解き放たれた扉を開く
辛うじて残ったのはたった一枚のブリーフだけだ。
目の前で手を振るポンパドール頭のサザエさん。次にお前は何を出してくる。息詰まる喉に乾いた咳を鳴らし俺はそっと手を掲げ人差し指で甲をなぞる。
次こそ決める。
ゆるりと下ろす手の先で白い猫が腰を振る。提供はご覧のスポンサーでとエンドロールが流れ始めた。
よし、、こい、、こいよ サザエ
俺は拳を握り睨み付ける。サザエさんは軽やかにリンゴから飛び降りる。
フフフ あなたはもう 終わりよ。
どうだろうな。
サザエさんの言葉に俺は一瞬怯えてしまった。なぜ俺はこんなことをしているのだろう。なぜこんな格好になっているのだろう。なぜ、、、なぜだ。
今までどれだけの仕打ちを受けたと言うのだろう。どれだけの業を背負っているというのだろう。たった数少ない生命にどれだけの想いを貫けたというのだろうか。俺はこのまま負けるのか。俺はまた負けてしまうのか。
、、、いや、、、負けない、、、負けることはない
そう。俺は生き、立ち続けなければならない。そう、今までの人の分まで。俺は勝ち続けなければいけないんだ。
フフフ
サザエさんは俺を見透かしたようにカードを掴む。
いざ勝負。
ジャーンケーン、、、、ポン
俺はパー
サザエさんは、、、チョキ
、、、ま、、けた、、、だと
絶望たる淵に叩き落とされた俺の心は生命の光を失い地の底へと突き落とされる。
、、ごめん、、みんな、、ごめんな
走馬灯のように悲しげなエンドロールは俺の最後を飾るように謳いだす。
来週のサザエさんは、、
落ちていく俺の心はすみきった声に引っ張り戻される。うっすらとした瞳に画面を見上げる。
そこには笑顔で手を振るサザエさんがいた。
終わるのはまだ早い、はやく支度しな
、、、そうかよ そうかよサザエ
俺はゆっくりと立ち上がり裸になる。
もう一度勝負だ
俺は脱いだ服を全部着込み直し、ビデオデッキを再再生させる。
いざ勝負、脱衣じゃんけん
サザエじゃんけんだけを取り出したじゃんけんビデオ。くれた蒲生のおっちゃんに感謝だな。
要するに暇なのである。