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城下町
城下町は、かなり賑わっているようだ。
「活気づいているんだな」
「左様。この城下には、3800人が住んでおる。木下正邦を城主としていただき、私をはじめとして、十人ほどの家老が名を連ねておる。今では、近隣の600石を治めておる」
「小国か、大動乱以後にできた」
「…それをおぬしが言うのか」
「いやね、気になっただけさ」
犬は案内してくれている役人に、なんの隠し立てもせずに、ズバッと言い放っている。
それを見ていると、いつ斬り殺されるか気になっていて、周りも満足に見ることができない。
だが、犬を見ると単に、人々は家の中へと隠れてしまい、確かに、この世界では犬は近寄ることが許されないのだとわかる。
そのためか、変ないざこざに巻き込まれることなく、城の中へと入ることができた。