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7番目の勇者  作者: モダろいしヒト
32/50

『第一、第二甲殻脚パージします。』

アッシュにはどんな秘策が有るというのだろうか?


アッシュと短剣は外部からではなく、内部からの破壊を試みるという。


リリアは、どうするのか?と思案しているとアッシュからお声がかかった。


「リリア、アレをやるぞ。」


「アレ?」


「あの、カマイタチじゃない方の…………。」


「じゃない方??」


「竜巻のやつだよ!」


「あぁ、『風の?竜巻のぉぉっ!』ってやつ?」



「……………………………………??????」

束の間、アッシュは顔をしかめる。


「いや、ちげぇよ!あれは技名じゃなくて、あの時は咄嗟に出ただけ!技名はまだ考えてないケド、とにかくあの竜巻のやつ!!」


「何だか良く分かんないけど、分かったわ。竜巻のやつね?」

そう言うとリリアはアッシュの短剣に妖力を送り込む。



前回同様、アッシュの武器周辺の空気が螺旋を描く様にゆっくりと動き出した。


「い~ゼェ、このまま内部からズタズタにして脚部を切離(パージ)してやるゼ。」


アッシュは短剣の刃先を関節部に突き立てたまま内部で竜巻を大きく育て上げる。



ギシッ!ミシミシ、バチバチ、ブチブチッ!!


ロマンテイツ・クラブの脚の内部から肉と腱が分断されている様な音が聞こえてくる。



脚の異常に気付いたのか、ロマンテイツ・クラブは歩みを止めその場で脚を上下させてアッシュを振り落とそうとする。


(今頃気が付いても遅いゼ。)

アッシュは振り落とされない様に必死でしがみつきながら内部で育て上げた竜巻を解き放つ。


(喰らえ、螺旋で切り裂く空気の刃を!!)

空螺旋(くうらせん)!!!」



内部で放出された螺旋の空気はロマンテイツ・クラブの脚部の殻を内側から突き破り、関節部を境に脚と身体を切離(パージ)した。



ズウウゥゥゥゥンンンンン……………………


脚を1本失ったロマンテイツ・クラブはバランスを崩し、斜めに倒れ込んだ。



(好機!このチャンスを逃す術無し!!)

「リリア!次いくぞ、次ッ!!」


そう言うとアッシュは今までしがみついていた脚を離れ、一番近くの脚まで泳いだ。



ロマンテイツ・クラブも危機を感じたのか、直ぐ様体勢を立て直し、エロテイツ・クラブとの合流を急ぐ。


蟹の脚は両の鋏を含め、10本。

1本破損したところで進行可能。



ロマンテイツ・クラブが再び歩を進めようとしたが一手遅かった。


ロマンテイツ・クラブが動き出すよりも先に脚の関節部に取り付いたアッシュが短剣を突き立て、2本目の脚を狙う。


「喰らえ、必殺!空螺旋!!」


バキバキ、メキメキ!!

バキボキ、バガーーーーン。



2本目、切離(パージ)!!



グンッ!とロマンテイツ・クラブの本体が沈む。

が、前回の様に倒れはしなかった。



アッシュとしては、また倒れ込んでいる隙に次の脚へと取り付きたかったが計画通りにはならなかった。


「チッ、コイツ堪えやがった。」

(まぁ良い、このまま身体伝いに行って、3本目も頂きだぜ。)

アッシュがそう思った矢先……………………


ガギィィィィィィ、ギシギシ。


アッシュの掴まっていた2本目の脚が音を立てて軋み出す。


(何だ!?)

アッシュは思わず今自分が取り付いている脚の付け根部分を見上げた。



「な!何ぃッ!!!」


何と、アッシュの見た光景はロマンテイツ・クラブ自らの鋏で己れの脚を挟んでいる姿だった。


メキメキメキ、パキッ!!

ロマンテイツ・クラブ、会心の自己切離(セルフパージ)



(あ、ヤバ!そうきたか。)

アッシュがロマンテイツ・クラブの考えを理解した頃には時既に遅し。


アッシュのしがみついていた脚は本体から切り離され湖底へと沈んで行く。


ロマンテイツ・クラブは再稼働。

どんどん距離が離れて行く。



アッシュは沈みゆく脚だったモノから離れ、必死で泳いだがロマンテイツ・クラブの歩幅は大きく、到底追い付けない。



アッシュは呆然とエロテイツ・クラブの元へ向かうロマンテイツ・クラブの後ろ姿を眺めるだけだった。

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