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マサヒロの日常  作者: 姶良裕香
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1+1=田んぼの田

やくもまあグダグダと話せることだわ


そう語るのは隣人の米田だ。米田はかれこれ30年ここに住みここから大学院に通っている。


俺は米田に人生について聞いたんだ。これこらどうなるんだと。


すると米田は持ってきた一升瓶の酒をゴクゴクと飲み干しプッハーと生暖かい息にこう言った。


だからお前はヒヨッコなんだよ


空になる瓶を目の前に虚ろな瞳を見開く米田。その目はいつになく細かった。


いいか、人生ってのは見ようとするから見えなくなるんだ。いつだってそうだ、飯を食ってるときだって人と会ってる時だって見えてるから見えてると思い込むんだ。実在するものだってな。けどな、、、


米田はふらふらとする足取りに自分の部屋に戻り一冊の本を持ってきた。


お前にこれがわかるか?


差し出される一冊の本。曲がりなりにもナニする本。捲り荒らした跡のある米田のバイブル、エロ本だ。その名も緊縛奴隷。


いいか、目に見える情報だけが真実じゃない。真実は立ち上がるナニがあるかどうかなんだ。ナニをナニしてる時だってナニは意識を持たない、ナニは何者でもないナニなんだからな。


米田はぐぐっと酒を開ける。口から溢れる滴りはやけに旨そうに感じた。


なあ、おっぱいは何キロだと思う?


は?キロ?


唐突にも米田はマジマジと見つめてくる。俺はナニを意味してるのかわからず聞き返す。


それは重さのことか?それともおっぱいにおける食塩の比率か?


がっくりと肩を落とす米田。


違う。、、、おっぱいは60キロだ。


米田は俺の顔前に手を広げる。


いいか おっぱいはあるものじゃない。感じて見つめるものだ。目の前にあるだけならナニは動かない。そこに想像をたすからナニが動くんだ。それは匂いだとか柔らかさだとか色々だ。だがな、俺のナニはもう満足しないんだよ。それだけではもう立ち上がらないんだよ。


悲しそうにうつ向く米田。俺は何も言えないでいた。


だけどな、俺は知ったんだ。おっぱいは自ら未来を求めて走っているんだと。


高らかに手を広げ天井に向ける米田。


時速60キロ。それがおっぱいだ。


米田は厭らしいほど男前の顔をする。


時速60キロの風はDカップに相当する。100キロならFカップ、、、、、、なら120キロなら、、、カップ、、だ


米田は言い切る前にその場に倒れ落ちた。何も持たない両手は茶碗が入る程の広さで固まっている。


(イビキ)をかく米田がナニを言いたかったのかわからない。だが俺にも知っていることがある。そんな米田に教えてあげよう。


ナニはリンゴの固さが理想的らしいと。



要するに暇なのである。


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