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不死者の町人生活  作者: 旬のからくり
151/209

エルフ襲来②

「双子だったのか。」

 キイから説明を受けた俺達は、現女王ミームの悪ふざけだった事を知る。シヴは知ってて故意に伝えなかったな、余りに性格が違い過ぎて、見た目以外は姉妹だと気付くすべがないだろこんなの。

「お初にお目にかかる、ハバキと申します。」

 トビーで耐性が出来てるのか知らないが、ハバキはすでに状況を受け入れ、うやうやしく挨拶なんてしている。

「ああ、あなたが? 思ったより若いのね。」

 貿易を始めるって話はちゃんと通ってるみたいだな。

「ちゃんとシヴと約束した通り、あなたの所で働く人も連れて来たわよ。後で紹介するわね。」

「はい、込み入った話は後程致しましょう。」

 そう言ってハバキはミームに礼をする。

 ハバキに頭を上げさせた後、ミームはこちらを見た。


「何でわかったの?」

「何がですか?」

 何の話だ。

「姉様がここに来る前に、誰だ! って言ってたじゃない。」

 ああその事か、簡単な事だ。

「似てはいるけど少し香水の匂いが違うなって。で、おかしいと思って耳を見たらピアスの色も違うじゃないですか。」

 キイが緑以外のピアスを付けている所は見た事がないからな。

「え? それだけ? それだけで姉様じゃないってわかったの?」

「いや、大体キイがあんな大はしゃぎで抱き着いて来たりするわけないんで……。」

「なるほどね~、俺がキイを間違える訳ないだろう! くらい言ってくれるのかと思ったわ。」

「も、もうよい。どれだけワシらが寝食を共にしていると思っておるのじゃ。そもそもせめて口調や態度くらいは寄せてみせるくらいの努力はするじゃろ……。」

 キイは呆れているが、こうして冷静になってじっくり見てみると全然違う。多分キイの真似をしても遅かれ早かれ見抜いてた自信はあるけどな。


「面白そうだから次に会う時はそうするね!」

「いや、もう騙されないですよ。これだけ見た目が違ったら流石にわかりますって。」

 俺がそう言うと、みんな一斉に俺を見る。

「本気で言っているのか?」

 ハバキが口を開いたが、周りもハバキと同じ考えみたいだな。

「むしろみんなこうして二人が並んでるのに違いがわからないのか?」


 俺にそう言われて、ローランがキイとミームを交互に見る。真剣に観察した後、俺の方へ振り返って言う。

「……わかりませんが?」

「いやいや、まず簡単なところでは胸の大きさが違うだろ? キイの方が大きい。」

 そう説明してやるとミームが少し悔しそうな顔をした。キイは特に気にしていないようだが。

「言われてみれば何となくそうかもな~? って程度なんですが。」

 まあ服によっては分からないかもしれないな。

「目元見てみろよ、キイの方が優しいだろ?」

「いえ、同じです。」

「じゃあ口だ、説明しにくいけどキイの方が大人びてる、伝わるかな?」

「同じだぞアレン?」

 ハバキも顎に手を当てまじまじと観察しているが、どうやらわからないらしい。


「なんでこんなにはっきり違うのにわからないんだよ、目がおかしいんじゃないか?」

「いや、おかしいのはどちらかと言うと貴公の方だぞ?」

「そうですよ、鏡を置いてるのかっていうくらい同じです。」

 女性から見るとそうなんだろうか? トールさんは俺の味方になってくれるかもな。

「トールさんはわかりますよね? 俺の説明。」

「すいませんわかんないっす。」

 何でだ……。


「おしっこ……。」

 俺が独りで全員から変なやつを見るような視線を一身に受けていると、エヌが起きてベッドから降りて来る。

 目を擦りながらキイとミームの前で止まると、二人の顔を見た。

「エヌ、この方はね……」

 ローランがエヌに説明しようとした時、ついに俺の味方が現れる。

「キイさん、おトイレついてきて……。」

 エヌはそう言うと、何の躊躇も無くキイの手を取り引っ張った。


「うむ、ついて行ってやろう。」

 みんなが困惑でうろたえる中キイは立ち上がり、エヌとトイレに向かう。部屋には無いので廊下へ出ようとするが、俺の脇を抜ける時キイは俺の方を見る。

「どうした?」

「ふふ、何でもないのじゃ。」

 何故か少し顔が赤いが、いつもの笑顔だな。これだよ、ミームがこの顔をするのが想像できない。

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