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不死者の町人生活  作者: 旬のからくり
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色々手続きします②

 あの後、指をスッとナイフで切るとか噛みついて犬歯で穴をあけるとか、そういう格好いい事はせず、色々悩んだ結果脚にあったカサブタを剥がして血判を押した俺だが、俺の血である事は間違いないので大丈夫だろう。

 タークスさんも苦笑いだったが、「その手がありましたか」と言っていたんで問題ない。明日の朝一番で役所に提出しておくと言って、書類を持って帰って行った。


「何とも情けなかったのう。」

「カサブタ剥がすのも痛かったんだぞ!」

「不死者の言う事か……。」

「死なないと痛くないは違うだろ!」

 キイにつつかれながら夕食を食べ、皿が綺麗になる頃にようやくシヴが帰って来た。


「よう、やってんな。」

 思ったよりも普通のシヴは、何事もなかったかのようにテーブルについた。


「意外と早い立ち直りだったな、受け入れたのか?」

「そんなわきゃねーだろ……。さっきよ、ギルドマスター捕まえて脅しといた。」

 脅した……、って滅茶苦茶だな。

「ナインハルトを?」

「ああ、ちょっとでもあの件をお漏らししやがったら、上唇と下唇が永久にお別れする事になるぞ? って言っといたから、まああいつから漏れるこたぁないだろ。」

 テーブルに肘をついて面倒そうにシヴは言うが、下手をすれば事件だぞそんなの。


「そりゃいくら何でもやりすぎだろ、ここに住むんだぞ……。」

「いや? 眼輝かせて「シヴ様と秘密を共有できるなんて光栄です!」とか言ってたぞ。」

 シヴの話を聞いてキイが頭を抱える。

「なんなんじゃあやつは……、最初の印象と全く違う性格じゃったの……。」


 まあナインハルトからしたらシヴは神様だからな……。魔族の国に行った時も一番派手にやってたのはシヴだったし、バカ王からも色々聞かされてるんだろうな、あることないことないこと。


「後は明日役所に行って、屋敷の清掃が終われば終了じゃな。」

「うん、役所の帰りに家具でも見にいくつもりだよ。」

 ベッドとか食事用のテーブル以外に特に必要な家具も思い浮かばないんだけど、まあこういうのは早い方がいいよな。


「そんで、おまえらの仕事はどうすんだ?」

「それなんだけど、特に何も考えてないんだよ……。シヴがオウルになってくれたのは有難いんだけど、この町は平和そうだし二人もオウル要らないと思うんだよね。」

 仕事に関しては元々は独りで暮らすつもりだったので、オウルにでもなればいいかなと甘く考えていた部分だ。まあ俺がナインハルトに勝てるとも思えないので、どちらにせよ同じ悩みは抱えていたんだろうが。


「だろうな、下手すりゃ俺もやる事ないかもしんねーからな。」

「そうじゃな、まあ蓄えの心配自体はないんじゃがのう。」

「だね、思ったより家は安く買えたし、お金は大丈夫。問題は体裁というか、何十年も誰も住んでなかった家買って突然この町の住人になった三人の内、一人は狂暴そうなオウル、二人が無職じゃ変な噂立ちかねないよな。」

「狂暴そうな、とか付け加える必要あんのかよ。」

 シヴが俺を睨む。

「そなたは自覚した方がよいぞ、見た目だけなら充分極悪人じゃ、魔王ですら一目置いたではないか、初対面で。何故か動物にはやたら好かれるがの。」

「そうそう、獣人にもな。」

「お前さんらがオウルになろうとしたら全力で邪魔してやるからな。」


 取り敢えず家が決まった安堵からか、やたら酒が美味い。今日も深酒になりそうだ。

 仕事は追々考えなきゃ、だな。

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