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二度目の出会い
「はて……」
犬が、小首を傾いで言う。
「覚えておられないでしょうか。おおよそ、700年ほど昔にはなりましょうが……」
その時、やっと合点がいったようだ。
「おお、あの大宴会の…」
「ええ、大統長就任宴会において、貴方様が延々5日にわたる演説を行ったのを、昨日のごとくに覚えております」
女将さんが、犬に言うが、俺には何のことか分からない。
だが、二人の間には、何かが成立しているようだ。
「なあ、何の話をしているんだ」
俺は犬に耳打ちをする。
「もう、ずいぶん昔の話だよ」
それだけしか、犬は教えてくれなかった。