第53話「捨てられない過去」
俺は両手で合掌し、作った剛のお墓の前で数秒間目を瞑る。
「俺、強くなるから、」
そう一言残してそこから去る。
(でも……一緒に卒業したかったなぁ〜)
そう思うと涙が目に溜まる。俺は上を向いて夜空を見る。
校長先生はあの後責任から逃げるためか上層部に見捨てられたのか分からないが、学校から去った。
学校自体の建物は荒れ果て、生徒も大量に減り、校長も不在。
(いよいよこの学校も崩壊だな……)
???視点
「蓮…俺が、助けるから……」
(兄ちゃん……)
俺の唯一の家族が今、目の前でピクリとも動かなくなる。
「早くこの村に伝わる伝説の刀とやらをだせ。」
(刀!?なんの事?)
「……!!助けて!!誰か!!」
「助けを呼んでも無駄よ…お前以外は全員息絶えたのだから」
「だから刀は諦めろと言ったじゃろう?あれは誰にも抜けないんじゃ!」
後ろからゆっくりと歩いてくる老人が喋る。
「お前はやっぱりそれが目的で着いてきたな?」
「……」
「図星か…彼奴も早く殺せ」
「わかったわよ!故郷を潰すなんて悪趣味なじいさんね……(小声)」
俺は殺されるという予感がしたので近くにあった石を投げる。だが、石は届かずに崩壊した家の一部である木にコツンと短い音を立てて動かなくなる。
「じゃあね」
そう一言発せられて俺の意識は途絶える。
目を覚ますと汗だくだった。
ハァハァ……
(最近昔の夢をよく見るな……)
あの日当たり前だった日常は崩れ、地獄となった。
「やっぱり能力者は許さない……そしてあの時にいた奴らは俺が殺す!!」
俺の中で決意が固まる。
「能力者は許さない……?あなたも能力者じゃない……」
俺の首には双剣が突きつけられる。
「智美?君は裏切る気か?」
「元々仲間じゃないし、あなたの野望は矛盾してるって言ってんの!!」
そう声を荒らげた時……双剣は俺の首を貫通する。
智美視点
私はトランシーバーに向かって短く、
「任務完了です……」
そう伝える。
「よくやった……”霜月”。」
「死にたくても死ねないんだよ……何度も死のうとした、だけど……俺の能力は”不死身”なんだよ。」
私はトランシーバーに向かって
「聞きましたか?」
「ああ、しょうが無い撤退しろ、能力をしれただけでも上出来だ!」
「了解です。」
それが聞こえてトランシーバーを懐にしまう。
「影楼!!」
私は双剣の力を解放し、蓮の足元の床を狙って技を放つ。
「無影灯…」
足元の床は弾き飛び、目くらましになっているうちにそのうちに私は影移動で拠点に戻ろうとした。
……が、
ガシッと腕を掴まれる。
「そのまま俺を拠点へ連れっててくれよ」
私の影から片方の双剣が出現してその腕を切り落とす。
(一応影に仕込んでおいて良かった。)
無影灯を使った後すぐに影に片方の双剣を地面に落として影にしまっておいたのだ。
蓮の腕が切れた瞬間即座に私は影移動を使い、拠点へと戻る。
蓮視点
(逃げられた……か、まぁいいこの能力を知られたところで対策は出来ない……)
「また、修理しなきゃ……」
壊れたアジトを見てつぶやく。
「蓮様!!一体何が!?」
やがて仲間が何人か駆けつけてくる。その中に古楠の姿があった。
「古楠は第4位にこっぴどくやられたんだから休んどきな」
そう助言する。
「いえ、休んでいられません。能力者をこの世から消す”最後”の計画実行まで、あと……」
「3ヶ月しかないんですから」




