嫌われ具合
犬について歩き続けること大体30分。
初めて民家を見つけた。
「ちょうどよかった、少し休憩してからまた歩こう」
俺が連れの犬に聞くと、首を振った。
「きっと入れてくれないさ。まあ、だめもとで聞いてみればいいけどな」
俺はそういう犬と一緒に、民家の軒先で作業をしている若そうな人に聞いた。
「あの、少しいいですか」
俺の顔を見ている間はニコヤカだったが、犬を見ると態度を一変させて、家の中へあわてて入ってしまった。
「態度わりいな」
「お前らにやるもんなんざあ、ねえや。はよう去ね」
俺が愚痴っていると、中から白い粉をまかれた。
「おい、塩までまかれたぞ」
「歓迎してくれているようじゃないのはわかるだろ」
俺は、仕方なく、外に置いてあった菜っ葉をもらうことにした。
しばらく歩いて、あの民家が見えなくなってから聞いた。
「お前本当に嫌われてるんだな」
「これでよくわかっただろ」
「ああ、よくわかった。大統長のところまで行く必要があるっていうことか」
犬はうなづいた。
「だがその前に、大統長がどこにいるかを調べる必要があるな」
それから、犬は山へ行く必要があると言って、俺は犬と一緒に山へ登り出した。