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目指すところ
結局、筆箱の中に入っていたシャーペンを渡して、船に乗せてもらった。
新しい筆だとでも紹介しておいたが、どれだけ理解してくれたかは未知数だ。
犬は、船の後ろから、ザバザバと音を立てながら泳いできた。
「で、川を無事に越えたわけだが」
「そうだな」
プルプルと身体を震わせて水をはじくと、犬はまた俺の前を歩きだした。
「どこにいくんだ」
「古国の一つだ。ここからさらに歩いて3日ぐらいだな。そこにいけば、知り合いも何人かぐらいは生きていよう」
「そーかよ」
俺は犬に適当に返事をした。