プロローグ
一つ一つの話を区切って行きたいと思います~
がたがたと怯えたような表情でロボット、セクサロイドと呼ばれているロボットが少年に怒られたせいで縮こまる。
「なんで俺はセクサロイドを拾ったんだろうな……」
ゴミ捨て場で雨に濡れていたところを偶然にも見つけてしまい、そのまま無視して立ち去る事が出来なかったため声をかけて連れてきてしまった。
「がたがたがたがた」
手の平を頭にあてて身を守るようにして小さくなっている姿はまるでセクサロイドに見えない、あの淫乱でふしだらな何もかもを誘惑し破壊するいまいましいロボットに見えない、それはゴミ捨て場で無視できなかった理由の一つかもしれない。
「おい、お前。名前はなんて言うんだ」
「えっ」
恐る恐るといった感じでそっと顔をあげる。目には涙の跡がうっすらと見て取れる。
「名前だよ、名前ないの」
「あります製造番号0043愛玩用ロボットあい、それが私の名前です」
「どこか行くあてはある?」
「ないです、なのでこのままだと処分です」
「…………」
「…………」
「…………」
沈黙が二人の間を流れる。
「あ、あのですね! 私を雇ってくれませんかっ!」
「だが、断る」
「あれすよご主人。私を雇えば家事掃除もちろん夜の営みだって完璧に――え、ことぁる? え、ええう」
「嘘、冗談に決まってるだろ」
「説得力が皆無なんですけど! 私を雇ってくれるんですか?」
「ああ、そうだ」
「よかった……」
あいと言ったセクサロイドは心底安心した表情でほっと胸をなでおろしてた。
「俺の名前は一だよろしく」
「データの初期化を開始。主人登録一。16歳。阿達高校に通う高校生。帰宅部。童貞。登録完了しました。これからよろしくお願いします」
「あれ自己紹介もしていないのになんで俺の事わかるの?」
「ネットは怖いんですよ」
「ごめんなさい」
あいの正面で土下座。さっきとは逆転している光景に一は苦笑した。なぜこいつを連れてきたのかわかった気がするからだ。頭の上ではふんすふんすと鼻息を荒くしているように感じる。
かくして、二人の日常は始まった。