セクサロイド
近未来日本。
「こんな日本になることを予想していた人がいるなら是非とも言いたいことがある、もう日本は終わりました」
東京にあるマンションコーポ佐々木の300号室では一人の少年が何やらボイスレコーダーに向かって話しかけていた。
「2030年にセクサロイドが開発されてからの日本はまさに、高度経済成長を彷彿とさせる勢いだったよ。見たことないからわからんけど、多分きっとそんな感じだ」
彼の周りにはパソコンの画面にキーボード薄いフィルムのテレビ、本棚には漫画と機械の部品がごちゃまぜになってつまっている。一見普通の学生らしい部屋に見えるが、なぜかそこに女の子がいる。身長は157センチほどあり髪はショートカットで前髪はバサバサだ、顔はとても整っており男なら誰でも可愛いと思う容姿であるが、よく見てみると髪は変に光沢があり皮膚には均等に弾力があることからロボットであることがわかる。
「そしてその勢いには当然犠牲者が出る、俺のように父親がセクサロイドに夢中になり母親と離婚したとか、セクサロイドのおかげで会社で働いていた母親は解雇されるし、解雇された理由がセクサロイドのおかげでセクハラし放題だからだと。当然母親は精神的におかしくなり入院中だ」
「…………」
「当時小学校だった俺にとってみればまさに地獄だったなー、あの時は…… いろんな人達にお世話になりなんとか高校までこれたが」
「あ……の」
「誰が喋っていいといった」
「…………」
「はぁ、別に半分冗談だから何か喋ってもいいよ」
「半分、ということは残り半分は――」
「もちろん、本気」
「ひぃ、ごめんなさい」