長かった10Years
俺はもしかすると見間違えていたのかも知れない・・・。俺の死はあの首吊り死体は2014年のものではなかったのかもしれない。この長かった10年間のループ。この中から出した答え。
「結局、皆の死の原因は俺と一緒にいたからでは?」
当たり前。だが、一緒に研究してきた者として言わせてもらえると、それを認めたくなかった。
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「如月。話がある。」
「ほぇ?」
気の抜けた声がする。
ここは俺たちがジパングについて研究するために設けた研究室。そして、諜報活動も行っており、俺と如月以外は皆それに出払っていた。
「俺たちがこうなったのも覚えてるよな?」
「あー。そういえば物理の追試食らって物理教えてもらってたんだっけ?あの頃は平和だったよね。」
「あぁ。何でお前がこう今でも一緒にいるか・・・分かるか?」
今まで向いていたPCからくるりと椅子を回し、如月に向く。
「俺の力の説明はしたよな。」
「うん。」如月はこくりと頷く。
「これ。」すっ。と手渡したのは実は俺がなかったことにした際わざと残した彼女が「彼氏と付き合っていた」という証拠。それは俺が彼氏との関係をなくすために書かせた彼氏との出会い、思い出。
「っ!?」
この”なかったことに出来る力”とは少々適当で、”あったこと”を”なかったこと”にした場合、”あったこと”に関連する品を渡すと不意に”あったこと”を思い出してしまう場合がよくある。
「・・・私、こいつと付き合ってたの?」
「あぁ。俺が無くした思い出だ。」
「・・・・。」
刹那。沈黙が訪れる。恐らく如月も言葉を待っているのだろう。
「・・・・。い・・・さ・・・・。」
「ん?」
その肩がプルプルと震えていた。
「今更言わないでよ!」その声と一緒に涙を流した顔が露わになる。
「分かっている・・・。これがお前にも、俺にもやってはいけないということぐらい。」
「で、何なの?」
そこで俺は本題に入る。
「このことをもう一度”あったこと”にする。」
「・・・・つまり、気が付けば私はもうここにはいないのね?」
チク。胸に針が刺さる感覚がする。何故、俺が黙って関係を切ろうとしなかったのか。
結局一緒だった。思い出すのが怖いのもあったが、何より何も知らないのに気が付けば戦火に巻き込まれている。そんなことを見たくなかった。
恐らく、今俺の目的はジパングから世界を救うのではなく、ジパングから彼らをすくいたかったのだ。
「・・・。そうなる。」
「何で?」
「・・・・。そ、それは。」
そこで言葉が詰まる。当然だ。口が裂けてもお前が死ぬとは言えないからだ。
「まぁ、私は聞き分け良いからね。覚えてないなら仕方ない。でも、一つだけ、最後にひとつだけ言わせて。」
「ずっと、山口正彦のことが好きだった。このネックレスを作った時から・・・。」
手にかけられたネックレス。もう10年。
「・・・・本当にすまない。」
「泣いているの?」
「まさか・・・・。」
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俺の隣にいた如月の姿はもう無かった。




