悪夢のVoice
市内 フジ会館付近の公園。
タイムマシンが隠されているのかと探し回ったものの結局見つからなかった。
目に入ったのは公衆トイレ。
中に入って気づいたのは・・・。
置かれた携帯。
さっと手に取り、スイッチを入れる。
と、同時に
prrrrrr
電話が鳴り響く。
□■
「山口。これってどうするの・・・?」
「ん?例の計画のことだろう。分かってる。」
・・・。ここはどこだ?
見たところどこかの研究室のようだな。さっと、壁にかけられたカレンダーを見る。
―!?2014年!?
カレンダーにはしっかりとそう書かれていた。
A.D.2014 5 28
最初は未来に来たのかと焦ったが、そうでもないようだ。
何故ならあの時死体となっていた未来の俺と眼前にいる男が酷似していからだ。未来の映像か何かか?
しかし、今と変わりの見えない面子。
俺、乙、池田、如月、宮本、エースと少し今とは違うが、やはり変わりもない。
―ん?如月?
そこで、最初に研究室を出たのは如月だった。
□■
自宅に向かうのか・・・。あの日、如月と帰った帰り道を辿っていく彼女。
「はぁ・・・やっぱり、ぐっちの彼女はいけみんなのかな・・・?」
ボソッとつぶやく如月。
―もしかして、俺と池田は・・・本当にあの数字のように・・・。・・・いや、無駄な思考を止めた。
ゴォォォォーーーー。
その思考停止を止めたのは轟音だった。街中に響くような・・・。
夜遅めだったのもあり、ヘッドライトが早々と動き回っているのが分かる。
パッ!俺(姿は見えていないため、正確には如月)を見つけ、ヘッドライトを遠目に切り替える車。
如月の顔に一抹の不安と恐怖の表情が貼り付けられる。
ゴッという鈍い音が俺の耳に届くまで、そう時間はかからなかった・・・。
「き、如月・・・。」
チャット仲間で勉強も恋の方程式も解けない。でも、いつも笑顔でやさしく接してくれる・・・。
そんな彼女の姿・・・。それも世で最もひどい姿を俺の目の前で晒している。
車はそのまま、俺の方に突っ込んでくる。
どうなるのか分からない・・・。だが、動けない。
スーッという擬音が似合うように俺の全身を通り抜ける暴走車。
「は・・・はは・・・。俺、何も出来ないのか・・・?」
一瞬で理解した、目の前で大切な人が息絶えようとしているのに・・・その体を抱きしめることすら出来ない。助け呼ぶ声も携帯もない。
「何だよ・・・何だよ・・・これ・・・。一体何が原因何だよ・・・。」
時刻は既に次の日にちを目指す頃。
「如月・・・!」
タッタッと複数の走る音がする。
「・・・ぐ、ぐっち・・・。大好き・・・。大好き・・・・。」
チャリン・・・・。そう言い残し彼女が手から落としたのは・・・・。
俺と同じネックレス・・・。
「おい・・・き・・・睦月・・・。はは・・・何寝てんだ・・・・?何だよ・・・何してるんだよ・・・。また買い物行くだろ?夜景だって見るだろ・・・?」
俺が脳内で考えたことと全く同じことを言う未来の俺。その頬には一筋の線。
「「ちきしょーーーーーーーーーーーーーー。俺は・・・・!俺は何もできないのかよ!!!」」
誰にも聞こえない二つの声が住宅街を包み込む・・・。




