第四話 禁忌の場所
「ちょっと、何をしている」
「いや、この街として、登録されてしまうとなかなかに不便なもんで」
「それより、あの壁気にならないかい」
彼が、深掘りしないということは、なにかしら知られたら不都合なことがあると思ったので違和感を残して聞かずに吞みこむことにした。
「ああそう言えばそうだね」
「あれは、この街の市民に登録されると、入れなくなる場所なんだ。」
「私はあの外に行きたかったけど1人では寂しいからね。」
なぁんだ。カードを破いたのがとても子供らしくて、可愛い理由だったので安心した。ならば、許せるような気がした。
「ちなみに、あの外は、昔、戦争が起きて、荒地になってしまった場所だよ。今でも地雷があるから近づいちゃだめなんだって」
「でも、禁止された、禁忌の場所だからこそ憧れるよね。」
「せっかく友達もできたところだし、行ってみないか。」
私は友達という言葉が嫌いである。いや、友達という存在そのものが嫌いなのかもしれない。
私は、世界各地で、友達を作ってきた。
しかし、いまはその友達に会うことが出来ない。
だが、わたしは会いたいなんて思わない。
だって、私が友達だと思ったり、相手が友達だと思っても、友達という存在がとても曖昧で、どうすればいいか分からないからだ。だから、私は友達をその場かぎりの関係性と思うようにしている。
そう定義した方が、私は何にも縛られずに楽だからだ。
しかし、彼の場合は違った。私は初めて彼をここを離れてしまったとしても会いたいと思う。
なぜか、彼のことを友達よりは重くみているような気がした。でも愛してるというほどではない。
まあ言葉で表すと、親友とでも言うべきだろうか。
「じゃあ、行ってみようか」
彼は壁の門を開けた。
すると、門番に止められた。
しかし、彼の顔を見るなり、門を明け渡した。
「行くよ」
彼は、私の手を引き駆け出した。
いや、顔を見ただけで通ることができるならカードを
破り捨てる必要はなかったのではと思ったが、なぜかその違和感は聞いてはならないような気がした。
そして、壁の外には、無数の墓無数の武器があった。
彼はその墓に一つ一つお祈りし、
武器をとって、投げ捨てる動作を何回もくりかえした。そして、彼は南東方向を指差して、
「あそこが、ポータルの居場所だよ。」
と言った。全てのピースが埋まった。
彼が、ここに私を連れてきたのはポータルの場所を 確認した。
しかし、彼があの行動をした時、完成したジグソーパズルは、音を立てて崩れ落ちた。
「さあ、君もやってごらん」