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コミカライズ本日開始★【短編】酒と縁談と恋(ベティ&アレク)

◆コミカライズ記念◆

 その後の【ベティ&アレク】の日常の一コマです。


 コミカライズは、4月26日(金)からbookLive様先行配信開始。

 初回一挙3話更新となっておりますっ!

(コミカライズ版タイトルは『死刑が確定した転生令嬢は、冷徹長官の妻になって三度目の人生を謳歌します!』です)

 素敵なマンガ家様に、理想的なシンジュとナル、そしてジーンを描いて頂いております〜!

 他にも素敵キャラがたくさんです。

 

 現在1話まるまる ★無料★ なので、ぜひっ、ご覧下さいませー!!

 ベティエールは居酒屋にいた。

 カウンター席で隣り合って座っているのは、かつてレイヴェンナー家で働いていた頃の同僚――アレクサンダーである。


 アレクは時折こうしてベティエールを飲みに誘ってくれるのだ。

 風花国で暮らし始めて以後、研究室で患者の世話をしながら自ら被検体になっているベティエールを、気に掛けてくれているらしい。


 もっともベティエールは、禁酒をしているので飲むのは専ら茶ばかりだが。


「それで、四回も受けたんだけど全部断ったんです」


 すでにほどよく出来上がっているアレクは、唇を尖らせながらごちた。

 官吏として立派に働いているアレクは、最近よく、見合いを進められるらしい。

 リンもそうだという話を聞いたから、シンジュの周辺の者たちと懇意になりたい風花国の貴族らが画策しているのだろうが、アレクは人生初のモテ期が到来したと喜んでいたのだ。


 あれから二か月。

 久しぶりにアレクが飲みに誘ってきたから、てっきり結婚相手を決めたという報告だと思ったのだが、縁談をすべて断ったという愚痴だった。


「リンは生涯独身を貫くつもりらしいけど、僕は違う。僕は結婚したい。なのに……」

「なぜ断ったんだ? 相手に受け入れがたいところがあったのか?」

「んー、まぁ、色々と。一人目は美人じゃなかったし。二人目は美人だけど物静か過ぎて物足りないし。三人目は何もかも完璧で、もっと愛らしさが欲しいし。四人目はめちゃくちゃ美人だったけど、好みの美人じゃなかったし」

(……なんだそれは)


 ベティエールは苦笑をかみ殺し、真剣な顔を作って尋ねる。

 

「ならば、どんな女性を好むんだ?」

「そうですね。まず可愛くて、元気で、前向きで……背は低めの方がいいです。巨乳が好きだけど、妻にはそこまで求めないし……まぁ、体型は気にしません。多少ちんちくりんでも」

「……そうか。それは確かに難しいな」


 思わず笑いが漏れてしまう。

 酔っ払いのくせにめざといアレクは、ベティエールを軽く睨んだ。


「含みがあるように聞こえますけど」

「自覚がないというのは厄介だと思ったんだ。自覚している分、サトミのほうがマシかもしれん」

「えぇ、なんの話ですか? ってか、べティエール様はどうなんですか。モテるくせに結婚しないんですか?」

「私は生涯、恋人も妻もいらない」

「でた! フェイロン様といい、独身宣言するやつ多すぎません?」


 アレクは酒を自分でつぎ足して、ぐいっと一気に煽った。

 どうやら彼は道ならぬ恋をしているらしい、とベティエールは検討をつける。

 おそらく本人も無意識下では気づいているのだ。

 だが、いけないことだと分かっているから、防衛本能のようなものが気づかないふりをさせているのだろう。


 アレクは愚痴を言い続け、やがてぐったりとカウンターに突っ伏した。

 ベティエールは会計を済ませると、アレクを背負って店を出る。


「…………ナル……」


 アレクの小さな呟きを聞いたのは、ベティエールだけだった。

 切ない響きを含んだ声に、ベティエールは優しく返す。

 

「夢の中で存分に会うといい。夢では、自由だからな」


 ベティエールの呟きは、闇に解けて消えていった――。

閲覧ありがとうございました。

次は、全書店配信の時に更新予定ですっ!

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