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仮題)愛しきこの世界に捧ぐ 〜始まりの物語〜(短編版)

作者: 嘉神かろ

以前書いた、いずれ長編として投稿する予定小説の序章に当たる部分を先行して投稿します。

ぶっちゃけるとweb向けでは無いです。


2019/06/30 冒頭部分は今回投稿した話と一切関係が無いので削除しました。



◆◇◆◇◆


 気がつくと彼は平原にいた。

 周囲を見ても何も見当たらない。

 空は青々として、吹き抜ける風が心地よい。


 そんな長閑な雰囲気のお陰だろうか。

 彼に焦った様子は見られない。


 そもそも彼は自分が誰だかわかっていない。

 ただここではないどこかで、母と二人で暮らしていたことは覚えている。


 なら他のことは?

 覚えている。日本の彼の家は田舎では大きなショッピングモールの近くにあり、中古だが3階建ての家に住んでいた。彼の祖父が取引先の医者夫婦から買ったものだ。


 たしか、数日ほど荷物を置いたままにしておくことを条件に、相場より安く譲ってもらったものだったはずだ。

 その時点で築10年ほどだったためにかなりお買い得だったのでは?と当時幼いながらに思った記憶がある。


 そんなことははっきり覚えているくせに、自身や母、祖父、友人、好きだったあの人、果ては大恩を感じている曽祖母の名すら思い出すことができない。


 しかし生来彼は割と楽観的な性格だった。

 元々常人よりは優れた思考能力や記憶能力があったために傲慢な部分があったからかもしれない。

 同時に彼は自分が天才ではないことも知っていたが、だからこそ彼はこんなわけのわからない状態でも何とかなる気がしていた。


 要は過信の混じった勘のようなものであるのだが。


 とはいえ、ここでボーッとしているなんてできない。

 とりあえず、自分が向いている方向へと歩いてみることとする。

 もしこの状況が何者かによる意図的なものならそれくらいの気は聞いているだろうという希望的観測と、そうでなければ川なり道なり見つかれば良いと考えた結果だ。


 後から思えば可笑しな思考だった、と彼は語るが、今は関係のない話だろう。




 彼がいた学校の敷地内には人工的なものだが、かなり自然に近い森があったし、親戚が持つ山をよく駆け回ってもいた。

 体力や悪路での行動に不安はない。


 強いて不満を挙げるなら、服装がイマイチ着心地のよくないものに変わっている事であろうか。


 そんなこんなで途中見つけた丈夫な木の棒を杖代わりに、彼は歩き続けた。


 だいたい3キロほどだろうか?城壁らしき人工物が見えてきた。

 もし今いるのが地球である事に違いがなければ、悪路であることを考慮して、一時間半程度歩いたことになる。


 道無き道を歩いてきたのだ。自分の記憶が確かなら多少の疲労感があってもおかしくない。


 しかし不思議と一切の疲れを感じなかった。

 ついでにここが地球ではないかもしれないという疑念が強まった。

 自分の服装から薄々思っていたことではある。

 よくて中世ヨーロッパといった感じなのだ。


 さらに人工物に近づけば、右手の方に見えるのは人の列。

 それほど長いわけではない。せいぜい10組前後といだたところか。

 しかし問題はそこではない。彼ら彼女らも自分と同じような服装をしていることだろう。


 彼はいよいよ不安になった。そこが異世界、またはタイムスリップをした可能性が出てきたからではない。

 むしろそうである可能性に高揚感を覚えるほどだ。

 彼が不安に思っているのは、ひとえに言葉が通じるか否かだ。


 列に並ぶ人々が通行料を払っている様子はないし、怪しまれはするだろうがいくつかの言い訳は思いつく。町に入れないことは無いだろう。


 言葉さえ通じれば、だが。


 もし仮にここが異世界なら、異世界の言語なんて知るわけがない。

 タイムスリップをしたとしても、彼が話せるのは日本語の他には英語くらいだ。

 そちらも完璧というものではない。


 世界史をとっていた彼はよくわかっていることだが、ヨーロッパというのは支配者の移り変わりが激しいというか、多様な民族が多くの国をたて、滅びてきた。


 そこにはもちろん様々な民族や言語があった。

 現在は使われないフェニキア語やアラム語はもちろん、現在も使われるフランス語だってわからない。

 まあフェニキア語もアラム語も中世ヨーロッパの言語ではないが。彼が真っ先に思い浮かべたというだけの話だ。


 もし中世以前なら、と思考を巡らす。

 城壁や、兵士から封建制らしきものを感じることを鑑みて、相手の民族はゲルマン系だろうかと考える。


 いや、彼らは元々森で暮らしていたのだったか。


 彼らが森から出た後なら他の国々にも封建制度は伝わっているだろうし、キリスト教のアリウス派はとうに異端とされている事になる。

 彼は神道なので関係ないが。


 ともかく、彼は言葉が通じるかがこの上なく不安だったのだ。


 かつてギリシア人が異民族を『訳の分からない言葉を話す者』という意味で『バルバロイ』と呼び、自分たちと差別していたように、言葉というのは相手と自分が同一のコミュニティに属することを確かな者とする上でかなり重要な要素だ。

 これが通じないのなら彼はここでおしまいだろう。

 まだ何も始まっていないのだから終わるも何もないなどということは禁句である。


 不安になりながらも彼は人の列へと近づいていく。

 すると当然のように彼らの話し声が聞こえてきた。


 結論を言えば、彼の最悪の予想は当たったことになる。

 話しているのは確実に日本語ではない。

 しかし意味がわからないというわけでもない。

 何故だかわからないが、人々の話している意味が、まるで日本語を聞いているかのようによくわかったのだ。


『ああ、よかった』


 思わず漏らした声に驚く。

 日本語を話したつもりであったが、その口から出てきたのは違った。

 おそらく列に並ぶ人々と同じ言語だろう。


 まあ自分の言いたいことを伝えられるのだ。間違いなくいいことだろう。そう思い、彼は先程より2、3組分ほど短くなった列に並んだ。



 さらに10分少々まてば、彼の番だ。

 太陽はすでに真上をすぎている。


「身分証をおねがいします。」


 門番は事務的に、しかし威圧感は感じさせない柔らかな口調で身分証を求める。

 もちろん彼はそんな物は持っていない。


 並んでいる間にどう誤魔化すか考えたが、後々不都合があっては困ると思って正直にいうことにした。


「ありません。気がついたらこの平原に立っていました。

 俺は自分が誰かもわかりません。

 何をしていたかもわかりません。

 ただ学んだ知識はいくらか残っているようなので、他もいつかは戻るのではと思っています」


 嘘はついていない。言っていないだけだ。そう考えて気づく。もう家族の顔すらぼやけていることに。


 彼はこれ以上忘れることを恐れた。


 それがよかったのだろうか。

 話を聞く門番は始め、表情は変えなかったが、怪しいものを見る目をしていた。

 とは言え始めだけだ。言葉を続けるうちに、それは表情も合わせて同情的なものに変わった。


「こっちに来なさい。

 まずは何か腹に入れよう。話はそれからだ」


 門番は代わりの人を呼び、彼を休憩所らしき部屋に連れて行った。


「今は簡単なスープしか出せないが、体は温まるだろう。飲みなさい」


 門番に優しい口調で勧められ、彼はそのスープを口に運んだ。


 気がつけば、彼は泣いていた。スープが特別美味くて泣いているわけではない。

 ただただ暖かかったのだ。


 今自分が忘れ去ろうとしているものが、たしかに、そこにあるように感じた。






 しばらく泣き続けた彼は、そこでようやく門番がいなくなっていることに気がついた。


 仕事に戻ったのだろうか。そう思いつつ口にした残りのスープは冷たい。

 そこそこ時間が経っていたようだ。


 足跡が聞こえた。門番が戻って来たのかもしれない。

 そう思って入り口に視線を向けると、そこには50間近であろう渋い男がいた。


 高そうな軍服を身に纏い、黒い髭を口に蓄える偉丈夫はしかし、優しげな目をしていた。


「彼がそうなのか?」

「はい、名前も覚えていないとの事です」


 偉丈夫はひとつ頷くと、彼の前までやってきた。


「おや?泣いていたのか。

 まずはこれで涙を拭きなさい。話はそれからにしよう」


 彼はおずおずと差し出されたハンカチを受け取り、涙を拭う。


「うむ。私は王国の騎士団で指南役をしている、ジョンソン・サンチェスというものだ。

 単刀直入に言おう。君を私の養子にする事にした。ああ、養子はわかるかね?」


 彼はコクリと頷く。いきなりのことすぎてまだ事態を飲み込めていない。


「君はこのままだとスラムに暮らす事になるかも知れないし、それに比べれば悪い話ではないと思うが。

 もし嫌なら言いなさい。その時はしょうがない、諦めるとしよう。」

「………なぜ」


 彼はボソリと呟いた。


「ん? なんだい?」

「なぜ、俺を養子にするんですか。どこの馬の骨ともわからない餓鬼を養子にしてどうなると言うんですか」


 静かに、だが今度はハッキリと、そう問いた。


「ふむ、なぜ、か。

 何故だろうね。ただ何となくそうすべきと思ったにすぎない。

 君の話を彼、この門番くんに聞いたときにね」


 彼は困惑していた。そして恐怖もしていた。

 この偉丈夫の手をとれば、おそらく安泰だろう。

 この偉丈夫は信頼できる気がする。

 だが、そうする事で自分の中の家族が消えてしまうのではないかとも思った。


 彼は何も返事ができない。


「まあいきなり言われて『はいそうですか』といくものでもないだろう。君も私も、お互いを何も知らない」


 違う!そうじゃない!

 そう、叫びたかった。

 でもできなかった。

 彼は誤魔化すようにスープに口をつける。


「今日はもう休みなさい。ここのベッドを使っていいから」


 そう言ってジョンソンは出て行こうとする。


「ああそうだ。判断材料になるかはわからないが、私の家族を教えておこう。

 妻のナタリーと娘のレイネシアとの3人家族だ。

 レイネシアは今年で10歳になる」


 彼は踵を返して去っていくジョンソンの背を見つめながら、スープを口に含んだ。


 スープは冷たく、薄い味だった。


◆◇◆


 彼は一晩考えた結果、結局ジョンソンの養子になる事にした。そうするより他になかった。



「やあ、起きてるね。答えは決まっただろうか?」


 ジョンソンが来たのは、朝食を、食べ終えた頃だった。

 何を当たり前の事と思うが、考え直す。

 きっと彼なりのジョークなのだろう。


「はい。俺はあなたの養子になります」


 ジョンソンは笑顔でかえす。


「そうか、それは良かった。

 では、新しい息子にお祝いをあげようか」

「お祝い、ですか…」

「ははは、そう身構えなくていい。アルフォンス」


 彼は一瞬誰のことかわからなかった。


「アルフォンス・サンチェス。君の名前だ。

 私からのプレゼントだよ」

「アルフォンス・サンチェス…」


 彼は口の中で繰り返す。受け入れられるかは関係ない。コミュニティに属するのに個人を指す記号がなければ不便だ。

 そう思って、新しい名前を受け入れる事にした。


(イギリスの聖人を表す姓か…)


 彼の感想はそれだけだった。


「それじゃあアル、行こうか。表に馬車が停めてある」

「ジョンソンさんはこことは違う街に住んでいるんですか?」

「ジョンでいいよ。もしくは『お父さん』と呼んでくれたら嬉しいかな。敬語もいらない。

 ああそうだ。騎士団への指南は王城でやるから王都に住んでいた方が都合がいいんだ。

 昨日こっちにいたのはたまたまだな」


 ふーん。そう返事をして、彼はジョンソンの後を追いかけた。


◆◇◆


 用意されていた馬車は思ったより質素なものだった。

 もちろん、一般人が使うようなものよりは数ランクほど上のものだ。

 実際街に入るときに見ているので間違いはない。


 ただ、ジョンが自分を王国騎士の指南役と言っていたためにアルがもっと豪華なものを想像していただけだ。


 馬車の中で聞いた話では、ジョンは元平民で一代のみの名誉貴族らしい。

 平民といっても裕福な方だったとのことだが、それだけで彼の地位を掴むことができるはずもない。


 王国騎士の指南役とはそうゆう役職である。


 なんでも世襲の権利を持つ純粋な貴族の中には〈ノブリスオブリージュ〉を勘違いした傲慢な貴族もいるそうで、『フォン』の名を持つものには気をつけるよう言われた。


(というか、この世界にも〈ノブリスオブリージュ〉ってあるんだな)


 『この世界』と考えたように、アルはもうこの世界が異世界であることを確信している。


 馬車の中で聞いた注意の中に魔物に関するものがあったからだ。実際遭遇もした。


 覚えのない言語までならタイムスリップ説は否定できない。

 しかし、魔物がいるとなっては話は別だ。


 始めは古い時代特有の、理解の及ばぬ現象を魔物の仕業と言う風習のようなものの可能性も捨てきれなかったが、角の生えたウサギや色付き透明の粘性生物をみてしまえば確信してしまうものだ。


 それらはホーンラビットとスライムと言うらしい。

 いや、口にしているのは別の言葉だが、アルの脳内ではそう処理された。



 それらの手を出さなければ無害らしい魔物との遭遇を除けば、何事もなく馬車は目的地に到着した。


「おぉ!」


 その巨大な城壁と城、そして門の隙間から見える美しい街並みには、さすがのアルも感嘆の息を漏らさずおえない。


「どうやら気に入ってくれそうだ。私も名誉貴族とはいえ貴族専用の入り口が使える。

 あの気の遠くなる程長い列に並ぶ必要はないから、そろそろ降りる準備もしておきなさい」

「わかった」


 そういいながらも窓から顔を離さないアルフォンスにジョンも苦笑いする。


 そうこうするうちに門に着いた。チェックはジョンが窓から顔を出すだけで済んだ。

さすがは貴族である。


 そして、門から10分ほど、始めにたどり着いた町からは3時間と少々で馬車はその動きを止めた。


「ここが、今日から住む家か…」


 馬車と同様豪華というわけではない。

 大きさも、現代の一般住宅よりは大きく、その5倍はあるが、周りのものと比べると小さい。

 庭が大きいことが、辛うじて悪目立ちすることを防いでいる感じだ。


「あまり大きくなくて驚いた、という顔だね。3人家族が暮らすにはアレでも大きすぎるが、貴族の見栄というやつの基準でいえばギリギリなんだ。

 もっとも、今日からアルも加わって4人家族になるわけだから多少はマシになるがね」


 そういってジョンは笑う。

 まだアルは自分がサンチェス家の一員になることを心から認めたわけではない。

 理性的に考えればこれが最善であった、というだけである。


 ジョンもその辺りはわかっているのだろう。アルがこらから家族に加わるとか、家族の一員であるとか、そういった意味の言葉を何度か使っていた。


「さて、そろそろ入ろう」

「わかった」



 ジョンに続き、門をくぐる。

 よく手入れされた庭を通り、玄関へ。


 ドアを開けると、待っていたのは2人の女性、10歳くらいの女の子、それから60は超えているだろう、白髪をたたえた壮年の男だ。


 質の良さそうな服を着た女性の1人は、養母になるというナタリーだろう。

 若い頃はさぞモテただろう。50間近だという今でも十分な美しさをもっている柔らかな雰囲気の女性だ。


 もう1人は、いわゆるメイド服というものを着ている。もちろんロングだ。

 おそらく給仕長とか、そういった立場なのではなかろうか。

 キリッとした、少し怜悧な印象を持つが美しい女性だ。

 見た目は30に届かないくらいに見えるが、見た目よりいくらか年上だと思われる。


 女の子は考えるまでもなくレイネシアだ。

 父であるジョンとは異なり、金髪をしている。

 顔つきも含めてナタリーに似たのであろう。

 将来が楽しみに思える、

 目は、色はナタリーと同じく青であるが、その他に関してはジョンに似たらしく優しげな眼差しである。

 あわせると、ナタリー以上に柔らかい雰囲気になっている。


 壮年の男性は燕尾服を着こなしており、どこからどう見ても執事だ。

 ピンと伸びた背筋が老いを感じさせない、人の良さそうな老人である。


 ナタリーらしき人物とレイネシアは笑顔で、従者2人は美しい礼をもって迎えてくれた。


 日本人らしさの残るアルは、照れながらついペコリとお辞儀をした。


「ただいま。この子が手紙で伝えておいたアルフォンスだ。

 リーネ、今日からお兄さんになる人だよ。

 挨拶なさい」

「はい! お父様!

 アルフォンスお兄様、レイネシアと申します。

 リーネとお呼びくださいね」

「う、うん」


 花の咲くような笑顔でリーネはアルにカーテシをする。

 日本の一般市民がそんな貴族の対応に慣れているわけがない。

 アルはそれだけ返すのが精一杯だった。


「あらあら、戸惑ってるみたいね。ふふ。

 私はナタリー。アナタの母になるから、よろしくね、アルくん。ぜひお母さんと呼んでくださいな」


 続いてナタリーもアルに自己紹介をする。

 もうアルはどうすればよいかわからない。

 とりあえず目の前の人物が自分の養母であることだけ頭に叩き込んだ。


「アルフォンス様、私は給仕長を務めております、リンと申します。

 身の回りのお世話をさせていただきます」


 やはり給仕長であったリンも、綺麗な姿勢でお辞儀をしてその茶色い頭頂部をみせる。


「失礼します、アルフォンス様。

 私は旦那様の執事を務めております、セバスと申します。

 何なりと、お申し付けください」


 最後にセバスが礼をして自己紹介を終える。

 アルフォンスの自己紹介は夕食時に他の仕様人も交えて行うらしい。


 なお、セバスの名前を聞いたときにアルがテンションをあげていたのはここだけの話である。


◆◇◆


 夕食では先の4人に加え、3人の侍女と庭師を3人、業者を兼ねた馬丁を1人、護衛なども行う従者を7人、そしてアルと同年代くらいの下男を1人紹介された。


「多いな」

「ははは、まあ私も名誉子爵だからね。これでも少ない方だよ」


 ちなみにこの国の貴族は上から公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、騎士爵からなり、名誉爵位は基本的には名にある爵位の一つ上として扱われるらしい。


 基本というのは財力や後見人など、さまざまな背景によって力関係が変わることもあるからだ。


 なお、騎士爵は名誉貴族以外で唯一世襲が許されていない。



 そうして始まった普段より豪華という晩餐を、アルは思いの外楽しんだ。

 それはきっとサンチェス家の全員が、心から彼を歓迎し、気にかけてくれたからだろう。

 誰一人、彼の過去を聞くものはいなかった。



◆◇◆


 子供達も寝静まり、使用人たちも一息ついた頃、ジョンとナタリーは夫婦の寝室で果実酒を嗜んでいた。


「どうだった?」


 アルフォンスのことだろう。


「ええ、見た目以上にしっかりしていて、とてもいい子でしたわ。

 でも、まだ心は開いてくれないようね」

「それは仕方ないだろう。記憶はないらしいが、おそらく彼は迷い人だろう。

 今も元の家族の記憶が消えていく恐怖と戦っているはずだ」

「あの子にはいつ伝えるの?」

「明日、教会へいってくる。

 迷い人である事ははっきりさせておかなければならないからな。

 そのときに伝えるつもりだ」

「そう……。あの子は耐えられるかしら」

「大丈夫だろう。もういくらか気づいているようだし。

 それにもし耐えられないなら私たちが支えてあげればいい」

「そう、ね。もう同じ失敗はしたくないわ」

「信じよう。あの子と、私たち自身を」


 ジョンたちはそのまま灯りを消し、眠りについた。


◆◇◆


 彼が目を覚ましたのは日が昇ってから数分後であった。

 今も薄れゆく記憶が正しければ、こんな時間にスッキリ目が覚めたことなど数える程だ。


 まあ当然といえば当然である。

 灯りはあるが、現代日本のように煌々と照らすようなものではない。


 そういうものもあるが、魔石なるものの消費が激しく普段使いはしていないとのこと。


 そうなれば今の彼にすることなどなく、日が落ちてからはさっさと寝てしまったのだ。


 なお、風呂にはしっかり入っている。というか侍女たちに入れられた。

 なかなか屈辱的な経験だったとアルは記憶している、




 しばらくして、ドアをノックする音が聞こえた。


「どうぞ」

「失礼します。お召し物をお持ちしました」


 そう言って現れたのは昨日紹介された侍女の一人。たしか名前はサテラだったか。

 若草色の髪をもった17歳ほどの少女である。

 アルの担当だそうだ。


「お手伝いします」

「いいよ、自分でできるから」

「そうですか…」


 手伝いを断ると、どこかしょぼんとされてしまった。

 しかし、彼の認識では同い年の女子に着替えを手伝ってもらうことなど恥ずかしくてできない。


 ところで、この家に住む者は皆かなり背が高いようだ。いや、門番や最初の町に入るときアルの前に並んでいた人々も背が高かった。


 どうやらアルはこの世界ではチビなようだ。

 日本では標準くらいだったはずだが。

 彼にとって地味にショックである。


「まぁいいか。まだ伸びるかもしれないし」


 そう呟くと、なぜかサテラがキョトンとしている。

 しかしすぐにきりかえたようだ。着替えている横で今日の予定を教えてくれる。


「アルフォンス様、今日は旦那様が教会へ連れて行かれるそうです。

 朝食のあとすぐに出発するので準備をしておくようにとのことです」

「ああわかった。でも何も準備するものはないけどね」


 肩をすくめつつ始め着ていた服とは比べ物にならないほど手触りの良い服を整える。


「さて、いこうか」


 そうして、彼はジョンたちの待つ食堂へ向かうのだった。


◆◇◆


 アルは今、ジョンと共に教会へ来ていた。

 いや、教会というよりこれは神殿だろう。

 ジョンの家の10倍はあるのではないかという巨大な建物で、厳かな雰囲気に包まれている。


 教会の聖堂の中へ入ればおそらく神々であろう像が並べられ、ステンドグラスから入った光が聖堂全体を明るく照らしている。


 圧巻だった。

 日本の神社仏閣とはまた違った、神聖な空気に放心するしかなかった。


「ほっほっほ、気に入っていただけたようでなによりです。

 ようこそいらっしゃいました。サンチェス卿。

 この方がアルフォンス様でよろしいですかな?」


 好々爺然とした神官らしき老人がはなしかけてきた。

 全く気づいていなかったアルはかなり驚いている。


「お久しぶりですな。エドワーズ枢機卿。

 はい。この子が新しく我が家に養子に入ったアルフォンス・サンチェスです」

「初めまして、…アルフォンス・サンチェスです」


 なんとかそれだけ返した。枢機卿との事だからこの場での会話は敬語ですべきとアルは判断する。

 

「なかなか利発そうな方ですね。これはサンチェス家も安泰です」

「そう思います。それで、枢機卿、早速お願いしてもよろしいですかな?」

「そうですね。人が来る前にやってしまいましゃうか」


 一体何が始まるのだろうかと、アルが内心ビクビクしていると、エドワーズが何やら祈りを始めた。


 彼の周りに七色の光が集まり、聖堂を埋め尽くす。

 光はどんどん強くなり、気がつけばアルは真っ白などこかにいた。


(どこだ?ここは。あれ?声が出ない)


『よく来ました。柱の子よ。

 強くなりなさい。それがアナタの役目。

 この世界に呼ばれた理由。その時まで、見守りましょう』


 男とも女とも、子供とも大人とも、老人ともつかない不思議な声が聞こえた。


(待って! アナタはいったい!)

『“その時”にお会いしましょう』



「待って!」

「っ!

 アル、いったいどうした?」


 そこはもう、聖堂のなかだった。

 驚いた顔の二人がこちらを見ている。


「いえ…、なんでもありません」

「そうか、まあいい。

 これを見なさい。アルの『ステータス』だ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Name : アルフォンス・サンチェス/M/12歳

Tribe : 普人族(柱の子)

《Skill》

鑑定 高速演算 礼節 (白夢:封印中)

《Title》

転生者 名誉子爵家 (柱の子)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ジョンが渡して来た石板をみる。

 簡素なそれにあるのは名前と種族、スキル、タイトルという小見出しとその内容だ。


(タイトル…。称号かな?このカッコはなんだ?【柱の子】ってのはさっきの声が言ってたやつだ。封印されてるのもあるな。って12歳!?通りでいろいろおかしいわけだ…)


 ふと見れば、ジョンがソワソワしている。


「どうだ?」

「どうだと言われてもよくわかりません。このカッコで書かれているものはなんですか?」

「それは隠蔽されている場合の表記だ。今の時点でそれがあるのなら、神が行ったことだろう。決して人に言ってはならないよ」


 どうやら石板の内容は本人以外には見えないようだ。


「わかりました。それ以外を書き写しましょうか?」

「ああ頼む。これに書いてくれ」


 最初から頼むつもりだったのだろう。都合よく用意されていた紙に先ほどの内容を書き写していく。


 気がつけばエドワーズ枢機卿がいない。個人のスキルに関わることだ。現代でいえば個人情報。配慮してのことだろう。


「書けました」


 書き写したものをジョンに渡す。

 すると彼は崩れ落ちてしまった。


「あぁ……。よりにもよって転生者なのか!

 せめて、せめて迷い人であれば……!」


 突然のことでアルは何が何だかわからない。

 ジョンは悲痛な顔で続ける。


「いいか、よく聞きなさい。

 これからお前は徐々に前の世界の思い出を忘れていくだろう。

 迷い人もそうだが、ここで心を壊してはいけない。


 それはこの世界が異物を排除しようという浄化作用だが、既に存在してしまった人間を無理矢理消せるような強いものではない。


 しかしそれは自分の意思が、精神がハッキリしているうちはの話だ。


 もしそこで記憶をなくす恐怖に心を壊すようなことがあれば、その精神は砕かれ、迷い人は塵に、転生者は人形となってしまう。


 問題なのは、転生者は体じたいは生きていることなのだ。


 浄化作用によって消されるのは先程も言った通り思い出だけ、知識は残る。


 私たちが持たない、未知の技術の知識だ。


 多くの者が求めるだろう。

 そしてもし転生者とバレれば、お前を精神こころの砕けた人形に陥れようとするだろう。


 絶対に心を折ってはいけないよ。

 辛ければ相談しなさい。私たちが支えるから。


 絶対に転生者とバレてはいけないよ。

 私たちでは守ってやれなくなってしまうから。


 今度こそ、私たちに守らせておくれ」


 ジョンは泣いていた。

 アルは不思議だった。なぜ昨日出会ったばかりの自分のためにこうも泣けるのかが。


 彼も自分の知識をあてにしているわけではないというのは、何となくわかっている。


 それは、アルにはわからない。わかるはずがないことだ。何故ならそれは、彼らのトラウマに関わる事なのだから。


 モヤモヤしながらも彼は、泣き続けるジョンソンと共に帰路についた。


◆◇◆


「あぁ、アルくん。

 私たちがついています。守ります。

 だから、生きて《・・・》くださいね」


 帰ってからはナタリーにまで泣かれてしまった。

 ジョンが鑑定の結果を伝えてすぐのことだ。


 やはりわからない。本当に、なぜこの夫婦は…。


 でも、一つ伝わったことがある。


(彼らは本気で自分を守ろうとしている。

 愛情を注ごうとしている。

 きっと、なにかの、誰かの代わりなんだろう。でないと『今度こそ』なんて言わない。

 でも、たしかに俺を見てくれている……)


 アルの中で、何かが溶け始めて崩れる音が聞こえた。



 その日は結局、屋敷にいる全員から自分たちが守るから頼ってほしいという旨の言葉を受け取った。

 リーネだけはよくわかっていない様子だったが、心配そうな表情を浮かべてはいた。



 翌朝起きると、またいくつか思い出せなくなっている。アイツと何かイベントに行ったはずだが、何だったか。そもそもアイツとは誰なのか。


 恐ろしかった。自分を形作ってきたものがどんどん消えていくことが、まるでどんどん自分の魂を削られているように感じた。いや、実際そうなろうとしている。


「アルフォンス様!

 ーー大丈夫です。大丈夫ですよ」


 アルはノックに気づいていなかった。


 返事がないために寝ていると判断したサテラはドアを開けて驚愕した。

 アルフォンスが体を抱え込むようにして震えていたのだ。

 サテラは急いで駆け寄り、アルフォンスを抱きしめたのだ。


「大丈夫です。私たちはここにいます。消えはしません。決して。だから大丈夫です」


 本来なら主人を無断で抱きしめるなど、侍女がやっていいことではない。

 しかし今はその本来の状況ではないのだ。

 とにかく自身の主人を救わねばならない。もうあんな思いは嫌だ。世界にこの子まで奪われてなるものか。

 そんな思いで、主人をはげましつづけた。



◆◇◆


 結局、アルが落ち着いたのはサテラが部屋に入ってから30分以上経った後だった。


「遅くなってしまい、申し訳ありません」

「いや、いいよ。それに言っただろう?敬語は不要だと。私たちは家族だよ?」

「そうよ? もっと楽にしていいわ。

 さあ食事にしましょう!」


 ジョンとナタリーは優しく微笑み、食卓へと促す。


(本当に彼らはなぜ…)


 アルが席に着くとすぐに料理が運ばれて来て、朝食がはじまる。


 和やかな食事風景だ。日本でのと同じ。

 まだ記憶にあるそれと同じものだった。

 話題は主にアルのステータスについて。昨日は話せる状態ではなかったものだ。



「アル兄様は[鑑定]があるの!? 凄いです!

 滅多にいないんですよ?」


「もう[高速演算]なんて持ってるのね。

 来週から呼ぶ家庭教師には伝えておかなくてはね」


「12歳だったのには驚いた。背は低いが、落ち着いていたからもう少し上かと思っていたよ」



 だが、誰も【転生者】には触れない。

 何も知らないだろうリーネも、何となくわかっているのだろう。

 全員が気にかけてくれている事がわかった。


 今朝のスープは、少し暖かく感じた。





 食事も終わった頃、リーネが声をかけてきた。


「アル兄様!今日は一緒に王都を見て回りませんか?」

「んー、そうだね。楽しそうだ。案内してくれるかい?」

「はい!喜んで!」



◆◇◆


 リーネと共にサテラと、二人の護衛を伴って外へ出る。小遣いはジョンから貰っている。


 護衛は、紺色の瞳をもち、同じく紺色の髪を後ろで結んだ細身の女性であるシズクと、赤茶色の髪で緋色をたたえた鋭い眼光を持つ男、カイルであった。

 シズクがリーネ、カイルがアルの護衛だ。



 リーネが案内したのは貴族や富豪の住む上層区の外。商店街や広場だった。

 もともとサンチェス邸は上層区と平民の生活区域である中層区の境にある。


 平民出身であることもあり、特に中流階級以下を見下す感覚は無いだろう。


 これは〈ノブリスオブリージュ〉を掲げる多くの貴族に言えることではあるが、例外ももちろん存在する。


 しかし、今はどうでもよいことだ。

 とにかく、リーネと共に彼は楽しんだ。

 これまで悩んでいたことを、一時にしろ忘れられるほどに。







 日も暮れる頃、アルとリーネは街外れの高台にいた。


「アル兄様、もう少し待っててくださいね!

 ここから見える夕日はとっっっても綺麗なんですよ!」


 太陽に負けない笑顔でリーネが言う。


「それは楽しみだ。そう言えば、リーネはずっと敬語だね。家族なのに…」


 アルが少し表情を曇らせつつ言えば、リーネは慌てる。


「あっ、えっと、それは違うくて!」

「ははは、冗談だよ。それが普段の口調なんだろう?」

「もう!アル兄様は意地悪です」


 彼女が頬を膨らませつつ言えば、みんな笑った。

 アルも一緒に笑っていた。


「あ、何笑ってるんですか!サテラやシズクまで!」

「お許しください、レイネシア様。ほら、空が赤くなってきましたよ」


 サテラが謝りつつ話は逸らす。

 所詮は10歳の子供だ。それだけで簡単に誤魔化される義理の妹を、アルは苦笑いしながらみていた。


「アル兄様!ほら!」

(うわぁ!)


 言葉を失った。様々な赤が混じりつつ、街を、空を染め上げる光は、彼が前世で見たどれよりも美しかった。


 しばらく見ていた。

 どれほど時間が経っただろう。一瞬だった気もするし、何時間も見ていた気もする。


 まだ周囲が明るいことを考えれば、それほど長くなかったのだろう。


(うん、決めた)


 彼は一つ、決心をしていた。


◆◇◆


 夕食後、アルはジョンとナタリーと共にジョンの執務室を訪れていた。


「今夜伺ったのは、お聞きしたいことがあるからです」

「何かな?」


 アルの真剣な空気を察して、2人は敬語を咎めない。


「2人は、いえ、この家の方々はなぜ、数日前にひょっこり現れた俺を、ここまで気にかけてくださるのでしょうか」

「・・・・」


 沈黙が続いた。ジョンは目を閉じたまま、何も言わない。何かを考えているようだ。


 やがて、ナタリーが口を開いた。


「ジョン、伝えましょう。アルくんには聞く権利があるわ」

「………わかった。伝えよう。

 始めに言っておくが、この事をリーネは知らない。知る必要もないことだ」

「わかりました」


 ジョンは続ける。


「アルは、不思議に思わなかったかね?私たち夫婦は50近い。にも関わらず子供は10歳のリーネ1人だけだ」

「…前の世界ではない話ではなかったので、気づきませんでした。言われてみれば、少し違和感がありますね」


 べつに経済的に苦しいわけでもなく、むしろ余裕のあるこの家ならもう数人子供がいてもおかしくない話ではある。


 ナタリーが繋ぐ。


「私たちにはね、もう1人、息子がいたの。

 あなたと同じ、転生者だったわ」


 アルは息をのむ。

 先日聞いた話からすれば、即ち……。


「始めは違ったんだ。

 あの子は君につけたサテラといい仲にあってね。成人したら結婚する話もあったんだ」


 ジョンは、優しい微笑みで、懐かしむようにはなす。


 あの子が前世の記憶を持つ転生者となったのは、11か、12歳の時。

 途中で前世を思い出すことは、それなりにあることだ。


 例え途中で思い出したものだとしても、この世界にとっては異物だ。排除がはじまる。


 あの子はそれから毎日、記憶が、心が削られる恐怖と戦っていたんだ」


 アルにも覚えがある。今朝もそうだった。

 それは、まるで耳元で行われているように、アルに心の削れる音を幻聴させた。


「私たちは、気づけなかった。


 気づいた時には、既に、手遅れだった」


 2人は泣いていた。


「心が壊れ、抜け殻となったあの子をみて始めて鑑定をかけ、【転生者】となっていることを知った」


「この事がショックで、私は当時身籠っていた子を流してしまったの。


 それからなかなか子を持つ気になれなかったわ。

 5年ほど経って、やっと産んだ子がリーネよ」


「君を初めてみた時、迷い人だと思った。

 金髪で、瞳は私と同じ深い紫だが、『気がついたら草原にいた』と聞いたからね」


 アルはここで初めて自分の容姿が変わっていることに気づいた。

 そんなアルの内心に関わらず、話は続く。


「君には、あの街に来ていたのは偶然と言ったが、あれは嘘だよ。


 迷い人も転生者も最悪の結果は同じだ。

 私はリーネが生まれてから、もし近くでそれらしき子が現れたら引き取れるよう、常に情報を集めていた。


 罪滅ぼしがしたかったんだ」


「あの子の代わりが欲しかったわけではないの。

 でも、アルくんを利用する形になってしまっていたわね…。

 ごめんなさい」

「そうだね…、すまなかった、アル」


「………頭をあげてください()()()()()()


 アルの声に驚いて、ジョンとナタリーは顔を上げる。


「俺は始め、『アルフォンス・サンチェス』であることを、心からは受け入れられませんでした。

 父さんについて来たのも、それが最善だと思われたから。

 俺こそこの家を利用していました。


 それなのにこの家のみんなは、俺を受け入れ、心から気遣ってくれた。


 そんな理由があったとはいえ、俺が救われたのは事実です。


 まだ、前世を大事にしたい思いはあります。

 でも、記憶をなくすことは、もう恐くはありません。

 俺の居場所がたしかにここにある事を知りましたから。


 前世の思い出は、日記に記すつもりではあります。

 でもそれは、前世に、日本にいた1人の男の話です。俺、『アルフォンス・サンチェス』の話ではありません。


 今の俺は12歳ですからね!

 17年分の記憶なんてあるはずがないんです。


 ……ありがとう。父さん、母さん」


 アルは、涙を流す2人を抱きしめた。




 翌朝のスープは、とても暖かかった。


続きは…下手したら一年以上あとです。


その時の参考にするので評価感想貰えたら嬉しいです。

ブクマだけでもポイントになるので、してもらえたらなお嬉しいです。

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