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異世界転生って性別も変わるんですか?  作者: 幻影の夜桜
やはり俺の性別は間違っている
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第1話 剣と魔法の異世界 ④

ダイエット中なので、よかったら良い方法を教えてください。

ちなみに好物はポテチです。

 共にパーティを組むことが決まった俺たちは、この世界での冒険者の常識の話を聞きながら、二人並んでギルドの施設へと歩いていっていた。

 その途中でも、このデキる男は街に不慣れな俺に色々な紹介をしてくれて、更には道中様々な場面において気を遣ってくれたりと、すさまじいイケメン振りを見せていた。ヒーローくんほんとにすごい。

 そして驚くことに、俺達はいつの間にかすっかりと打ち解けてしまっていた。勝ち組は女の子とこうして親しくなってるらしい。会話が親しげになるまでの違和感が全くもってなかった。


 そして施設に着いた俺を、「こっちだよ」と言いながらカウンターまで優しくエスコートしてくれる。どこやらのポンコツと違ってこっちの方がよっぽど神に近い存在だと思う。


「こんにちは」

「あら、ミストさん。どうされましたか?」


 ミストというのか。覚えておこう。

 思えば名前を聞いたのは初めてである。お互いに自己紹介をするのを忘れていた。


「この子がギルドインしたいみたいで」

「そうなんですか?」

「は、はいっ」


 何も言わずともそれなりに話を進めてくれるミスト。なるべく女口調で話すことを避けたい俺としては、実にありがたい。


「それでは、こちらの機械に手をかざして頂けますか?」


 俺は受付のお姉さんに言われるままに機械に手をかざした。


「これは貴女の能力を読み取る装置です。これに手をかざすだけで、貴女の筋力、体力、魔力、俊敏性、視力、知力、信仰力といったものの数値を測り、自動的に選択できる職業を抽出します」


 ほう。なんだか色々と読み取れるんだな。

 しかしやはり異世界というだけあって文明の進み方が根本的に異なる。

 こういうハイテクなところは明らかに元の世界より進んでいるのに、街並みは近代ヨーロッパあたりがイメージとしては近い。


「ところで君は何になりたいかとかは決まっているの?」

「魔法使い!」

「なるほど。じゃあ魔力と知力か」


 ミストに希望職種を聞かれた俺は即答。魔法に憧れて来たのだから、やはり魔法使いが第一希望である。

 そしてどうやら、魔法使いになるには魔力と知力が必要らしい。


「見た感じでは、どちらも水準に達してそうな気はしますけどね」

「僕もそう思うよ」


 えっ、何それ。何を基準に言ってるんだろう。もしかしてこの世界に住んでたらひと目で大体分かっちゃうのだろうか。

 というか知力が高そうって今言われたんだよな。つまり賢そうに見えるってことだろうか。さすがにちょっと照れる。

 それにしても、知力がありそうというのはまだ分かるが、魔力がありそうな外見とはいったいどんなものなのだろうか。そんなどうでもいいことを考えているとピピピという機械音が鳴った。


「あ、終わりましたね。えっと……」


 そう言った受付のお姉さんは、機械に繋がるモニターの画面を覗き込む。ちょっと緊張するな。

 ドキドキしながら待っていると、お姉さんがモニターから視線を外してこちらに笑顔を向けた。


 「えっと、知力と魔力が高めの水準ですね、おめでとうございます。筋力と体力がやや低めですが、これは女性ですし仕方ないですね。その他は大体平均並みなのですが……信仰力が最高値であることには失礼ながら少し驚きました」

「えっ、信仰力が!?」


 俺より先に食い付いたミスト。

 信仰力というと、神や仏を信じる気持ち的なアレだろうか。

 それならば俺は0と出てもおかしくないくらい全くもって信じていないのだが。

 もしかしたら、ここの信仰力は俺の世界のものとは少し違うのだろうか。そうか、そうなのかもしれない。


「こう言っちゃなんだけど、神様を信じているようにはあんまり見えなかったな、ごめんね」


 同じらしい。


 ミストはモニターを覗き込んだあと、意外だったという表情で俺のことを見つめていた。

 そして言わなくてもいいのに、そう思っていなかったと謝罪の言葉を述べてくれる。

 ただ申し訳ないことに、正直ミストの見立て通りなのだ。信仰力がカンストするなんて有り得ない。壊れてるんじゃなかろうか。しかし新参者の俺にそんな指摘をする勇気はない。


「とりあえずこの基礎値ですと、《魔法使い(メイジ)》、《神官(プリースト)》と《大司教(アークビショップ)》ですね。気に入るのが無ければ無職ということもできますが、ご希望の魔法使いも、上級職の大司教もあるのであまりオススメはしません」


 ちょっと待て。分からない単語がいっぱい出てきた。

 無職? 上級職? 神官と大司教?

 無知の極みである俺が首を傾げていると、察したミストが口を挟んでくれた。


「一度職を決めると、その上級職以外に転職することが出来ないんだよ。だから例えば君のステータスだと、戦士になりたいから無職にして筋力と体力を高めるって具合にね」

「無職は分かった。上級職は……?」

「上級職は……強化版と言えばいいのかな? 例えば魔法使いなら知力と魔力が一定値あればなれるけど、さらにそこから知力と魔力を極めていけば《大魔導師(アークウィザード)》っていう上位互換の職に付けるようになるんだ。ほとんど居ないけどね」


 おお。なんか一気にこの世界の設定が盛り込まれていく気がする。

 まあつまり転職が出来ないから、よっぽどなりたい職業があれば無職になるのだろう。

 俺としては異世界に来てまで剣士とかにはなりたくないのだが、幸いにもすぐ魔法使いになれる基礎値があるらしい。

 やっぱり魔力を高めに設定してある身体であることは間違いないのだろうか。女になってるけど。


 上級職になれるというのはちょっと気になるところでもあるが、大司教と言うなら多分回復職だろう。地味だし、蘇生魔法が使えない大司教ってあんまり惹かれない。


「魔法使いでお願いします」

「かしこまりました。なりたがってましたもんね」


 転生早々魔法であんなことをされてしまったが、結局魔法への憧れが消失することはなく、予定通り魔法使いになることにした。

 俺の決断を確認したお姉さんは、またモニターに視線を移して何かを操作していく。すると、さっき手をかざした機械から出てきたカードを取り出し、俺に差し出してくる。


「お待たせしました。では、ミラさん。《大魔導師(アークウィザード)》、並びに魔王討伐目指して頑張ってくださいね」


 ……?

 ミラさん?

 ……誰?


 ……と俺が首をかしげていると、それを感じ取ったお姉さんが、少し慌てる素振りを見せながら。


「あ、あれ? 違いましたか? Miraとあったのでミラさんと読むのかと思ったのですが……」


 言われた俺は少し驚きながら貰ったカードに目を落とす。そこには様々な値が書かれていたが、その左上に大きめの字で確かにMiraと書かれてあった。

 確かにこれはミラとしか読めないだろう。


 ……え。これもしかして俺の名前?


「え、えっと。大丈夫です。合ってます」

「よかった……では改めて、頑張ってください」


 ひとまずこう返すのが正しいと判断してこの場を収める。俺の名前、ミラなのか……?

 いや、確かに女の姿でユウトとか名前でもおかしな話だとは思うけど……。

 そもそもこの世界でユウトと言ったら男判定になるのか? やばい。少し混乱してきた。


「ミラっていうんだ。いい名前だね。あ、忘れてたけど、僕の名前はミスト。気軽に呼んで」

「う、うん。よろしくね、ミスト」


 俺の名前を聞いたミストがまた爽やかな笑みを浮かべて、忘れていた自己紹介をしてくるが、はっきり言ってあんまり頭に入ってきていない。


 なんだ、ミラって。俺はこれからミラって呼ばれるのか?

 なんだろう。ちょっと可愛いだけにこれなんかすごく恥ずかしいぞ。まるで何かの罰ゲームを受けているような気分だ。

 そんなことを思いながら悶々としていると、ミストが少し笑っているのが目に入る。


「えっと、どうしたの……?」

「いや。てっきり君付けで呼んでくると思ってたから。ちょっと意外に思っただけだよ」


 あ、ああ。それはやってしまった。確かに今までお淑やかな様子を意識していたくせに、突然の呼び捨ては変なものである。

 まだ数時間にしてこのボロ。まさかそんなこと想像しないだろうから、ミストの言う通り、意外くらいの感想で済むだろうけど。

 正直やらかすまで時間の問題な気がする。本当に気を付けよう。そのうち「俺」って言いかねない。


「ところで、ミラちゃんはどこかパーティに入る予定はある?」

「へっ!?」


 ポン、と肩に手を置かれたことで、自分に話しかけられていることを知る。

 正直ミラと言われてもしばらくは反応できる気がしない。しかしこれから多分何回も呼ばれることになるんだろう。

 慣れなければ……。


「ご、ごめん。パーティが、なに?」

「えっと、さすがに一人での冒険は危険だからね。普通は3人から6人でチームを組んで冒険するものなんだ。それで、よかったら僕のところにどうかなって。もちろん、今すぐの返事じゃなくていいよ」


 なるほど。言われてみれば、ゲームにしても、縛りプレイでもない限りは一人で冒険することはほとんどない。


 うーん。こういうのは焦って決めるべきではないのだろう。だが、このミストという男は非常に頼りになる。明らかな世間知らずである俺にも動じることなく、一から十まで丁寧に教えくれる。これは後のことも考えるとさすがに入るべきではなかろうか。

 仮に先延ばしにしたとしても、後から「やっぱり入れて」とは言えそうにない。

 それにこのミストのことだ。他の子に先に取られる可能性も非常に高いだろう。


「わ、私っ、入りたいです」

「ほんとに? ありがとう。じゃあ後で僕らの拠点と仲間を紹介するよ」


 まさか二つ返事でOKを貰えるとは思っていなかったのか、少し驚いた様子を見せつつも、すぐにあの爽やかなスマイルで迎え入れてくれた。色々あったが、安泰なパーティに入ることはできたようだ。

 俺はミストと歩きながら、これからの新たな人生に、ほんの少しだけ思いを馳せた。

職業No.3

名   称:魔法使い《メイジ》

練   度:基本職

比   率:8%

得意な属性:魔法、遠距離

苦手な属性:近接、防御

ミスト所見:

どの職業よりも幅広い多くの魔法を習得することが出来る、みんなに人気の職業だね。

だけど、基礎魔力値が高くないとなれない職業だから、人気ほど比率は多くないんだ。

パーティに一人居るとかなり総合力が上がると言われてるよ。

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