表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10分間のタイムカプセル ——愛する人を救うための奇跡——  作者: やっさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

10分間のタイムカプセル ——愛する人を救うための奇跡——

短編です。10分後の未来が見える不思議な話です。

# 10分間のタイムカプセル【短編恋愛】


「これ、持っといて」


---


ミサキが差し出してきたんは、古びた懐中時計やった。


---


「なんやこれ」


---


「骨董品。ちょっと変わっててな」


---


カチッと蓋を開く。


---


中の針、ゆっくり動いてる。


---


「これな、10分だけ未来見れる時計なんよ」


---


「……は?」


---


思わず笑った。


---


「いやいや、ドラマやないねんから」


---


ミサキは、ちょっとだけ真面目な顔した。


---


「ほんまやって。せやけどな」


---


「使うんは、本当に困った時だけにして」


---


その言い方が妙に引っかかった。


---


「はいはい」


---


軽く流して、ポケットに入れた。


---


その数日後。


---


やらかした。


---


待ち合わせ、完全に遅刻や。


---


「やば……」


---


スマホ見ながら全力で走る。


---


「絶対怒ってるやろな……」


---


そのとき、ふと思い出した。


---


懐中時計。


---


「……まさかな」


---


冗談半分で、取り出す。


---


ボタン、押した。


---


その瞬間。


---


視界が、ぐにゃっと歪んだ。


---


足元、消える。


---


「……え?」


---


気づいたら——


---


地面に座り込んでた。


---


息、荒い。


---


手、震えてる。


---


周り、ざわついてる。


---


「救急車呼べ!!」


---


誰かの声。


---


サイレンの音。


---


視線の先。


---


道路。


---


散らばった、カバン。


---


見覚えある。


---


ミサキのや。


---


「……は?」


---


血の気、引く。


---


その先に——


---


動かへん、ミサキ。


---


「……嘘やろ」


---


自分の声、聞こえた。


---


泣いてる。


---


必死に名前呼んでる。


---


それ、全部——


---


“自分”やった。


---


「10分後……?」


---


頭が真っ白になる。


---


その瞬間。


---


また視界が戻った。


---


元の場所。


---


息、荒いまま立ってる。


---


「……今の……」


---


考える暇なかった。


---


走った。


---


全力で。


---


「間に合え……!!」


---


待ち合わせ場所、見えた。


---


ミサキ、おる。


---


ちょうど、道路に出ようとしてる。


---


「ミサキ!!」


---


叫んで、腕引っ張った。


---


ガッと引き寄せる。


---


その瞬間。


---


ドォン!!


---


大型トラックが、すぐ横を通り過ぎた。


---


風、巻き起こる。


---


あと一歩遅れてたら——


---


終わってた。


---


「……はぁ……っ」


---


その場で、崩れ落ちる。


---


ミサキ、驚いた顔してる。


---


「な、なに……?」


---


答えられへん。


---


ただ、強く抱きしめた。


---


「よかった……」


---


震え、止まらん。


---


しばらくして、落ち着いてきたときや。


---


ふと、時計見た。


---


「……あれ?」


---


針、止まってへん。


---


普通に動いてる。


---


「一回だけちゃうんか……?」


---


恐る恐る、もう一回押す。


---


カチッ


---


また、視界が変わる。


---


今度は——


---


静かな公園やった。


---


ベンチ。


---


座ってる男女。


---


最初、誰か分からんかった。


---


でも——


---


「……え?」


---


白髪の男。


---


隣には、同じく年を重ねた女性。


---


手、繋いでる。


---


笑ってる。


---


穏やかに。


---


幸せそうに。


---


「……俺か?」


---


心臓、ドクンと鳴る。


---


女性が、こっち向いた。


---


その顔。


---


ミサキやった。


---


「……」


---


言葉、出ぇへん。


---


そのとき。


---


耳元で、声がした。


---


「やっと気づいた?」


---


振り向く。


---


ミサキ。


---


今の、ミサキ。


---


「その時計な」


---


優しく笑う。


---


「未来のあんたが、どうしてもって言うて」


---


「今の私に預けたんよ」


---


「……は?」


---


「“この10分だけは、絶対にやり直したい”って」


---


息、止まる。


---


「だからな」


---


ミサキが、少しだけ強く手を握る。


---


「ちゃんと使ってくれて、よかった」


---


視界が、ゆっくり元に戻る。


---


気づいたら、またあの場所。


---


今のミサキが、目の前におる。


---


「……タクヤ?」


---


不思議そうな顔。


---


でも、生きてる。


---


ちゃんと、ここにおる。


---


ポケットの中で、時計を握る。


---


まだ、温かい気がした。


---


「……なぁ」


---


ミサキを見る。


---


「この先も、ずっと一緒におるで」


---


少し笑って言うた。


---


ミサキは、ちょっと照れながら笑った。


---


「なに急に」


---


その何気ない返事が、たまらなく愛しかった。


---


空を見る。


---


もう、未来を見る必要はない。


---


ちゃんと、この手で掴めたから。

最後まで読んでいただきありがとうございます。よければ感想・評価いただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ