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やり直したのが僕の場合  作者: 竹井 恭則
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プロローグ

 平日は忙しいだけでやりがいが感じられないくせに責任ばかりが付いて回り、増える一方の仕事に追われてストレスを溜める。そして、休日は動き回るほどの気力がないという理由で家に引きこもり、子供の頃から惰性で続けるゲームや漫画に現実逃避をする。

 これが30歳を目前にした独身男の日常だと聞いたら、輝かしい未来を担う中高生や家庭を築く所帯者の皆々様はどう感じるのか。きっと悲しいものとして映るだろうことは想像するに難くない。

 いや、もしかしたら晩婚化が進む昨今では、そこまで珍しくもなく、まぁそんなものじゃない? と対して気にもされないだろうか。少なくとも小学生時代の僕に限って言えば、30歳にもなれば結婚して子供がいて楽しくやっている、そんな漠然とした未来を想像していた気がするが。

 さて、遅ればせながらここで自己紹介をさせてもらいたい。

 僕の名前は、吉井由木という。僕みたいなおっさんの趣味、興味などは知りたくもないだろうからとりあえずはおいておくことにして、特徴は何かといえば前置きからお察しのとおり、先に挙げた人物像こそが今の僕を如実に表している。子供の頃の想像とは一体なんだったのか。そんな運命の分岐点は指先すら引っかからなかったよ。

 と、そんな僕であるが、いつの頃からか身にしみて認識するようになったことがある。それは、

「疲れが取れない。」

ということだ。その程度は、疲れを癒す手法が書かれた本を見かけたら迷わずレジに持って行くくらいと言ったらわかりやすいだろうか。一般的に適正といわれる7時間の睡眠時間を取っていても起床時のだるさは治らないし、通勤中の運転では眠気に恐怖を覚えることが多い。

 これらの原因はストレス社会による精神面の問題か、それとも三十路に片足を突っ込みかけたことによる体力面の問題か。解消されたことがないから正解はわからないが、ついついぼやいてしまうくらいには、僕は取れない疲れを日増しに感じるようになっていた。

 この世界が、ロールプレイングゲームのように1日休むと体力が全快するような仕組みであれば良かったのにとは何度考えたことだろう。しかし、残念なことに人間というのはそう強くはできていないらしい。疲れをわかりやすく数値化して、規定値に達したら休養が取れる。そんな育成ゲームのシステムのような文化にならない限り、僕らは日々の疲れに悩まされるしかないのだろう。

 だから、何でも願いが叶う。そんな状況に恵まれたのなら、僕の望みはたった一つ。

 どんな理由でもいい。僕に長い休息の機会をください。

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