3-5、この夫婦、離れていても協力的
二日目の朝。
シンジュは護衛二人をつれて、レガーの屋敷を訪問した。
午後からは、ナルと観光をする約束をしているので、なんとしても午前中で用事を終わらせなければならない。
案内された客室で、シンジュはレガーが来るのを待っていた。
今日は、やや畏まった外出用の背広に袖を通している。少しでも、相手の緊張感を煽るためだ。
レガーは、昨日と同じ朗らかな笑みでやってきたが、真面目なシンジュの表情を見て、態度を改めた。
「ようこそ、おいでくださいました。……さて、本日は、刑部省の者としてのご訪問だとか。街で、何か不安要素を見つけられましたかな」
向かい合って座ったのち、レガー側の侍従をすべて下げてもらう。
警戒することを知らないのか、レガーはあっさりと侍従を下がらせた。
「単刀直入に本題へ入らせて頂きます。先の、シルヴェナド家の件は、ご存じでしょうか」
はっ、とレガーの表情が強張る。
まじまじとシンジュを見て、頷いた。
「勿論です。わしの知り合いも、何人か……わ、わしは、誓って無関係ですぞ!」
「誤解なさらぬよう。現時点で、あなたには何の罪もございません」
「ならば、なぜ」
「もうじき、ベルガン公爵捕縛に向けて、国が動きます」
「はぁ?」
僅かたりとも表情の変化を見逃すまいと見つめるシンジュの前で、レガーは間抜けな声をあげた。何度も瞬きして、最終的に首を傾げた。
「あの、なぜ従兄が?」
「ベルガン公爵が、ある事件に関わっていることが判明いたしました。証拠も揃っております」
「いや。待って頂きたい。何かの間違いでしょう? 公爵は、それはもう、素晴らしい人です。誇るところしかないのですよ。誤解をされているのでは」
「ありえない」
即否定したシンジュを、レガーが不快そうに睨みつけた。
シンジュは、わざと緩慢な動きで懐から取り出した、深紅の月が描かれたピンバッジを、机に置いた。
さらに、モーレスロウ王国国王のサインが入った書類を見せる。
シンジュの身分――レイヴェンナー家の次男であること、そして刑部省長官であること――を証明する、という書類だ。
「……刑部省、長官……? あなたが?」
驚きを隠せない様子で、レガーはシンジュを凝視した。
貴族のなかにも国政に携わる者は多いが、副長官以上の地位を得るのは、ごく僅かだ。
刑部省の長官が相手となれば、レガーが驚くのも当然だった。
「改めて。刑部省長官、シンジュ・レイヴェンナーと申します」
レガーは、ぽかんとしている。
刑部省勤務をしているただの新婚旅行者が、突然、刑部省長官として、目の前に現れたのだから、彼の戸惑いもわかる。
しかも噂によると、シンジュは冷徹と名高いそうだ。
「まさか……本当に、刑部省長官自ら、こちらに?」
「疑っておいでですか」
「い、いえ!」
「私がこちらまで出向くほど、重要な要件をお伝えしていることを、ご理解頂きたい」
レガーは顔を青くして、首をゆっくりと左右にふる。
「まさか、本当に。従兄が? ありえない。何かの間違いだ」
「――レガー殿」
シンジュの厳しい呼びかけに、レガーは身体を大きく跳ねさせた。
「どうやら、あなたは此度のベルガン公爵の件には無関係のようだ。証拠も現在のところ、出ていない。私からあなたへせねばならない話は、二つ」
「ま、待ってください。従兄は、私の自慢の――」
「一つ目。ベルガン公爵が失脚なさった暁には、あなたが公爵の位につくでしょう。そのために、今から準備を。公爵捕縛に伴い、ベルガン家では大きく地位の変動が起こります。混乱と騒動を見越した行動をお願い致します」
「なっ……先のシルヴェナド家では、血族すべてが処刑されたはず。従兄が捕まるのなら、わしも罪に問われるはずじゃ」
「シルヴェナド家は、数百年にわたり大罪を犯し続け、築いてきた財産で成り立っていた家系です。財産そのものが、一族そのものが――つまり、存在自体が、罪の塊。ですが、ベルガン公爵の罪は、一代で行われたもの。裁かれる者は、シルヴェナド家と比べると格段に少ないでしょう」
少ないが、全く居ないわけではない。
そう匂わせると、レガーは、なぜ次の公爵が自分なのかを理解できたようだ。
「本当に……信じられない。あいつは、そんなやつじゃない。誰かに嵌められたということはないのですか⁉」
「証拠は揃っていると、申し上げたはず。捕縛は決定事項です」
レガーは、口元を手で押さえた。
目は虚ろで、何を見ているのか判断しかねた。
「二つ目」
レガーの視線がゆっくりとシンジュに向く。
「近々ベルガン公爵家内は大きく揺れ、地位を巡っておぞましい内部抗争が起きるでしょう。その争いを最小限に食い止めるためにも、レガー殿。あなたに、ベルガン公爵捕縛に向けて、全面協力願いたい」
「……駄目だ。できない。従兄は、そんなやつじゃ」
「レガー殿」
「娘の婚約者は、従兄の親戚なんだ。わしからは遠すぎて面識のない相手だ。従兄を裏切れば、娘の結婚が破談になってしまう!」
レガーの娘、ベロニアの婚約を決めたのがベルガン公爵だという情報は、シンジュも知るところだ。
娘の結婚も絡むとなると、即答は出来ないだろう。
もとより、このような大事を即答するやつは、信用できないのだが。
シンジュは、身分証明書をしまうと立ち上がった。
「ご自身のありようを、よくお考え下さい。明後日の昼前、こちらを出発いたします。それまでにお返事を。尚、不穏な動きはされぬように……充分、お気をつけ下さい」
「……どうしよう、アレク。温泉卵がない!」
午前中、シンジュが不在の間、近くの露店を見て回っていたナルは、その事実に衝撃を隠せなかった。
昨日、シンジュとゆったり歩いたときも思ったのだが、ただ見落としているだけだと思っていたのだ。
「オンセンタマゴ? なんだよ、それ」
「知らないの!? とろっとろの、物凄く美味しい卵!」
「初めて聞いた」
「……温泉街で温泉卵を食べないなんて、ありえない。生卵買って、源泉見つけて、小皿と調味料を確保しなきゃ」
鬼気迫るナルに、アレクサンダーがやや引いているのがわかった。
「そ、そういや、シンジュの、午前中の用事ってなんだろうな」
「さぁねぇ」
「ナル、寂しくないの? 新婚旅行なのに」
「うん。別行動も、いいかなって思う。今のうちに、好きな場所を見ておきたいの」
「午後からシンジュといけばいいだろ?」
「シンジュ様とは、すんごいとこ行きたいから、今のうちに、ほどほどのところを見ておくのよ」
「……あっそう。どこまでもお付き合い致します、奥様」
「やったぁ!」
そんなことを言い合いながら向かったのは、湧き水で出来たという湖だ。
透明度が高く、とても澄んでいて、底まで見えるという。
前世であれば、有名な観光場所になってもいいものだが、この世界では然程人気がない。理由は明確、珍しくないからだ。
とはいえ、生まれてから今まで王都で育ったナルからしたら、充分過ぎるほど珍しい。
温泉街でも端っこのほうなので、歩き進めるほど人気が無くなっていくのが、少しばかり心細いけれど。
「そういえば、アレクも温泉浸かった?」
「うん。昨夜、交代で行ってきた。ほら見ろよ、肌がつやつやだろ?」
(変わらないと思うけど……つやつや?)
そんなことを話しながら、目的の湖へ向かう途中。
川を跨ぐ、小さな橋へ差し掛かった。
川を下った場所に、温泉街へ直通している大きな橋があるため、こちらの橋は、地元の者が使うだけの簡素なものだ。
よって、この辺りには人がいない。
はず、だった。
橋の手前に、赤い髪をした女性がいた。
豪奢なドレスを着ていることを抜きにしても、くるくると巻いた髪で、相手が誰かすぐにわかる。
「ベロニアさん?」
思わず声をかけると、ベロニアが振り返った。
「あなた、昨日の……」
ベロニアは、ナルとアレクサンダーを見比べて、頷く。
「そちらの殿方が、本当の恋人ですのね」
「本当の、って」
「あなた、あの年配の男に、無理やり妻にされたのではなくて?」
気の強そうな目に、憐れみを浮かべてナルを見るベロニア。
ナルは、あっ、と声をあげた。
「もしかして、これ?」
見せたのは、腰につけているカナウサギだ。
なんだかんだで旅行中しかつけないと思うと、名残惜しくてずっとつけている。それはシンジュも同じで、昨日、レガー・ベルガンの家へ挨拶に行ったときもつけていた。
(そういえば彼女、めっちゃシンジュ様のカナウサギ見てたっけ)
彼女がカナウサギの色で、その意味を即座に察したことに、ナルは気づいていた。
なぜならば、シンジュのことを軽蔑するような、というより、蛆虫を見るような目で見ていたからだ。
「誤解だから、大丈夫」
「誤解? あなた、それをつけることで、さりげなく助けを求めていたわけではなくて?」
ナルは、ぽつぽつと、事情を話した。
カナウサギを購入した経緯についてだ。そして、シンジュとは愛し合っていることも伝えておく。
理由を聞いたベロニアは、ほっとした様子で胸を撫で下ろした。
ナルの背後では、アレクサンダーが声を押し殺して笑っているが、気づかないふりをする。
「そうなの。それはよかったわ。歳の差もあるようだから、わたくし、てっきり……誤解だったのね」
ベロニアは頬に手を当てて、恥ずかしそうに微笑んだ。
「心配してくれたんだ、ありがとう」
「当たり前ですわ、苦しむ人を見過ごすなどできませんもの」
ナルは、すっと目を眇めて、改めてベロニアの全身を見た。
背は高めで、身体のラインにそったドレスを着ている。赤い髪が栄える橙色のドレスは、きらきらとしたガラスが散りばめられていて、角度によって宝石のように輝いている。
凝ったデザインをしており、大人っぽいベロニアの美しさを引き立たせる袖の控えめなフリルが、ワンポイントになっていた。
顔立ちは、結構な美人だ。
賢そうな、凛々しい目と眉をしている。
実際、ベロニアは勤勉だ。
すでに個人で事業を立ち上げているという。
ベルガン公爵が力を入れている慈善事業の円滑化を図ることを想定して、収入と支出の割合を計算し、慈善事業のなかでも利益を望めないか試行錯誤を繰り返している。
いくつか固まっている案もあるという。
それらを、父親の手伝いをしながら行っているのだから、大したものだ。
……というすべての情報は、ジーンからの報告書にあった。
「ベロニアさんは、こんなところで何をしてるの? 護衛は?」
「ベロニアで結構ですわ。 護衛はつけない主義ですの。ここへは、婚約者を迎えにきたのよ。今日、結婚式の日取りを決めるために、ハイエリアスがこられるから」
(ハイエリアス・ベルガンか。……ベルガン公爵の、父方の親戚だっけ)
ちなみにベロニアは、ベルガン公爵の母方の血縁に当たる。
おそらく、この結婚が。
今回、シンジュの目論見を阻害する、もっとも大きな要因になるだろう。
万が一にも、婚約が破談になってくれればよいのだが。
聡いベロニアを味方に引き入れれば、今後、あらゆる場面で活躍してくれるだろうに。
(なんて、人の不幸を願っちゃよくないか)
「ベロニアが、いつも迎えに来てるの? ここまで」
「そうよ。ハイエリアスが乗ってこられる馬車は、この橋の手前で停まるの。あ、いらしたわ」
見れば、道の向こうに点々と見える木々の間から、二頭立ての豪華な馬車が姿をみせた。
馬車が近づいて停止するまでの間、ナルは、さりげなくベロニアの表情を伺う。ベロニアの表情は変わらない。
きりっと吊り上がった眉に、引き締めた口元。
(愛しい恋人を待つ女性には、見えないけど)
そんなふうに見てしまうのは、ナルの願望の現れだろうか。
馬車が停止すると御者がドアを開ける。
颯爽と降りてきた若い青年は、タイの大きな深紅の燕尾服を着ていた。袖口にダイヤがあしらってある、光沢のあるシルク生地は、見るからに豪華だ。
青年――おそらくハイエリアス――は、馬車のなかへ手を差し伸べた。
(ん?)
差し伸べた手には、細い女性の手が重ねてある。
ふわっ、と馬車から降りて、ハイエリアスの胸に飛び込んだのは、やはり豪奢なドレス姿の若い女だった。ダイヤが散りばめてあるドレスは、王城の社交パーティに出席している貴族令嬢のようだ。
息を呑む音がして、ベロニアを振り返る。
明らかに、表情が険しくなっていた。
「誰なの、あの女の人」
「……マリー。わたくしの侍女だった娘よ。先月までね」
(訳ありっぽいなぁ)
ハイエリアスは、マリーに腕を添えさせてこちらに歩いてくる。
ハイエリアスの表情もまた、厳しいようだ。然程整った顔立ちではなく、むしろ凡庸だが、やや垂れた目が優しい雰囲気を醸すだろう――もっとも、厳しい表情さえしていなければ、だが。
すぐベロニアの目の前まできたハイエリアスは、ちらっとだけナルを見たが、すぐにいない者にすると決めたらしい。
「ベロニア、彼女がわかるか?」
「ええ、勿論。なぜマリーがあなたといるの?」
「彼女から聞いたよ。きみが、どれだけ最低な女かを」
(ん?)
ベロニアが目を見張ると同時に、ナルは首を傾げる。
「マリーへの数々の虐待、さすがに温厚な僕も放ってはおけない。今日限り、きみとの婚約は破棄する!」
「……待って、ハイエリアス。意味がわかりませんわ。わたくしが、何をしたの?」
「しらばっくれても無駄だよ。僕の気持ちは変わらない。……ああ、かわいそうなマリー。僕は今後、彼女を守って生きていくよ。彼女と結婚する」
「は、はいえりあす様⁉」
腕に寄り添っていたマリーが、年齢に相応しくないたどたどしい口調で、驚いてみせた。そんなマリーの腰を、ハイエリアスが抱き寄せる。
「大丈夫だよ、きみには僕がいる」
「そ、そんな、でも、私は貴族では……」
「知っているよ。でもきみには勇気がある。ベロニアの残虐を、僕に知らせにきてくれたんだから。危うく僕は、騙されてこんな女と結婚するところだった!」
「ハイエリアス。あなた、言っている意味が、わかってらっしゃるのかしら。この婚約は、ベルガン公爵様がお決めになったことよ。それに反発するなんて――」
「どこまでも図々しいな、きみは!」
「お、おやめになってくださいっ、はいえりあす様っ」
(……。……なにこれ)
言いたいことを言ったハイエリアスは満足そうだ。寄り添うマリーは、今にも「ふへへ」と笑いだしそうな露骨な悲しみの表情を作っている。
ベロニアは、現状をどう打開すべきか必死に考えているようだ。
「ねぇ」
ナルが、ベロニアに声をかけた。
ベロニアが、はっとしたように振り向いた。
「あ、あら、ごめんなさいね。足止めしてしまって。嫌なところを見せてしまったわ、どうぞ、お気になさらずに」
「婚約破棄しちゃったら?」
ナルの言葉に、アレクサンダーから、関わるな、という無言の圧力がくる。
当然、ナルはさくっと無視をするけれど。
「できないわ。ベルガン公爵様が、どれだけの権力をお持ちか……」
「私の夫は、長なの」
ナルの、その一言で。
ベロニアの瞳が、徐々に見開かれていく。
(ああ、やっぱりね……この子、とても賢い)
隣で「そうやって公爵の権威を借りようなんて、どこまでも図々しい!」とハイエリアスが叫んでいるが、ベロニアにはもう、聞こえていないようだ。
ベロニアは、ナルの夫であるシンジュが刑部省の人間であると知っている。
その「長」と聞いた彼女が、シンジュが刑部省長官であり、長官自ら出向く必要性があるためにここにいる、と察したのだ。
それだけではなく、なんのために刑部省が動いているのかまで、予想がついたのだろう。
ベロニアは、ベルガン公爵の慈善事業の円滑化を目的とした取り組みをしている。
収入や支出を常日頃から気にかけているベロニアだ。ベルガン公爵が寄付している資金の出処に、不審を抱いていても不思議はない。
表向き、ベルガン公爵からの寄付金は、個人事業の売り上げや領地からの利益の一部から、支払われていることになっている。
だが、実際に学校を無償で運営するには、それだけでは足りない。
(こういった専門的な資金については、がっつり調べないと、気づかれにくいんだよね)
これは前世で痛いほど身に染みている。
上司の不正を知った際、ナルにとっては専門外の事業や商品について、必要な資金を調べ、計算し直して、初めて具体的な不正資金の流れを知ったのだ。
水増しされた金額を数字にしたところで、それの何がおかしいのか、分かる者のほうが少ないことが多々ある。
(……まぁ、知ったところで、公爵独自が行ってることに言及できる者なんて、いないだろうけど)
「ねぇ、ベロニア。私たち、友達にならない?」
「……え?」
「あなたには才能がある。私が言うんだから、間違いないわ。あなたに適役な、いえ、あなたにしか出来ない仕事があるの」
「信用できませんわ」
ベロニアは、きっぱりと言った。
すぐ人を信用しない辺りも、好感が持てる。
ナルは、すっとハイエリアスを指さした。
突然、指さされた相手は、自尊心を傷つけられたのか、「無礼なやつめ!」と叫んでいるが、アレクサンダーの圧力の前に黙り込んだ。
「今から、あの男を取り返して公爵にゴマを擦る? 彼もまた、対象よ」
ひゅっ、とベロニアが息を呑む。
じんわりとベロニアの額に汗が滲んでいた。
「今のうちに、決断なさい。ベロニア、あなたの行動次第で、あなたとあなたの父君の今後が変わってくるのだから」
ベロニアが、ナルを睨みつけた。
ナルは胸中で、笑う。
即判断できるだけの情報は、開示した。
今は、即判断するときだ。
長引けば長引くほど、ナルのベロニアに対する好感度が下がっていく――こういう場面で、すぐに正しい判断を下せる者は、稀有だ。
わかっていても、重大な案件ほど、即決できずに挙動不審になる者は多い。
「……なんですの、それは」
ベロニアは、腰に手を当てて胸を張る。
「選ぶ道など、一つしかございませんわ! わかりました、お話に乗りますわっ!」
(さすが)
ナルは、にっこりと微笑んだ。
ベロニアの判断は、正しく早い。
しかも、ナルの言葉にただ流されるのではなく、現状から最善を探り、判断しているようだ。
ナルが手を差し出すと、ベロニアもまた堂々と手を差し出して、握手を交わした。
「旦那様が、ベロニアのお父様に事情を話しているはずだから。お父様とよく話し合って……説得、お願いね」
「わかっておりますわ」
「それから――」
ナルは、にんまりと笑って、マリーを見た。
「あなた、演技が下手ね。あなたみたいな演技で靡いてくれる殿方は、少ないんじゃない? お似合いよ、二人とも」
閲覧、ブクマ、評価、誤字脱字報告、その他諸々、ありがとうございます‼
次も明日18時前後の更新となります。
宜しくお願い致しますm(__)m