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悪のChaos

如月の衝撃の死を目の当たりにした俺は逃げ出していた。

夢なら醒めてくれ!そう叫びながら・・・。その声など誰にも届かないうちに・・・。


プツン・・・。住宅街を駆けずり回っていた俺はいつの間にかフジ会館の中にいることに気づく。

さっとカレンダーに目をやる。


A.D.2014 6 18

あの日から暫くたっているようだ・・・。

まだ昼下がり・・・。元々平日は活気などなかったが、それでもいまのフジ会館は酷かった・・・。

アンカープランの計画の現れのようだ・・・。


カツーンカツーン。何者も寄せ付けないその空間を打ち破るごとくハイヒールの音をさせ、現れたのは・・・。


「宮本・・・。」

髪の毛を少し伸ばし、メガネをかけてはいたもののいつも見る宮本の姿。冷静に言えば、今壮絶に嫌な予感が全身の血の如く流れていた。

―頼む・・・。なかったことに・・・。


そんな希望は一瞬で消し飛ばされた。

ズダダダダダダダダダ!!!!


「反逆者 宮本奈央だ!」

ライフルの連射に負けじと聞こえる、その声。


ズダダダダダダダダダダダダ!!!!!

そして、そのあとにまた荒ぶる敵のライフル。最初の連射の時は華麗に避けていた。

きっと今だって・・・。


「山口くん!!!!!」

「え!?」

俺はたまらず声を上げた・・・。だが、呼んだのは俺であって俺でない・・・。つまり未来の俺。

宮本のその小さな背中にいくつもの・・・いくつもの銃弾によって作られた穴があった。

たまたま様子を見に来たのか・・・。未来の俺を庇って・・・彼女は撃たれた。


「あ・・・・」

今は誰にも聞こえない声が・・・。最早俺にすら聞こえない・・・。殺された・・・。如月の次は宮本。


宮本との小さな思い出がフラッシュバックする。ずっと関わってきたわけでもない。本当に何時間か話しただけ・・・。でも・・・何故かそんな簡単な関係でない気もして・・・。

「宮本!何故庇った!!」

「だ、だって・・・。君は未来を救える・・・。ゲホッ・・・。未来を救うための人・・・なんですよ?こんなところで死ぬわけには行かないです・・・。」


見知らぬ誰かに排除された敵の前で男女二人が固く抱き合っている・・・。片方の影が・・・。糸の消えた人形のようにその場に・・・その場にどさりと音をたてて・・・崩れていく・・・。



「・・・・・・・・。あ・・・。」

衝撃なんて通り過ぎていた・・・。激しい嗚咽感もあった。自分にとってはたった1時間で二人の・・・大切な人を失った。


無残に横たわる彼女。

俺は不意に右目を閉じた。数字が現れた・・・。


だが、最初の桁は残酷な1を表していた。


泣くことも出来なかった。何故、こんなことになったのだろう。このタイミングだ・・・。何か意味があるのだろう・・・。


そこで思考の世界で立ち止まったのはエースの残した言葉。


―「これでいいのか?俺は変な胸騒ぎがする・・・。」


そう、公表をすると決めた時の奴の発した言葉。



―まさか・・・公表が間違いなのか・・・?

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