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ネーメシス教国

★ネーメシス教国


・概要

神歴?年~神無歴130年まで存在した国。

セレテミス大陸南部に位置していた。


聖ネーメシアによって建国された宗教国家であり、

「星神(忌神)」を信仰する「テラー教」の元に成り立っていたとされる。

「教皇」を頂点とし、教皇は「星神のお告げ」を元に国の運営方針を考え、

「教会」がそれを「法と信仰」の枠組みの中で整理し公布する。という運営方法がとられていた。


学院国家ロザリアや、マギア独立魔法連邦と同じく「魔法」によって成り立つ国家であり、

一時期は「三国魔導連盟(三魔連)」の元に、各々「魔法文明の新たな未来」のために助言や交流をしていた。

※ただし、ネーメシスにおける「魔法」は、一般的な魔法とは違い、

「星神信仰」の対価による恩賜「星魔術」が一般的とされているため、勝手が少し違う。


自国の「信仰」の布教と顕示のためならば非道を犯す国でもあり、

実際に神無歴20年には「ベアーブ王国」を一方的に侵略し、その民を虐殺、連行している。


また、「星魔術」の使用に必要な「想像魔」の才を持たない国民は「非教徒」として扱われ、

女子供関係なく、星神への生贄や労働力、あるいは「想魔研究院」の実験体、

更には、ヘィル監獄に収容され魔力抽出に利用された。

(魔力を有することと、想像魔の才の有無は比例しない。)


この「才能による圧倒的格差」は他国から見ても「異常」の一言であり、

神無歴83年にはス・カディ多種族共和連邦の元「教国・ス連合議」が開催された。

合議と言っても、ス・カディによるネーメシスへの「国営への抗議と説法」であったそうだ。

この合議には、「三魔連」からロザリア・マギアの代表者も出席していた。

ロザリアとマギアは「同じ三魔連の加盟国として、野蛮かつ排他的な国営への印象問題」

ス・カディは「神無き後の優良的社会の持続と、未来的平和に対しての教国の異端性」を主張。

最終的にネーメシス側は全く聞き入れず、この合議は幕を閉じている。


神無歴95年にアトライアが教皇として即位してからは段々と雲行きが怪しくなり、

神無歴128年 夜の月に勃発した「闇呼戦争」によって滅亡した。

現在では、その跡だけが残っている。

※闇呼戦争については別項目を参照



・起源

神歴?年、古代神戦争の後に神々が消えたのち、一人の少年が「星神信仰」を説いた。

神話という事象を体現するが如く神秘的な容姿と、人々を魅了する声と言葉を持つ少年の元に、

多くの人々が感心を抱いた。

その少年が「聖ネーメシア」である。


彼は「老いない肉体」を持つ少年だったとされている(寿命は存在する)

そして、「陽が堕ちれば死に、夜が明ければ生き返る」という特徴を持っていたと記されている。

要は「毎晩死に、毎朝生き返る」ということである。


また、生まれながらにして星神の強い加護を授かっていたとされており、

単なる「信仰」ではなく、星神との会話や直接的な「力」の享受を可能とする「代弁者」に近い。


やがて聖ネーメシアは多くの信者を率い、「テラー教」として星神信仰を拡大していった。

そして、「ネーメシス教国」を建国したのである。

同時に聖ネーメシアはネーメシス教国第一代教皇として、教国の頂点に君臨することとなった。



・国内組織

【教皇庁】

ネーメシス教国のトップである「教皇」と、数人で構成される「枢機卿団」と「聖堂参事会」によって成り立つ。

「星神」の意向を元に国家運営案を練り、その対応を「教会」へと委ねる。

基本的には「聖ネーメシア教会」を直接的な傘下として捉える。

しかし神無歴97年以降は「想像教会」を傘下としていた。

これは当時の教皇アトライアの意向による、ほぼ独善的な「教会の乗り換え」であったそうだが、

これによりネーメシスは破滅の道を歩むこととなる。


【聖ネーメシア教会】

建国当初から存在する教会であり、

ネーメシス教国における「信仰」の全てを司る教会組織。

教皇庁の直接的傘下として存在し、教皇庁の意向を汲んで「法」と「信仰」を組み立てる。

純粋な「星神信仰」に加えて、「聖ネーメシア」への人間崇拝が特徴。

教国の「信仰」にとって、最も基本的で始祖的、かつポピュラーな教会である。


【想像教会】

神無歴13年頃に誕生した教会。

当初は、聖ネーメシア教会の傘下として、補佐を請け負う小さな組織であり、

名称も存在しなかった。

その後「想像魔:星魔術」の法整備などを担当することとなり、

「想像教会」という名称が与えられる。

「星魔術養成院」や「想魔研究院」を管轄下とし、教国の魔術の全てを管理する。


【星魔術養成院】

神無歴19年に作られた機関であり、想像教会の管轄下。

国民は5.6歳になると、この養成院に入学し「想像魔:星魔術」を学ぶ。

初等院6年、中等院3年、高等院3年の計12年間、教育を受ける。

上の院へと昇級するには試験に合格する必要があり、

想像魔の才がないと判断された学生はその時点で退学、

想魔研究院で実験体となるか、肉体労働、あるいは星神への供物としてヘィル監獄に収容される。


【想魔研究院】

神無歴19年に作られた研究機関で、想像教会の管轄下。

その特性上、際限のない「想像魔:星魔術」を研究する機関。

新たな星魔術の発見や実験、あるいは既存魔術との融合、

生物を生み出す実験や、既存生物を変容させる実験、など幅広い研究が行われる。


【教会騎士団】

建国当初から存在する組織で、聖ネーメシア教会の直属。

教会が公布する「法」の元、国内の警備から、教皇庁の任務まで多岐を請け負う武装組織。

十二の団によって構成され、それぞれを束ねる団長は「審問十二司」と呼ばれる。

「教国魔導軍」が設立されるまでは、実質的な「警察」であり「軍力」であった。

魔導軍が設立された後、国内の警備のみを担当している。


【教国魔導軍】

神無歴19年に設立された軍隊であり、ネーメシスの本質的主力軍力。

歴史上「ネーメシス軍」や「教国軍」とも呼ばれている。

星魔術養成院を卒業したその大半の生徒がこの軍へと入隊する。

しかし「想像魔:星魔術」の扱いづらさも相まって、単純な魔法力や人数は少々少なめ。

「学院国家ロザリア」や「マギア独立魔法連邦」に比べれば、軍力では劣る。

しかし「闇呼戦争」においては「星神(忌神)」の膨大な加護を受けており、

その戦時中は圧倒的な魔法力で各国を苦しめた。


【ヘィル監獄 : 魔力抽出機構】

教都ネーメシスの更に南、ギヨル地下水路から繋がる巨大な監獄。

建造された当初は一般的な認識の通り、罪人を収容するための牢獄として運用された。

しかし神無歴18年からは、想像教会の管轄下に置かれた。

増えた国民と、それに比例する国家運営の諸々で手一杯だった聖ネーメシア教会の代わりに、

想像教会にその管理が半ば強引に押し付けられた形である。

しかし、想像教会はこの監獄を「魔力抽出」の場、即ち「星神」への供物の場として利用。

収容された人間の体内に存在する魔力を抽出するようになった。

増える罪人や収容者の管理コストを減らすと同時に、星神への柱としても利用したのである。

言葉は悪いが、一石二鳥である。



・「星神信仰」と「聖ネーメシア」

星神信仰の起源については謎に包まれており、その真意は現在でも不明とされている。

聖ネーメシアが「星神信仰」を説いたのは「星神」の代弁者だからであって、

それ以前から星神信仰自体は存在していたとされている。

そもそも聖ネーメシアの布教前から、セレテミス大陸にはチラホラと「星神信仰」を知る人間がいたようだ。


この「星神」だが、

「闇呼戦争」での「忌神の氾濫」を受けて、現時点で「星神=忌神バヴェル」という見解が定石となっている。(紛らわしいので、ここでは星神と記載する。)

※神々についての記述は別項目を参照。


「闇呼戦争」に至るまでの間にも、代弁者である聖ネーメシアを通して

星神の力は地上(厳密にはネーメシス)にかなり及んでいた模様。

教都ネーメシスの建造も、その力によって大規模なテコ入れが為されていたようだ。


※レポート「ネーメシス大教会:下」より一文抜粋⬇


「その巨大で麗しき巣は、生亡き星神より贈られた彼への愛であった。

捧げられた供物に対価として、神は有り余る壁を与えたのだ。

その神は、質量をも生み出した。

大教会は、彼へのエリュシオンだったのだ。」


「闇呼戦争」の最中においても、

「信仰の見返りとして、兵が莫大な魔力を授かっていた」ことが明らかであり。

「星神信仰」は、

「信仰の対価として、星神が分かりやすい援助を与える」という仕組みだと推測が出来る。

同時に「聖ネーメシア」は、その星神の援助を常に受けていたということになる。


ネーメシス教国においての「星神信仰」は、星神への単一信仰ではなく、

聖ネーメシアと星神を同一視した「人間崇拝」的な形となっている。

神無歴97年に教皇庁の傘下が「想像教会」に切り替わってからは、それが薄れている。



・想像教会

簡潔に言ってしまえば「脱・聖ネーメシア」である。

「聖ネーメシア教会」では、人間崇拝的な意味合いを多く孕んでいたが、

想像教会の場合、聖ネーメシアを抜きとして、「国民と星神」という関係性を主張している。


また、「星魔術」の運用による「軍事国家」への移行も考えており、

星魔術を「信仰の産物」ではなく、「教国の文明」もっと言えば「人間の物」として捉える。


しかしその実態は、聖ネーメシア教会時代よりもはるかに「星神の力」に頼っており、

理念と行動には、かなりのギャップが存在する。

実際、ヘィル監獄への供物として捧げられる国民の規模も、

「聖ネーメシア教会」主流の時代と比べると異様な程に増えている。


そもそも想像教会は元より「教会」ではなく、

その起源は「星魔術」の管理を担うための小さな組織である。


つまり「教え」がどうのこうの、なんて根幹はさらさらなく、

神を利用して、そのシステムを使い、国を成長させる。ということにのみ特化している。


聖ネーメシアの存在はそんな想像教会にとって、邪魔以外の何物でもなかった。

なぜなら、いつまでも過去の人間と伝説を掲げ、その古風な信仰と態勢を守ったままでは、

枠を超えた飛躍的な国家進化を進めることができないからである。

教皇アトライアもまた、聖ネーメシアの存在を邪魔に感じていたのだろう。

自国がもつ、他にはない「魔法」を用いて、国を大きくし、自身がその頂点に君臨することだけを考えていたのかもしれない。

実際に彼は「闇呼戦争」に舵をきっている。


ちなみに、想像教会が傘下になった途端、教皇庁の枢機卿団はヘィル監獄へ収容され、

アトライアの独断で新たな態勢が組まれている。

この「枢機卿団一斉収容」についても解説しよう。

深く関わったのは枢機卿団の一人、アン・ゴルマウア枢機卿である。



・アン・ゴルマウアと、枢機卿一斉収容

教皇アトライアは、ネーメシス教国を「軍事国家」として再構築すべく、教会と枢機卿団という二大組織の改革に乗り出した。

しかし正面からの改革は国民の反感を招くと判断した彼は、枢機卿団の「汚職」を糾弾することで“正義”の名のもとに改変を進めることを画策する。


この密命を帯び、枢機卿団に送り込まれたのが、想像派の若き才媛・アン・ゴルマウアである。

彼女は「聖ネーメシア教会」の司教・テグマイヤの娘でありながら、保守的な教義に疑念を抱き、星魔術養成院の中等課程に進むころには完全に「想像派」に傾倒していた。


卒業後、教皇庁聖堂参事会に就任した彼女は、宗教信仰と社会・軍事的実力の乖離について再三警鐘を鳴らしてきた。

その才覚に目をつけた教皇アトライアは、彼女を枢機卿団へのスパイとして抜擢する。


アンは数年にわたり、枢機卿団の不正蓄財・汚職・監獄内での児童売買の記録を入手し、教皇へ密かに報告し続けた。

やがて決定的証拠が揃ったとき、教皇は一斉摘発を敢行。多くの枢機卿が失脚し、聖堂参事会内の協力者も芋づる式に拘束された。


この大粛清は、「ネーメシア派」への信仰離れを決定的なものとし、

教皇アトライアの主導する「想像教会」への移行が急速に進んだ。



・「想像魔」と「星魔術」

一般的な魔法は、「魔力」により世界に存在する「属性エネルギー」を利用するものが一般的。

しかし「想像魔:星魔術」は、「想像」することによって、それを魔力で再現する。


星魔術が扱いづらい、と言われるのも、この特徴のせいだと言える。


術者は、頭の中で「想像」をする必要がある。

この「想像」は「漠然的」であってはならない。

「どうやって、どんな」を精密に脳内で組み立てる必要がある。


故に、「際限のない可能性」を秘めている魔法であり、

想魔研究院が設立されているのである。


また、この星魔術を扱うには、単純な「魔力」のほかに、

「星神の魔力」が必要となる。


これは、信仰の対価として与えられるエネルギーであり、

ヘィル監獄にて「魔力体」を捧げることで強めることが可能。

この「魔力体」は、上述の項目でも話した「想像魔の才がなかった人間」のことである。


単純な魔力は誰しもがもっているものであり、

故に、才のなかった人間は、魔力を抽出し星神にささげる柱として利用されるのである。


教皇庁の傘下が「想像教会」に切り替わったのち、この「魔力体」、供物の数が異様に増えたのは、

教皇アトライアが「軍事国家」への移行を考えての「軍事力強化」のためだと考えられる。



構想/Production…HinataSato

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