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関所
関所には、槍をもった2人の侍っぽい人が街道を睨みつけていた。
「こら、そこの者」
「なんでしょ」
「止まりたまえ、此処をいずこと心得る」
一人が俺たちに向かって槍を突いてくる。
「さあ、山賊捕まえたから、引き渡しに来ただけなんだけど」
「やや、そこの犬は、あの犬ではなかろうか」
俺の言葉を聞いている雰囲気はない。
「やれやれだ」
槍を突き付けている侍が連れている犬を見て、さらに突き立ててきた。
「主らがここを通り抜けること、まかりならん。早々に立ち去れ」
「山賊を引き渡しに来たんだ。こいつを引き取ってからにしてくれ」
俺の後ろに縛っていた山賊を侍に見せると、慌てふためいて人相書きをもってきた。
「うむむ…暫し待たれよ」
一人が誰かを呼びに街中へと入った。
その間、もう一人が山賊の方へ槍を突き立てていた。