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山越え

海へは山を越えなければ行けないそうだ。

「どうやってだよ」

山は四方にあるが、犬が歩いているのは日が出ている方向だ。

「道は常に続いているものだよ。そして、我々が歩いているところが道なのだよ」

「確かにな…」

道と言われれば、石畳がずっと山の向こう側まで続いている。

だが、長い間使われていなかったようで、ところどころ獣道と化しているところもあるほどだ。

「さて、こっちで間違ってはいないはずなんだが…」

犬が不安をあおるような言葉を吐き出す。

「おいおい、俺はお前を頼りにしてるんだからな」

「それぐらい分かってるさ。ほれ、もうすぐ峠だ」

山の峰がそこまで迫っていた。

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