『アッシュ、エアスラッシャー辞めるってよ。』
キリ山へと続く道をアッシュは黙ったままひたすら歩む。
アッシュは何やら考え事をしている様子だったので、リリアも特に何も話かけなかった。
そうして2時間程歩いただろうか。
アッシュが突然リリアに話しかけてきた。
「俺、エアスラッシャー辞めるわ。」
リリアは急に何の話かと思い、反応が遅れる。
気にせずアッシュは続けた。
「エアスラッシャーって、親父が付けた技名だろ?」
「えぇ、そうよ。」
「何かさ、名前長いし、センス的にもどうかな?って思うんだ。」
「でも、折角お父さんが考えてくれ…………」
「やっぱさ、初めての技は自分で名前付けたいと思うんだよ。」
「まぁ、分からなくも無いケド。」
「でさ、考えたんだ。カマイタチってのはどう?」
この2時間、黙々とそんな事を考えていたのかとリリアは思った。
「俺、何かの本で読んだんだけど、異国には真空の刃で切り付けるカマイタチって妖怪が居るらしいんだ。」
「それで?」
「俺の必殺技とイメージが似てると思って。だから次からは、必殺!カマイタチ!!でいこうと思う。どうかな?リリア。」
「ど、どうって…………、へ、へぇ~、良いんじゃ無い?(どうでも。)」
「よっしゃ、決まり。次からはカマイタチのタイミングで宜しく、リリア。」
「は、はぁ~い。」
気の抜けた返事をしたリリアは内心、アッシュのネーミングセンスもどうかと思っていた。
アッシュ達の旅はまだ始まったばかりだ。