00 プロローグ
この作品には、暴力的な表現があるので苦手な方は閲覧を控えてください。
不定期更新となります。
「つまらない……」
黒いパーカーのフードから覗く金色の長い髪をなびかせながら呟く少女。
恐怖で我を忘れたかの様に拳を向ける男を少女は興味無さげに見ると、細く長い脚で男の鳩尾を蹴りを入れる。
苦しそうに呼吸をする男の顔、こめかみに狙いを定め蹴りを入れる。バキッと何かが折れた音がしたが、少女は気にする様子もない。
「まだ……全然たりない」
ポツリと小さく呟いた少女は目の前に倒れている複数の男達を見下し自嘲した。
ふと、何かに気づいた様に暗くて先が見えない道をじっと見つめる少女。
ザクッ、ザクッと靴と地面が擦れる音が近づいて来る。
「よう、お前が『黄華』か?」
ニヤニヤと下卑た嘲笑を浮かべて少女に問う男。
少女が先程倒した奴の仲間、ざっと三十人といったところだろうか。一対三十という誰がみても少女が不利だと思う状況。
しかし、少女は冷たい独特のオーラを出し男達を視界に入れた。
「……そうだとしたら?」
凛とした声で、口角をあげながら挑発するようにこたえる少女。 その態度に少し動揺する男。
少女は先頭の男の脇腹を狙い蹴り上げた。女の蹴りだと思わせない程の力が入っていて 蹴られた男は数m先のコンクリートへと体強く打ち付けた。蹴られた男は既に気を失っており、額から血が流れている。
本当に一瞬の様の出来事だった。
今、その場に立っているのは返り血で黒いパーカーを赤に染めている少女ただ一人。
誰もが呆然とする光景だろう。
「ねぇ、誰が私を楽しませてくれる?」
そう呟いた少女の蒼い瞳は月の光で輝いていた。