豊守の陣
※豊守の陣とは
豊守の陣は、
神無歴192年 奏の月~神無歴194年 声の月にかけて続いた「帝国戦争」の中において、
神無歴193年 進の月にクロリスハイム高地を舞台に勃発した、
ヘイムル帝国軍第七兵団とクロリスハイム豊原騎士団の戦いの呼称である。
この戦いにおいて圧倒的な戦力差をつけられつつも、
クロリスハイム豊原騎士団はヘイムル帝国軍第七兵団の撃退に成功している。
(「帝国戦争」に関しては、
各動画の概要欄に記載されたエリアガイドURL「※帝国戦争」を参照。)
上記戦争中、帝国軍第七兵団はセレテミス大陸に上陸し、
「ぺリメレ海岸の死闘」の末にぺリメレ海岸を制圧。
その後に王都クロリスハイム占領を目的として、クロリスハイム高地へと侵攻した。
以下、「豊原の陣」開戦時の軍力規模を記す。
★クロリスハイム豊原騎士団
・前線機動分団...377名(分団長...ヤエル・エドムント・アイアンハート)
・伏兵奇襲分団...538名(分団長...シルテオドリック・フォン・アデルブルグ)
・王衛戦闘分団...492名(分団長...フェイブル・ペンテンス・クロリスハイム)
・翼獣調教士分団...73名(分団長...ドゥーチェ・ロレンツォ・メディッチ)
・特魔導機工分団...231名(分団長...シル・ギャレス・ホワイトクリフ)
計1711名
★ヘイムル帝国軍第七兵団
・帝国機動兵団...4390名(団長...ノア・フォン・イヴァリス)
・帝国魔導兵団...2017名(団長...ドレイス・フォン・イヴァリス)
・帝国遠征軍監督騎士団...700名(騎士団長...オーウェン・フィッツ・ウィリアム)
・ケプリ族軍...1311名(族長...ドゥルル・ドゥッヒュップァ)
計8418名
クロリスハイム豊原騎士団は「ぺリメレ海岸の死闘」にて苦戦を強いられ、
突如として帝国軍第七兵団に加勢したケプリ族の影響を受けて敗北を悟り、
早い段階でクロリスハイム高地への撤退を開始。
標高が高く、高低差が激しく、なおかつ凶暴な翼獣種が生息するクロリスハイム高地であれば、
その地形を生かし、起死回生を図れると考えたのである。
クロリスハイムの民は元より「ネ―メシス教国」時代の魔法の血筋を引き継いでおり、
高地への撤退の際に「魔法障壁」を発動し、迎撃戦に備えるための時間を稼いだ。
クロリスハイム高地での迎撃作戦準備として、
豊原騎士団 伏兵奇襲分団は高地に多くの罠を設置し、
同時に、翼獣種が生息する危険区域への誘導ルートを確立。
前線機動分団は、伏兵奇襲分団の作戦に必要な陽動を担当。
翼獣調教士分団は危険区域への誘導後に、
翼獣種による帝国軍への襲撃を行うために高地上層に配備。
王衛戦闘分団と特魔導機工分団は、
作戦が失敗した場合に避難民誘導などのために時間を稼ぐため、
最後の要として最終防衛線に配備された。
歴史上、各国に対してどうしても数で劣るクロリスハイム豊原騎士団は、
設立当初から「少人数での戦闘」を前提とした特殊戦闘を主としており、
今回の「圧倒的な兵力差」を抱えた戦闘は彼らにとって最高のコンディションであった。
故にこの「豊守の陣」の開戦前から騎士団員たちは
「勝利を前提とした士気」を保持していたとされる。
対する帝国軍第七兵団は、豊原騎士団に圧倒的に勝る兵力数。
そして同時にケプリ族の加勢もあったことから、
クロリスハイム高地の突破を容易に遂行できると過信し、
戦場の偵察や予測、作戦伝達を最低限しか行っていなかった。
しかし誤解されぬように補足をしておくと、帝国の戦闘能力は見掛け倒しではなく、
長い神無歴の歴史上に存在する多くの戦いにおいて、
ヘイムル帝国の兵それぞれの戦闘能力は凄まじく
「軍事国家」としてのポテンシャルはけして低くはない。
普通に考えれば、「豊原の陣」は、
誰が見ても「帝国の勝利に終わる」と予測ができるものであった。
しかし、「豊守の陣」において、帝国軍第七兵団は「単純兵力差」に囚われすぎていた。
なぜなら、この戦いにおいての最大の要は、「単純兵力」ではなく、
クロリスハイム高地に生息する「翼獣種の存在」や、
変化し続ける戦況が生む「想定外の出来事」だったからである。
「豊原の陣」開戦当初は、
クロリスハイム高地南の「ロミンサ砦」を中心とした白兵戦が主であった。
この白兵戦は、
「犠牲を前提とした帝国軍の油断」を誘うための豊原騎士団の作戦の一つであり。
数字的に見れば、帝国軍の兵力に比べて豊原騎士団の兵力は多くの損失を記録している。
しかしこれを受けて帝国軍は、「このまま進軍すれば制圧は容易」と、見事に油断。
この後、ロミンサ砦は帝国軍に占領され、豊原騎士団は高地中央の「コーレイ砦」へと後退。
同時に、豊原騎士団にとって「真の戦い」が幕を開けることとなる。
コーレイ砦へ騎士団が後退したのち、前線機動分団は陽動作戦を開始。
帝国軍第七兵団はこの状況を好機と見て「豊原騎士団が最後の総力戦を開始した」と誤解。
目前の敵に気をとられた第七兵団は、
豊原騎士団の思惑通り「危険区域」への誘導にかかることとなる。
前線機動分団の陽動に対して大半の兵力を割いていた帝国軍第七兵団は、
誘導ルート途中に仕掛けられた大量の罠により、想定外の損失を記録。
現場は混乱し、クロリスハイム高地帝国軍部への戦況報告は遅延。
さらに同時期に、
帝国軍が占領していたぺリメレ海岸が「砂学連合軍」の攻撃を受けることなる。
(別項目 ぺリメレ海岸解放 にて記載)
これにより、クロリスハイム高地への帝国補給路は完全に失われ、
その報せを受けた軍部は「一刻も早く高地を制圧し、王都を占領するべき」と焦り、
伝達が遅延し戦況が不鮮明であるにも関わらず、残っていた戦力の大半を投入。
その勢いのまま、帝国軍第七兵団の約9割が豊原騎士団の思惑通りに危険区域へと侵入。
翼獣調教士分団が仕掛けた翼獣種の襲撃により、更に多くの損失を出すこととなる。
加えて、帝国軍第七兵団に加勢していたケプリ族が突如、クロリスハイム豊原騎士団に寝返り、
先ほどまで共に戦っていた帝国兵たちを裏切り、無差別に攻撃を開始。
(後の戦争裁判においての処罰を軽くするためにクロリスハイムに恩を売ろうと画策した。
つまりこの段階で、ケプリ族は帝国軍第七兵団の敗北を予見したと考えられる。)
豊原騎士団本部は、一連の作戦の成功と、ケプリ族による帝国軍裏切り、
砂学連合軍のぺリメレ海岸進軍の報せを受けて、
最終防衛線に配備していた王衛戦闘分団・特魔導機工分団をコーレイ砦へと投入。
混乱し弱体化した帝国軍第七兵団を一掃するために総力戦を仕掛ける。
ようやくクロリスハイム高地帝国軍部に「第七兵団壊滅」の情報が伝達される頃には
「ロミンサ砦」を豊原騎士団が解放。
帝国軍部は状況を正確に理解できぬまま、クロリスハイム高地から後退することとなった。
以上が「豊原の陣」である。
ちなみに後退後の帝国軍第七兵団は、追撃してきた豊原騎士団と、
セレテミス大陸に上陸した「砂学連合軍」によって、
ぺリメレ海岸にて挟撃され、敗北している。(別項目 ぺリメレ海岸解放 にて記載)
余談だが、帝国軍第七兵団の将軍達や、
少数の兵士は敗走する中でぺリメレ海岸を突破し、
命からがら本国への帰還を果たしている。
彼らは後に、「帝国戦争」終盤の「帝都制圧作戦」で起きた大規模な帝都壊滅の際、
対帝国連合軍と協力し、敵味方問わず、民間人や重症兵士達の避難救助を行っている。
その功績を認められ、終戦後にはス・カディ最高裁判所での戦犯裁判にて、減刑を受けた。
その後の彼らは、ス・カディ軍連都防衛騎士団に配属され、
多くの民に後ろ指をさされながらも、平和のために従事した。
構想/Production…HinataSato




