ニ服目
「かしこまりました、。この薬は私が調合したのですが、ただちょっと副作用の心配があります。」
「どんな副作用なのでしょうか?」
「はい、それがわからないのです… 誰もこの薬を飲んだものはいませんので…」
「そんな薬はとても飲むことなどできません。」
「嫌ならお帰りください。ただ効き目は保証いたします。」
美香は好奇心に勝つことができず了承をした。 「わかったわ。それで薬代はおいくらなのですか?」
「これが薬の処方箋と明細です。」
カブトが差し出した一枚の紙切れを見て、美香はぎょっとした。主成分がトリカブトで十日間連続服用のこと、薬代は三万円とあった。
「トリカブトと言えばたしか猛毒の植物ですよね。」
「何事も適量ならば心配はございません。」
もう全てに嫌気が差していた美香は、薬代を支払うと薬を握りしめて屋台を後にした。
「毒薬ならそれでもいいわ…」
次の日から十日間、美香は朝晩美人薬を飲み続けた。
そして11日目の朝、鏡を見て絶叫した。
なんということでしょうか、小さかった目はまつげも長くぱっちりと開き、ひしゃげていた鼻は筋が通りツンと涼しげに、大きな口は小さな薔薇のように、体もしなやかな青竹の細さになっていたのです。
美香は繁華街まで出て、まずは美容院、そしてブティック、靴屋と回り、家に戻る頃にはもう以前の彼女とはだれもわからなくなっていました。