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外の風景
お堂を出ると、晴れてはおらず、薄曇りの空模様だった。
また、アスファルト塗装だったはずの道は、ぬかるんだ未塗装の道になっており、お堂の前は田んぼがどこまでも続いていた。
「…マジかよ」
「ふむ、まだ信じていなかったのか」
犬が俺の横でしっぽをゆっくりと左右に振りながら言った。
「急にどこか知らないやつが話しかけてきて、そして、ここは別世界だから云々という話を、真面目に信じるとでも?」
「まあ無いな」
普通に、あっさりと返してきた。
「そうだろうさ。でも、これを見る限り、俺が知ってる町並みは跡かたもなさそうだな…」
「そもそもここは500年以上こんな感じだ。お前がどんな町並みのことを言っているのかは分からないが、ここにはそんな街と呼べるほど密集したものはない」
犬は、俺に言いながら、道を歩き出した。
俺はそんな犬の横を半人分のスペースを開けて歩いた。