43/49
尾行2
「とにかく、統長へ会うことが先決だな」
犬は、俺の横でそういう。
そんなことを言っているという状況なのに、この街では誰一人としてこちらを見ようとしない。
というよりも、犬の存在を見ないようにしているというべきか。
そのような雰囲気がただよっている。
「……やはり尾いてくるようだな」
しばらく一直線の道を歩き続け、犬がようやく結論を出す。
俺もそれについては同意見だ。
途中であきらめてくれるかと思ったが、どうやら本気で尾行しているらしく、途中で4人ほど変わっているほどだ。
「……撒くか?」
俺は犬に聞いたが、犬は歩きつつも、それを否定した。
「言っただろ、ここでは奴らは何も手を出してこん。それよりも、ここが統長が住まう天守だ」
どうやら適当に歩き続けているだけではなく、店主へと向かって歩いていたようだ。