↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

【掌編集】鬼神人魚爬虫植物

運命の指輪

作者: 鳴海 慶
掲載日:2026/09/04



 運命の指輪が見える、男が居た。


 彼には人々がみな薬指に指輪をして見えるのだ。老若男女、誰と言わずに、大抵の人間はそうだった。指輪には何種類かあって、親しげにする二人の指には同じ指輪が見えるのだった。


 結ばれる二人のしている指輪は、必ず同じものだった。しかしそれはその男にしか見えておらず、彼の指には指輪が無い。


 彼はある日好きになった女性と、友人がお揃いの指輪を嵌めてるのを見付け、

 友人の指輪を抜き取ってしまった。友人と彼女は間もなく交際を始めたのだが、その指輪を男が嵌めるようになって数日後 友人は見知らぬ女と共に逃げ出し、彼女を置いて行方をくらましてしまった。


 男は彼の友人として、親しかった彼女を慰めるうち、二人は惹かれ合っていき、結ばれることになる。男と彼女の薬指には揃いの指輪があった。


 もう、他人に見えない指輪ではなく、本物の指輪で結ばれている。そう思って男は安心した。


 何年か幸福に過ごすうち、本来ここに居るのは自分ではなかったかもしれない、という考えが浮かばないではなかったが、それは友人に「見る目」が無かったせいだと自分を納得させてきた。


 しかし、指輪は元々友人のものだったから、男の指に合っていなくて、ふとした時になくしてしまった。


 男は不安になり、何日も指輪を探した。

 けれど見付からない。彼は焦って、元の指輪が見付からないならと、彼女の指輪と同じものを持っている人物を探し始めた。そいつから指輪を頂戴すればいい。


 男が何かを探し続けている様子に妻の不審がつのっていく。彼女は彼の様子を観察していた。

 そうして彼が見知らぬ女と浮気をする現場を目撃したのだ。男が彼女と同じ指輪の人物を探して、商売女に運命の相手など必要無いだろうと考え、手当たり次第に呼びつけていたことなど、知る由もなかった。


 夫婦は離婚することになった。


 別れの日、男は彼女の薬指から 二人お揃いの結婚指輪と、

 彼女の運命の指輪を 抜き取っていった。











 一度目の男に逃げられて、二度目の男には浮気され、恋ができなくなった女性のはなし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。