けっして開けてはいけない扉がある部屋
今回のタイトルは、しいなここみさんのボツタイトル(割烹に記載)から取っております。
けっして開けてはいけない扉がある部屋
親友の美沙が一日だけマンションの部屋を留守にするというので、俺が留守番をすることになった。
留守番とはいっても、じつはお願いしたのは俺のほうだ。彼女の豪華なマンションの部屋にぜひとも滞在してみたかったのだ。
「置いてあるものは動かさないでね。ゲーム機は好きに使っていいわよ。蛇口も好きにひねってね。猫とも好きに遊んで」
俺を連れて、美沙は部屋の中と冷蔵庫の中も見せてくれた。
「高級食材がぎっしりって、最高かよ……」
俺は心からの感想を言った。
褒められて美沙は嬉しそうに微笑んだ。しかし次には険しい顔つきになると、声を潜めてこう言った。
「ただ、これだけは守ってね」
「えっ?」
「そこに襖が有って、右隣にクロゼットが見えるでしょ? 奥に木製の扉が有るんだけど、絶対に開けないでね」
「開けると、どうなるの?」
「私は開けたことがないので、分からない」
美沙は、旅行用の大荷物を出現させると「じゃあ、行って来るね!」と言い残して、出かけてしまった。
俺は、マンション周囲の公園やコンビニの辺りを散歩したり(実は表にも出れるのだ)、冷蔵庫の高級食材を食い尽くしたり、猫リセットに苦しみながら、ゲームで遊ぶと、やる事がなくなった。
実は散歩中に滞在しているマンションの上階を眺めれば良かったのだが、不運にも、俺はそれをしなかった。
目の前には襖と件のクロゼットがある。襖を開けてみる。
誰も、いない。
クロゼット。これは収納というより廊下と言った方が良さそうだ。
耳を澄ますが、何も聞こえない。
扉に手をかけた。扉の下に“ゴミ出し自動システム”と書かれた紙が手書きで貼ってあったが、それにも気づかなかった。
そしてとうとう、開けてしまった。
足を一歩踏み出すと、猛烈な早さのベルトコンベアで運ばれる。強烈な臭さで脳がマヒし、どのぐらいの時間が経ったか判らないが、俺は9階から落下していた。
結末は、シンプル。
確か他の方も“9階から落下”は使ってた筈




