へ指をさした。
俺はピースがさした方向へ走っていった。
待ってろ少年、今助けに行くぞ!




