18/49
宿場町
宿場町は賑わっていた。
だが、犬の姿を見ると、誰もが道を開け、腫れ物に触るような扱いをしていた。
「全く、変わらんな」
犬がため息をついて、それでも鼻をひくひくさせながら、あたりをうかがっていた。
「ふむ、ここならいいだろう」
犬が入っていったのは、もうすぐ宿場町が終わろうかというタイミングであった、一軒の宿だった。
「いらっしゃい」
老婆が一人、女将として出迎えてくれた。
「お犬様と、青年様がお一人ずつ、ですね」
「ええ…」
当たり前の対応をされて、俺は面食らった。
何と言っても、この世界では犬は心底嫌われている存在。
なぜ、この女将さんは、そんな存在を受け入れているのだろうか。