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目標、関所
山を下りると、そこは町だった。
「小さな町だな」
俺がぼそっと言った。
「それでも、ほれ、街の真ん中見てみろ。白があるだろ」
確かに、白い2階か3階建てぐらいの小さな、でも確かに日本の城のような天守閣がそこにあった。
「このあたりを治めている方のところなんだろう。こういう新興国は、まず、周りに攻め込まれることを前提にしないといけないからな」
犬は、俺に教えてくれた。
「まあ、強いて言うならここは小国か。大動乱以後にできた国の一つだろうな」
山の上から見下ろす格好になっているから、町の様子はよく見える。
盆地に造られた小さな町だ。
建物が点在して、畑や田んぼがある山沿いから、徐々に道が一か所に合流して、3重の堀を経てから、城下町へと至っている。
途中の道には関所のような物もあるようだ。
「奉行所はどこにあるのだろうか」
「街中だな。関所を通るしかないな」
「でも、犬を連れているからな。関所で確実に止められるぞ」
「迷っていても仕方ない。この山賊をさっさと引き渡すことにしよう」
俺はため息をついて、関所へと向かった。