プロローグ
「うっひゃー、急に降り出しちまったなぁ」
俺はカバンを頭の上に載せながら、どこかに雨宿りできるようなところがないかを探していた。
俺は、そんな雨に打たれながら近所の高校に通っている、どこにでもいるような高校2年生だ。
一本道をただ走り続けている。なにせ折りたたみ傘をいれたはずなのに、カバンをひっくり返しても中に入ってなく、置き傘も誰かに持っていかれたらしい。
「お、ラッキー。神社じゃん」
俺はこんなところに神社なんかあったかなと思いつつも、雨宿りが先だと思い、境内に駆け込んだ。
身体中がぐしょ濡れだったから、持っていたタオルで簡単に体を拭く。
タオルも濡れていたが、服ほどじゃ無かった。
「しかし、古そうな神社だなぁ…」
携帯を懐中電灯代わりにして、駆け込んだ神社の拝殿の中を見回す。
中央に祭壇があり、そこにご神体を祀っていた。
俺はここに来たことを、一応知らせるために、知っているだろうけども、柏手を打ってお礼を言った。
「名前も知りませんが、すこしお邪魔させていただきます。雨が上がれば、すぐにでも出ていきますので」
遠くから、雷の音まで聞こえてきたから、当分は出られないだろう。
俺はそう思って、濡れたカバンを少し離したところにおいて、仮眠をとることにした。






