願いは遠くに祈りは叶う
ガタガタと古ぼけたモーター音を鳴らす冷蔵庫はたまに萌えるような喘ぎ声を発する。それも厭らしいほど妖艶な歌声で。これが人ならなと思いながら俺は麦茶を取り出す。
クゥーン、、ンン、、アン
やはり喘ぎやがった。俺が何かを取り出す度に喘ぎやがるんだから。これはもう俺のこと好きだろ、、こいつ
続いて鶏ガラの蒸し焼きも取り出す。今度は何も言わずモーターを鳴らした。
高さ10㎝ほどのテーブルに麦茶と鶏ガラを置き、箸を爪楊枝のように扱う。鶏ガラはバーベキュー串の肉のように何枚も連なっていく。
あーん
唾液を溢しながら大袈裟に口を開く。一口二口三口、重なり合う鶏ガラはレースのリボンのように淡い光沢を魅せ、清潔感溢れる踊り子のように俺の口へと飛び込んでいく。
ニッチョニッチョ
喉にへばりつく独特の甘味が口の中で広がり円を描くように舌の上で転がる。それ故に麦茶で一気に流し込む。
ゴッキュン ゴフッ
たまに喉に突っ掛かる鶏ガラのカスはいつになく反抗的な態度をみせる。まさに
青天の霹靂。
だが、上手い。やはり上手い。
これで誰かと食べれればより一層上手いのだろう。
冷蔵庫は一人寂しく喘いでいる。
要するに暇なのである。