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逃走
倒れた男はそのままにして、俺と犬は早々に消えることにした。
「荷物は」
「持った」
犬にいわれなくても、しっかりとかばんは持っている。
ほかの荷物も、ちゃんと一そろいあることを確認して、俺たちは窓を突き破った。
外には、複数の夜盗が待ち構えていたが、先んじて飛び出した犬が、半分以上を蹴散らした。
俺は飛び出して、初めてにしては上手に着地すると、すぐに襲ってくる夜盗の一人のみぞおち狙って、右ストレートを叩き込む。
すぐに泡を吹いて倒れるが、それを気にも留めず、犬がすぐそばへ駆け寄ってくることを見ると、またがった。
そして、宿を後にすることとなった。