第50話「体育祭17【本物の絆】」
智美視点
(船馬がやっと居なくなった、そろそろ頃合いか?)
私は影移動を使う。
「すまなかったな……”光樹”」
パチン!
そう呟いて指パッチンをし、光樹と場所を入れ替える。
(だが…まだ……お前たちとは……)
光樹を影移動で避難させていた場所と自分の場所を入れ替えてそこから去る。
光樹視点
「戻ってきた……、闇鬼?暴走しているのか?それになんか沢山いるぞ?」
俺は当然混乱する。
3分前
智美の技を食らったと思ったら気づけば俺は見覚えのある場所にいた。
「……ここは?俺は死んだのか?」
走馬灯のようなものだと思ってた。なぜならここは昔俺と闇鬼が住まわせてもらっていた龍華の家だったからだ。俺の見える景色には綺麗な水が流れ、村は繁盛していた。
だが……目を擦ると……
あの時のまま屋敷は崩れて廃墟化した景色だった。
(これは……夢?現実?)
もう一度瞬きすると
現在に至る
「とにかく闇鬼を止めないとな…」
「光樹!このままじゃ闇鬼は暴走の反動で死ぬ!」
聞き覚えのある声に後ろを向くと、刀夜が向かって来ていた。
「闇鬼をとめないと!」
俺は焦り、スピードを上げて闇鬼の元に向かう
「闇鬼!!」
その声は闇鬼に届いたようで闇鬼はもののけでも見たような表情をし、やがてその顔は険しくなる。
「…お前は兄ちゃんの偽物か!?」
(ダメだ…完全に疑心暗鬼になっている。)
闇鬼は偽物だと思っている俺に分身を集中させる。
前、後ろ、上、下、四方八方から闇鬼の分身が襲ってくる。
(たとえ分身であったとしても愛している弟と戦えるわけがない……)
俺は抵抗せずに目を瞑る。
(俺はやっぱり弱い兄だ)
「神刀 佐保姫「神姫解放」!!」
「鏡斬桜」
周りから放たれる闇鬼の分身の攻撃は反射される。
「光樹、あの時の借りは返したからな!早く闇鬼の元へ行け!」
その声に俺は目を開けて
「ありがとう……」
そう一言言って向かう。
だが、刀夜が引連れてくれた分身では無い新たな分身が俺に向かってくる。
(刀夜が俺たちのために汚れ役を買ってくれたんだ、俺ももう迷っている暇はない!)
「すまん、闇鬼」
俺は光の能力で創った槍で前から向かってくる分身を受け流そうとする。
「平安……」
「兄弟は大切な絆のある存在よ!その絆を少しでも傷つけさせない!」
第3位は体育祭の時に召喚した剣士を召喚して俺に襲ってくる闇鬼をなぎ倒す。
「ごめんね、遅くなって、」
(第3位がなんで俺たちを?)
会話はしていたが、あの計画の時や刀夜と話す時に少し話すぐらいだ。それなのに”助けてくれた”ことに驚いた。
「ありがとう...」
二人のおかげもあって闇鬼のいる場所までたどり着くことが出来た。
闇鬼視点
「おい!闇鬼!正気に戻れ!!」
その兄ちゃんの偽物の訴えを聞いて
(兄ちゃん?嘘だ!目の前で死んだはず……)
「消えろ!偽物!」
俺は目の前の偽物を思いっきり殴る。
「俺は生きてる!!」
殴られてもすぐに顔をこちらに向けて俺の目をしっかりとみている。
光樹視点
(完全に俺が死んだと思っているのか……なら俺が本物だと証明すればいいのか)
そう考えた俺は闇鬼に語りかける。
「捨てられたあの日、二人で寒さを凌いだよな」
俺と闇鬼が親に捨てられた初日、二人で身体を寄せ合って寒さを凌いだ。あの日どちらかがかけていたら寒さで今頃ここにはいなかっただろう。
殴ろうとする闇鬼の手が止まる。
「や、めろ!」
「お前がボコしてきた智美に一目惚れしたのはびっくりしたよ」
「偽……物!!」
闇鬼の頬を涙がつたる。
「智美に言われて俺はブラコンだと初めて自覚したよ……」
「兄ちゃん……」
周りの分身が一斉に消える。
「俺たちは二人で一人だろ?」
闇鬼の頭から生えた禍々しい角が縮んでいく。
「本当に生きてるの?」
「ああ、このとおり!」
両手を広げて言うと、闇鬼は俺の胸に飛びついてくる。
「良かった!!」




