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第十九章

 「先程も申し上げました通り、こちらは既に街の中で、安全にございます。」

 「そして、これも先程も申し上げました通り、どうやって今ここに居るのかはお聞き下さらないように願います。

 「そ、そういう事でしたら、その様に致します。」

 「宜しくお願いします。」

 「それでは今回の事の顛末をお話致します。」

 「はい。」

 「・・・」


 「お二方が先程私の手によって保護されたのは、本日ギルドマスターの指揮による、ゴブリンキング討伐作戦の中の事です。」

 「そ、そうなのですか。」

 「・・・」


 「はい。そしてつい先程、ゴブリンキング及びゴブリンジェネラル、更にはホブゴブリンまでも全滅、その他ゴブリン等も壊滅する事に成功しました。」

 「そうだったんですね。」

 「・・・」


 「はい。その途中ゴブリン砦の中に、人間の存在を発見し、保護させて頂いたのがお二方という訳です。」

 「そ、それは大変、助かりました。」

 「う、うん。」


 「礼には及びません。それで、私の情報から推察致しますと、貴方方は先日領都からの帰りに、ゴブリン達に襲われた男爵家の方でお間違いありませんか?」

 「は、はい。私はコルテッラ・レソルザット。この息子のヴィルテスの剣の稽古を領都にある道場にて終わらせた帰り、西の草原にプレインバッファローを狩ろうという話になり、そこで大きなゴブリン達に襲われ、先程まで監禁されていました。私達以外の者は、、、、殺されました。」


 「それは誠に大変なことで。お悔やみ申し上げます。そして、何故時間が無かったもので、貴族の方に対し無礼等あったかもしれない事、ご容赦願います。」

 「とんでもない。命を助けて頂き、その上食事にお風呂に衣服まで。感謝しかございません。」


 「そうでしたか。こちらは梨花亭の上にある貸宿の私の部屋です。その店主アギレンと、隣の服飾店の店主マギーが先程までお世話させて頂いた者です。」

 「そ、そうなのですか。」


 「はい。何分庶民の食堂と服飾店の店主ですので、貴族様に対し無礼があったやもしれませんが、何卒ご容赦願います。」

 「いえいえ、無礼などとは。とても良くしてくださいました。」


 「それなら良かったです。」

 「ところで梨花亭とは、街の食堂ですよね。」


 「この店をご存知で?レソルザット夫人。」

 「その名は第一婦人のリソルテ様のものです。私はコルテッラと、しかし命をお救い頂いた貴方様にはコルテとお呼び下さいませ。」


 「それは失礼致しました。そして光栄です。そう呼ばせて頂きますコルテ様。」

 「はい。先程の質問、この店は第二婦人となる前に主人と一度忍びで食事に来たことがあります。」


 「そうだったんですね。」

 「はい、今となってはお恥ずかしい話ですが、どうやら周囲にはすっかり悟られておりましたようで、店内に居合わせた方々が皆、ひどく緊張なさってしまわれましたの。」


 「それはお互いに気まずかったでしょうね。」

 「ええ、それでその後に服飾店の店主が入っていらして、急に大きな声と笑顔で私どもに話しかけてきたものですから、つられるように周りの方々も笑い出して、とても愉快な気持ちになりましたの。」


 「あぁ、マギーらしい。」

 「そりゃそうよ!私はいつだって私なんだからっ!!」

 「ふふふっ。」


 「落ち着かれたようでコルテ様にお願いがあります。」

 「なんでしょうか。」


 「下の食堂に今回ゴブリン達を殲滅した冒険者達の指揮官等を呼んでおります。中にはレソルザット男爵から依頼を受け、コルテ様達を捜索していた者もおります。」

 「まぁ、それはそれは、それで、何をしろと?」


 「はい。コルテ様には無事であるご様子と、事の経緯だけ多少話して頂きたく願います。」

 「それだけで宜しくて?」


 「はい。これには理由がございます。私は下に居る指揮官達に、今回のゴブリン達の行動に危機感を抱いており、この戦いの後も厄介ごとが起こる可能性を危惧していると示唆してきました。」

 「続けて。」


 「はい。その者達の中には多少脅威はあれど、それでもゴブリンだ、等と軽視している者も居りまして。」

 「はぁ、そうなんですね。」


 「そうなんです。そこにコルテ様のご生存と、それにゴブリンとの関与が知れる事で、私の危惧する脅威と繋がるかと。」

 「そうでしょうね。それには私も同意ですわ。喜んでその意を汲みましょう。」


 「宜しくお願いします。それで、ヴィルテス様にはコルテ様が指揮官達に説明している間、この部屋で休んでて頂くというのはどうかと。」


 コルテッラは俺がヴィルテスに気を使っているのだと直ぐに気づく。

 一緒に下の会合で、今回の事の顛末を最初から聞き直せば、恐怖の記憶をも呼び起こすであろうと。まだ10歳の子供である。


 「ヴィルテス、こちらで大人しく待ちなさい。」

 「は、母上、わ、私は、あそこの木剣を振ってみたい。」

 「ヴィルテス!なんてはしたない。他人様の物をその様な物言いで。」

 「こ、コルテ様、いいんですよ。ただ、ヴィルテス様、こちらは同居人のパーティーメンバーに譲った物でして、この部屋で見て触る位でしたら私の一存で事後承諾しますが、剣として振るというのでしたら本人に許可を取ってからに願いたいですがよろしいでしょうか。」


 「ほら、貴方が不躾な願いを軽々しく口にするからですよ。」

 「コルテ様、その位にしてあげてもらえませんか。あれらの木剣はパーティーメンバーと言いましたが、その者は12歳の少年でして。」

 「まぁ。」


 「はい。そしてヴィルテス様と同じ大剣の魔法剣使いなんです。」

 「ど、どうしてうちのヴィルテスが大剣使いの魔法剣士とご存知で?」


 名称はそっちか。


 「はい。そこはこの後の帰りがけにでも。それより、その子、ハーデンと申すのですが、まだ数日前から大剣と魔法を訓練し始めたばかりでして、あれらの木剣はその者に興味と訓練の持続をと思って、私が作った物なんです。」

 「はぁ。」

 「それで、同じ、というより先に行く大剣使いの魔法剣士のヴィルテス様に、あれらの木剣に興味を持って貰えて光栄なんです。」

 「はぁ。」

 「それで、もし宜しければ、ここにそのハーデンを呼び、我らがいつも訓練に使用している裏庭で、ヴィルテス様の木剣の扱いを見せては貰えませんか。それなら喜んでお貸しすると思います。」


 「ま、先ず、ひゅうご様には私には愛称を、ヴィルテスには敬称は無しでお願いします。私達の命の恩人でございます。」

 「それを言うのでしたら、私に敬称は不要です。そして、ヴィルテス様に敬称を不要とするのを、ハーデンに譲るのはいけませんか?」


 「ま、まぁなんてことを?どうしてそんなことをお考えに?」

 「あ、いや、あの、ハーデンっていう者は、田舎から出て来たばかりで年上の者に対しても言葉が足りないような奴で、でも、ただ素直で無邪気なだけで、その言葉遣いをお咎め頂けなければとても親しみ易い奴なんです。」


 「そんなことを!命の恩人であるひゅうご様、、、ひゅうご殿からのご要望でありましても、それとこれとは別に・・・」

 「は、母上。」

 「な、何ですの?ヴィル。」


 「ど、道場では貴族も平民も同じ扱いで、け、敬称は不要なんです。」

 「その道場内よりも外でその者達と会った時は、僕は今まで通りで問題ないけど、むしろ平民の者達の方が畏まらなくてはならなくて大変そうなんだ。」

 「何が言いたいのですか?」


 「す、すみません。あ、あの、月に1、2度だけ位でも、そのハーデン君と共に私もひゅうご様から稽古を付けて頂く、というのはどうでしょうか。それなら同じ門下生として敬語も不要となりましょう。」

 「どうしてそこまでして無礼を働かせたいのか理解できません。」


 「いえ、母上、無礼を働かせたい訳ではなく、私がこの方からも稽古を付けて頂きたいだけなんです。」

 「突然どういたしましたの?」


 「はい。ひゅうご様がハーデン君にこの木剣を作られたのが、たった数日稽古を付けた後だとお聞きしたからです。」

 「それはどういう意味ですか?」


 「はい。私が大剣の稽古をさせて貰ったのは入門から3年後、魔法剣の稽古はそこから更に2年を要して教えて頂きました。それをハーデン君は数日と。

 「はあ。」


 「それは、ハーデン君が私よりも数倍の才を持っているのか、はたまた師が素晴らしいのか、またその両方なのか。それをこの身で知りたいのです。」

 「そ、そうなのですね。私はひゅうご殿が宜しければ構いませんよ。ただ、主人が何と言うかがありますが、恩義のあるひゅうご様、殿との繋がりを持てるとあれば、断りはしないと思いますが。」


 「私は、教えるのは構いませんが、ヴィルテス様の私に対する過大評価は心配です。私はそんな大した事はしてないですし、ハーデンも特に人並み以上の才は持ち合わせて無いです。」

 「はあ。」


 「ただ、ハーデンのやる気と向上心だけは私の想像を超えるものでした。その向上心に充てられてそこの木剣等を作ったのは事実ですが。」

 「そ、それはご謙遜なさって・・・。」

 「そうだったんですね。それでは今からそのハーデン君に会えるのですね。」

 「はい。先程この話を聞いていた店主アギレンが階下に向かって行ったので、直ぐに呼んで戻ってくるでしょう。」


 「楽しみだな。早くこれらの木剣を振ってみたい。許可してくれるかな」

 「大丈夫だと思いますよ。ただ、言葉が不躾でしょうからご容赦願います。」

 「僕は気にしませんよ。まだかな。」


 俺はヴィルテス君の一人称が変わっている事に気付いたが、コルテ夫人も気付いてても指摘しないでいると判断。

 確かに先程までの悲壮感。捕虜から助かっただけの子供から、今では何かに夢中になっている無邪気な子供に変わっている。誰もこの変化を抑える事はしないだろう。


 そこにハーデンがアギレンと現れた。

 「こ、こちらに、き、貴族のご、ごし、ご、ごし、」

 「ご子息様だ。」とアギレン


 「そ、そう。ご子息様。その方が俺の剣を作らせた奴なんだってな!それで師匠が俺に作ってくれた木剣に興味があるんだって!?お、俺はまだ持たせて貰えないから、是非振るとこ見たいんだが!」

 「で、では良いんだな。私が貴様の木剣を取り扱う事を。」

 「お、おぅ、あ、は、はい。」

 「それでは中庭に向かおうぞ。」

 「お、あ、はい。それでは。」

 「まあ待て、ハーデン。お前にしては言葉に対して努力した事は認めるが、まだまだ足りないのも事実。もう少し落ち着いて対応してくれ。」


 「お、おう。」

 「それとヴィルテス様、この後コルテ様とご一緒に階下に向かいます。」

 「はい。」

 「そこでお二人のお姿をゴブリン討伐隊の指揮官等に拝見させた後、ハーデン等と裏庭で木剣をお試し下さい。」


 「承知致しました。」

 「そうですよ。ヴィルテス。」

 「それでは参りましょう。」


 俺達は待たせたギルマスの元にレソルザット夫人とそのご子息を会わせに、階下へ臨んだ。


 「皆さん、大変お待たせいたしました。皆さんをこちらにお呼び出しした理由が、こちらのレソルザット男爵夫人であらせられるコルテッラ様と、そのご子息のヴィルテス様にございます。」

 「それはそれは、ご存命であられたとは。誠に大変なことであったと存じますが、こうしてご存命であられること、何よりにございます。」

 とギルマス。


 「これはこれは、ギデリウンハ・・」

 突然コルテ様の話の途中にギデルが割り込む。

 「俺は冒険者、翼のリーダーギデルだ。コルテッラ。」

 「それは失礼致しましたギデル様、それからダンエイクロイド様にムンハルト様。」


 やっぱりギデルは上級貴族の息子とかだな。いいや領主あたりか、もしかすると王族とかも有り得る。そして次にダンとは、ダンの家計はその貴族の護衛の家系か。

 どうやらどれも当たっているようだ。


 「私はそこの今回の指揮官の一人、ダンエイクロイド氏から御方々の捜索に関する話を聞き」

 そう話すと、突然ダンがその場で立ち上がり、右手を胸に当て深くお辞儀する。

 こちらの世界の貴族に対する礼なのだろう。

 俺はそのまま話を続ける。


 「男爵家の方々がご存命の可能性があると判断し、その救済の為には単独潜入が欠かせないと思い、ムンハルド氏に願い出て今の状況です。お二人以外は、ご遺体すら見つけられませんでした。」

 「そうでしたか。」


 「それで、誠に恐縮ではございますが、コルテ様から事の経緯をお話頂けますと大変助かります。」

 「いいですよ。ひゅうご殿のお望みとあれば。」

 「誠に助かります。」


 そこで俺はヴィルテス様の方に向く。

 「それではコルテ様のお話の間、ヴィルテス様には裏庭でお好きなように過ごされたいと思います。お連れ致します。」

 「いいや、私も母上と共にここに居りましょう。お助け頂いた恩義に対する礼です。」

 「ヴィルテス、まだ子供のあなたはこの様な場には不要です。ひゅうご殿と裏庭に行きなさい。」

 「ヴィルテス様、誠にご立派です。その御歳であらせながらご自身の役目をしっかりとご理解されていらっしゃる。」

 「うむ。」


 「しかしながらにございます。やっとの思いでこの平安の時を得られたばかりでございます。コルテ様がヴィルテス様にその難儀な残痕に囚われない様にとのご配慮です。こちらにご同行願いませんか。」

 「うむ、そうであるならば。母上、それで宜しいでしょうか。」

 「はい。良いですよ。ありがとう。ヴィル。」

 「はい。母上。」


 貴族としての気品を保ちながら、相当の愛情をもって接してることが伺えるやり取りだった。

 ダンから聞いていた通り、男爵家は非常に仲睦まじいことは、二人のやり取りだけでも感じ取れる。


 「ギルマス、ギルドから馬車を」

 「ひゅうごよ、分かっておる。既に手配しておる。」

 「流石に早いな。」

 「あぁ、それが俺の役回りであるかなら。それでは、コルテッラ様、お話頂けますか。」

 「はい。それでは話は宿場町ニプレから、ヴィルテスの稽古を終えエルネストラドからの帰り途中いつもの様にニプレに宿泊し、翌日の朝食の際に数日後に予定しているヴィルテスの10歳のパーティーに何か要望が無いかを本人に聞いた際、プレインバッファローの肉を・・・」


 俺はそんな話を聞きながらヴィルテス様と裏庭に向かった。

 店の入り口まで来ていたマインにも目配せして続かせた。

 アギレンとマギーには夫人の所に残ってて貰った。


 「お、おう。遅かったな。来ないかと思ったぜ。」

 「こ と ば」

 「あ、ごめ、し、しつれいしました。こ、この木剣をどうぞ。」

 「全部持ってきてくれたのだな。感謝する。では、左の一番小さいのから振ってもいいか?」

 「勿論だ、です。どうぞ。」


 ヴィルテスが俺が作った大剣練習用の木剣を、思いっきり気持ち良さそうに振りまくる。

 「はっ、はぁあっ、とうっ、うりゃああっ!」

 「ハーデン、動きを良く見ておけよ。」

 「あぁ、言われなくてもな。師匠のとは違う、こんな教え方があるもんだと感心してるよ。」

 「やっぱりお前は流石だな。」

 「あ?なんだよ、それ?」

 「いいから見てろ。」

 「言われなくてもだぜ。」


 「はぁ、はぁ、はぁ、こ、これは今道場で使っている木剣に近いが、でも何でかな、こっちの方がしっくりくる。何故だ?」

 「それは私には解り兼ねます。が、次の大きさの木剣をお振りになれば、もしかしてご自身で理解なされるかと。」

 「それは私を試しておるのか?」

 「そのようなことは一切ございません。ただ、そう思っただけにございます。」


 「そうか、それなら、今度はそちらの木剣も貸して貰えないか?」

 「も、勿論、で、です。」


 ヴィルテス様が、ハーデンに作った木剣の5本の内、2番目に大きい木剣を振り始めると。

 「こ、これはっ!い、一度だけ持ったことがある。お、大人用の通常の大剣を模した木剣だな!?」

 「さすがはヴィルテス様です。左様でございます。一般的な大人の使う大剣の重量などのバランスを考えて作った木剣にございます。」


 「ま、まだ私には扱い切れない。が、これを振れる様に鍛錬したい。こ、これと同じものを私にも作って頂けないであろうか。これに幾ら掛かるのかは存ぜぬが、これ程までとは思いもしなかった。出来るだけ父に願い、払えるようにする故。」

 「落ち着いてくださいませ、ヴィルテス様。これと同じ木剣を作成するのはやぶさかではございません。それもレソルザット卿にご相談されるまでも無い価格、若しくは条件で可能です。」


 「価格か条件か?」

 「はい。左様です。それよりもその木剣はハーデンに取っては数日から十数日先にしか振れない物、ハーデンとのお話次第では本日にもお持ち帰り頂けるかと。」


 「す、数日だとっ!? この大剣を振らせて貰えるのに5年は掛ったのだぞ! それを数日だと!?」

 「いいえ、ヴィルテス様、ただ、振るだけにございます。先程お見せ頂いたような剣舞をこの木剣でとは言っておりません。あの剣舞は私達のような素人まがいの剣士とは違って、永年の研鑽によって培われた流派のものだと伺い知れます。」

 「うむ。」


 「私には師がおりますが、その師はほぼ言葉を発せず、実戦に近い模擬戦にて指導頂いた経験しか御座いません。それに対し、ヴィルテス様の先程の剣舞は、何百何千年もの研鑽の上、一つの流派として継承されてきたものを教わったのだと理解出来ます。」

 「確かにそうだな。」


 「そこで、ですが、私やハーデンは、その日を生き抜く為に稼がなければなりません。」

 「それはそうだろう。」

 「冒険者とは、その日に必要な金を、その日に稼ぐのが当たり前なのです。」


 「よく聞くその日暮らしというやつか。」

 「そうでございます。なので、ハーデンに領都での道場の稽古はお金があっても付けられませんが、ここでヴィルテス様の剣舞を拝見することで、独学させて貰えるなら、月次の顧問料など不要です。」

 「そうきたか。」


 「はい。そうです。その代わり、3本目の木剣からはその都度、この木剣に払っても良いと思える額を頂けないでしょうか。」

 「それはどういうことでしょうか?木剣はそれに見合った額は払うと申したのに?」


 「これは、私のしがない思惑です。」

 「ほう、続けてくれ。」


 「はい。それ相応の金額を私の作る木剣に払って頂けると確信しながら、少しでも早くご購入頂けるようにと、私も指導に力を入れます。」

 「ほほぅ。」


 「それでもそうしていると、ハーデンもそれに負けない様に頑張ると思うのです。」

 「ははぁ。」


 「そうです。それを利用させて貰いたいのです。」

 「流石はひゅうご様。よくそこまで思案されるとは。」


 「ご理解頂き有り難く存じます。」

 「しかし、この2本目が大人の大剣を模した物として、残りの3本はどういった物なのか?」


 「よくぞ聞いて頂けました。この3本目の木剣は、上級大剣士のハオクの剣を模しています。破壊力と重さに特化した大剣を、その重さとその取扱い難い重量バランスを真似てあります。」

 「はあ。それでは大剣としてはこれが完成形ではないのですか?」

 「仰る通りです。大剣の完成形はほぼこの形で間違いないです。」

 「ならば、なぜまだ4本目と5本目があるのですか?」


 「それは、大変特殊な事情にございます。」

 「ほほぉ。」

 「それは、4本目がダンエイクロイドの剣を、5本目がギデルの剣を模倣しているからにございます。」


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