またそれがいい
俺は久しく行っていない店へ何の気なしに足を運ぶとそこに清田がいた。清田はゆるっとふわっとした膝たけまであるダボダボのトレーナーにショートパンツ姿でピンク色の櫛を選んでいる。さぞ気になっているのだろうか、両の手でまさぐるように同じ品を順繰りと見定めている。
声をかけない方がいいか
誰でもそうだろうが集中してるときに声はかけられたくない。俺はそんな事を思いながら清田から離れるように隣のブースへと向かう。店内は軽やかな曲調にアナウンスが流れる。
お一人一品とさせていただきます。
新商品ロイヤルブレスレット、CoQ10と書かれるPOPの簾をくぐり目当ての棚へ来た俺はしばし悩む。それは小田原北条の能力・長考・を引き合いに出すほどの時間だった。だがそんな時間もすぐに解かれてしまう。目の前に清田が現れたからだ。清田は俺の顔を見るとあらあらと目をぱちくりさせ口を隠すように右手を添える。左手にはガッチリとピンク色の櫛が握られていた。
それにしても清田は男か女か
前から思っていたことだが、清田は中性的である。今もそうだ。ゆるっとふわっとした服では体のラインは図れない。かといって露出された部分だけでは曖昧さが浮かぶ。ならどう判断するか。一望する群れのなかでたった一人を探すのは難しい。砂の中で砂を拾うようなものはなるべくしたくない。火中の栗を拾うよりはましか。
しかし表面上の情報だけでは何も手に入らない。けれど今の清田には過去さえも手に入らない。何故なら彼は昔男の娘だったからだ。俺が知っているのは男の清田。されど今の清田は女かもしれない。
どうする俺。
プライベートなシビアな部分は決して見せたくはないだろう。だが俺は知りたいのだ。スカートをはく清田。ブラウスを着る清田。清田お前はブラジャーを着ける派か。
俺は玉砕覚悟で清田に聞く。清田は恥ずかしがりながらも耳元でささやく。
大丈夫、夢は壊さないから
俺の一枚上を行く清田は頬を赤らめた。ピンク色の櫛を簪のように髪に刺した。
。。。クソ、、可愛いじゃなーか
俺はその夜筆を握りマスをかいた。
要するに暇なのである




