表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

動き出す

(そうと決まれば、まずは能力の確認からだ)

空が与えられた力は"全知全能"、文字通り全てを思うがままにする力、だがこれにはいくつかの制限がある

1つは実現する内容に応じて他者からの承認が必要なこと

まぁ百聞は一見に如かず


(炎を出す)

まず実現させたい事を決める


(0)

そうすると頭に数字が浮かんでくる、その数字が必要な承認の数である


(0って…承認はいらないってことか、なら試しに)




(お待ちください)

頭の中に声が響く



(どうしました?)



(それを実行すると空様の全身から炎が吹き出し焼死します、ですのでおすすめいたしません)



(……まじか)



(願いを実行する場合は、具体的かつ慎重にを意識された方が良いかと)



(…分かりました。なら願いを変えよう、そうだな…

俺の身体に掛かる重力を半分にする、持続時間2秒)


(1)


(これじゃあ0にならないか…)



(空様、承認の数を減らすなら制限や代償をを設定するのが良いかと)



(制限や代償ですか?)



(はい、それらを願いを実現させるごとに設定するんです。例えば全知全能の使用を制限するインターバルや、代償として何かを捧げる等です。そうすれば更に承認の数を減らすことができます)



(そんなやり方が…分かりました、なら)

その後空は色んな制限を試してみる、その結果…


(俺の身体に掛かる重力を半分にする、持続時間2秒、能力使用不可時間としてインターバル20秒)


(0)


(0になった、よし…実行!)



その瞬間、ふわっと身体が軽くなる


(軽!)

空はその感覚のまま勢いよく天井に向かってジャンプした、すると軽々と天井に身体が届く、空が驚愕するのも束の間、持続時間の2秒が経過する



「ぅゎ!」

重力が元に戻り、地面に吸い寄せられた勢いで思わず声が漏れる



その後、空は間髪入れずに次の願いを実行しようとしたが、願いを決めても数字が出てこない、さっきまで会話していた声も聞こえなくなった



(本当に何も出来なくなるんだな)

その後、インターバルとして設定した20秒が経過すると能力も声も元に戻った



(大体は把握できた。なら次は、アレス・アイガーの魂を元の肉体に戻す、代償として俺の魂を捧げる)


(10)


(10か…まだ現実的な承認の数で良かった)



(空様、そのままの願いですと全知全能の力も空様の魂と共に消えてしまいます)



(……つまり?)



(能力者が死亡したと判定されます)



(あぁ…それは最悪だな)

空が嘆いている理由、それは全知全能の最も大きな制限にある。全知全能の力を使うために必要な承認、それは誰から貰うのか?承認を得る相手は誰でも良いわけではない。全知全能の能力者と契約したものだけが承認を与える事ができる。契約が完了すると能力者と契約者は命を共有することになる、どちらかが死ねばもう片方も死ぬ。

転生者の力は、魂に宿る。

そのため、このまま空の魂を代償とすると、全知全能の能力者が死亡したと判定されるのである



(アイガーさんを殺人犯にはしたくない。ならまずは全知全能の力を俺の魂からアイガーさんの肉体へ移す)


(5)


(5か…まぁ少なくて良かった。

なら今度こそ、アレス・アイガーの魂を本人の肉体へ戻す、代償として俺の魂を捧げる、能力は俺の魂からアレス・アイガーの肉体に移動したと仮定する)


(30)


(30、これが目標達成に必要な承認の数か…。思ったりよりは少ないな。よし)

そうして空は30人の承認を得るための計画を考えるのだった















(ゼン、ありがとう)


(お役に立てて何よりです)


空はかれこれ数時間、承認を得るための計画を考え続けた

その結果、空は3つの決断を下した


1つ目、今まで会話していた声にゼンと名前を付けた

そっちの方が会話がしやすいらしい


2つ目、アレス・アイガーへの身体の返却は400日以内に達成する

理由はアレス・アイガーの魂にある、どうやらこの世界で400日がたった頃、彼の魂の浄化が始まってしまうらしい。そうなると最終的に必要な承認の数が30人では効かなくなってしまう、30の承認で達成できるのはあくまで魂の入れ換えのみ、浄化された後の魂と入れ換える事になっては意味がない


3つ目、この国の王であり転生者でもあるバスク王と接触する、空はこれが30の承認を得る一番の最善策だと考えた。その理由については、またの機会にということで…














気付けばいつの間にか、部屋の右上部にある格子の隙間から、日の光が入ってきている

おかげで空は、自分が何処にいるのか自分の目で確かめることができた

(記憶通りの(ろう)だな)




空は今、三畳程の広さの牢の中にいる

何故なら空の器であるアレス・アイガーは、戦争捕虜となっているからだ

牢の中には畳の様な物が床に敷かれ、そこに使い古された(わら)の布団と御虎子(おまる)があるだけである。アレス・アイガーはこの牢の中で1年間過ごした

虐待や強制労働等は無かったのが救いだろう

そこへ、



「飯だ」

看守がぶっきらぼうに食事を提供する



その内容は、この国の言葉では、ゴバ、ソミソミ、タッケと呼ばれるメニューである

日本語に訳すなら玄米ご飯、味噌汁、漬物といったところだろう、味の方は…空の反応から察して頂きたい


(うん…まぁ……悪くはないかな)















腹ごしらえを終え、空は本格的に動き出す

(よし、やるか)

「すいませーん!、水のおかわり下さーい!」

基本的に自由のない牢生活だが、水だけはある程度自由に飲むことができる

食事を入れるための格子の隙間から木製のコップを牢の外に出す、それを看守が受け取り、水を入れてくれる




「ほらよ」


「ありがとうございます」


空にとってこの世界の言語は完全に未知だが、アレス・アイガーの記憶のおかげで問題なく看守との会話が成立している









空は、用を終えた看守に話しかける

「バスク王は、世界に宣言しました」



「?」

看守は困惑しているが、空は構わず続ける



「自分と同じ奇跡の力を持つ者は、私に力を貸して欲しい。そして共に平和な世界を創ろう、と。力を持つ者に関して有力な情報を持ってきたものには懸賞金を出す、とも」



「?」



空は左手でコップを持ちながら、右手の人差し指をコップの中に入れる

「液体の水を操る、対象は右手人差し指が触れた範囲、上限500ml、持続時間10秒、インターバル100秒」

空はコップに入った水を宙に浮かせ、様々な形に変化させてみせた、




「なっ…………」

看守は驚愕し目を見開いている





そうして10秒が経つころ、空は水をコップに戻した







「バスク王に、俺の事を報告してくれますか?」

























翌日の早朝




「初めまして、アレス・アイガーさん。私の名前はギネッサ、よろしくお願いします。」

ギネッサと名乗る若い女性が、空の元へ来た

手にはコップを持っている




「お願いします」

(若い女性……名がギネッサ)




「先日、あなたが水を操ったとの報告を受けました。事実ですか?」



「はい」



「では、この場で見せて下さい」



「分かりました」



「対象は右手人差し指が触れた範囲、上限・・・」

空は先日と同じように水を操った

普通ならあり得ない事が起こっているが、ギネッサは表情一つ変えない




「なるほど、ありがとうございました」



「いえ」



「では、あなたの名前を教えて下さい」



「…アレス・アイガーです」



「あぁ、ではなくて。この世界に来る前の名前です」



「…空、です」

(やっぱりか)



すると、今まで崩れなかった彼女の顔に一瞬変化があった



「…出身の国は何処ですか?」




「国ですか?、えっと……あれ?、すいません…この世界の言葉でどう表現するのか…」



「あぁ、確かに。ならEnglish は話せますか?、可能ならばそれでお願いします」



「なら、Japan です」

(…異世界の言葉に英語が混ざると変な感じだ。

いや、それよりやっぱり…)



「…Japan ですか?」



「はい、Japan です」



「…分かりました、ありがとうございます。では」

そう言うと、彼女は牢に背を向けて歩いていく



「あの!、俺はこれからどうすれば?」

空はその背に向かって声をかける



「王様の判断次第です。ですが恐らく、すぐに出られると思います。だからもう少し待っていてください」



「…分かりました」















(ゼン、ギネッサ(彼女)も転生者なのか?)


(はい)















空とギネッサが会話を終えて10秒後、空の牢がある建物から直線距離にして約1800km

この国の首都ロンドにある大きな城の中に、ギネッサの姿があった



その城の中の一際大きな扉を、彼女は叩く



「バスク王様、ギネッサ・ルス任務を終え帰還しました」



「入れ」



「失礼します」



「それで、どうだっ・・・」



「まずはハグゥ~」

ギネッサは勢いよくバスクに抱きつく



「5分位しか離れてなかっただろう」

バスクは笑顔でそう言いながら、ギネッサをハグする



「それでも寂しいの」



「全く」

(あき)れながらも、バスクは笑顔である



「報告を見ても良いかい?」



「うん良いよ」



すると、バスクはギネッサの頭に手を置いた












「へぇ、日本からの転生者か」


「ね、私もびっくりしちゃった。ユウトと同じじゃーんて笑」


「そうか…よし、彼と話そう。エマ、アホンタインの別荘まで彼を送って行ってくれるかい?、私は後から合流する」


「え~」


「…これが終わったら2人でご飯でも行こうか」


「えっ?!本当に!?」


「あぁ」


「やった!、約束だからね!」


「勿論。だから、空さんの道案内は頼むよ」


「私に任せなさい!、いってきまーす!」





肉体の名前 バスク・ドゥーム 魂の名前 優人(ゆうと)

肉体の名前 ギネッサ・ルス 魂の名前 エマ

全知全能の力を使うには、承認が必要

承認を得るには、契約が必要

契約をすると、命が共有される


これだけ覚えていただければ、今後に支障はありません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ