神秘的な生き物クマちゃん
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猫と男と友人(変更前:短編猫置き場)に掲載していたお話を、こちらに移動しました。
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長編作品『クマちゃんと森の街の冒険者とものづくり ~クマちゃんそれ転生しちゃったんじゃないの?~』の番外編および小話は、今後すべてこちらに掲載してまいります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
静寂に包まれた夜の森。
クマちゃんは、大好きな彼に優しくブラシをかけてもらいながら、チャ……チャ……と舌を動かし、自分で寝支度を整えているつもりになっていた。
どこか、遠い遠い場所から、小さな小さな声が聞こえてくる。
――クマちゃん……かわ……いい……ね……。
クマちゃんはハッとした。
まるで虚空を見つめ静止する猫のように、じっと動きを止め、ふんふんふんふん……と湿ったお鼻を鳴らす。
「クマちゃんどこ見てんの? 壁?」と失敬な金髪が神秘の時間に水を差す。
かすれ気味の美声が、夜の空気を震わせる。
クマちゃんの丸いお耳が、ぴくりと動く。
もこもこしたお口が、徐々に開いてゆく。
金髪の男の指が、開いた穴に、じわじわと近付いてゆく。
『クマちゃんの大好きな彼』が、金髪の側頭部を狙い始める。
罰があたった金髪が柔らかなベッドに沈んだころ、クマちゃんはゆっくりと頷いた。
「クマちゃ……」
クマちゃ……かわいいちゃ……、と。