第47話「体育祭14【雀百まで踊り忘れず】」
光樹視点
「智美!お前を止めに来た!」
フードで顔は見えないが深くため息をしているのが分かる。
「まだ分からないのか?私には勝てないと……」
次に闇鬼が前に出る。
「智美……どうしてこんなことを」
闇鬼に続いて俺は問う
「それになんで闇鬼にはあんな忠告をしたんだ?」
そこで隣から声が割入ってくる。
「おい!お前も早く能力者共を殺せ!」
その言葉に智美はこくっと小さく頷いて
「影蝶」
黒い蝶が美しく羽ばたいてこちらへ向かってくる。
(この技は確かあの時の俺の最大攻撃を余裕で防いできた技……)
その技に対して闇鬼が対抗する。
「安元訪花」
闇鬼の放った闇の光線は黒い蝶の左の羽をえぐる。
闇鬼の闇は俺の光と違って智美の影に対抗出来る!そう確信した。
羽をえぐられた黒い蝶はそこから細かく黒い球に分散し、それは俺たち目掛けて恐ろしい速度で迫ってくる。これに当たればタダではすまないことを感じる。
俺はすぐに闇鬼を抱えて光の能力を使って素早く移動しそれを避ける。
「智美は本気で殺しに来ている!攻撃の防御は俺に任せて、闇鬼は攻撃に集中しろ!」
闇鬼は
「わかったよ兄ちゃん!」
そう言って闇の能力で作った斧を構える。
「いくぞ!」
俺は智美の攻撃を避けてそのまま智美の元にすぐに走り込む。それと同時に闇鬼は闇で作った煙幕を投げる。これを食らった智美は目の前が真っ暗で一筋の光すら捉えられないはず……
俺は途中で闇鬼を上空に投げる。
煙幕が晴れて来る直前に俺は智美の背後に回っていた。
智美視点
「お前らは、”昔からの癖が治っていない”」
この時私はこの2人の行動が昔とあまり連携の戦い方が変わっていないと思っていた。なぜならこの戦い方は”私が教えた連携のうちの一つが基礎になっているから”
光樹視点
俺はその智美が吐いた言葉に嫌な予感がしたが、既に遅かった。
智美はまるで後ろに俺が来ることが分かっていたかのように囮の俺をノールックで蹴り飛ばす。
「グッ……残念俺は囮だ…」
その俺の言葉に聞く耳を持たずに上から斧を振りかざしてくる闇鬼を見上げて、タイミングよく斧と持ち手の間を手刀で切り、武器を破壊する。そして両手が疎かになった闇鬼を俺の飛ばされた方向に蹴り飛ばす。
一瞬の出来事でよく分からなかった。着地して安堵するのもつかの間、目の前から闇鬼が飛んでくる。
「自分達の連携技を磨いておけと言っただろう?それと光樹、お前は攻撃する気がないのか?それとも私を舐めているのか?」
俺はその言葉に歯噛みして
「光波光線!」
「やけくそか?」
そう言いながら軽々と俺の最高速度の攻撃を避ける。
「遅すぎるんだよ……私からしたら」
そう言って俺の首に手刀を向ける。
トンッ!
そこで俺の意識は途絶える。
下城視点
私が走って医療室に向かっていたところ、
「死ね!!」
角から一人のフード人がナイフを持って向かってきたので相薙刀を構えた。
「悪いけど君と戦っているほど暇じゃないの」
私はため息をしながら言う。
「それにあることをやるまでは死ねないの……」
私は一瞬で相手の間合いに入り込み、首元に薙刀を突きつける。
首元に薙刀を突けられていることに気づいたフードの人はナイフを落として両手をあげる。
「降参だ……」
私はそれを聞いて再び医療室に向かおうとした。
「……と言うとでも思ったか?」
不敵な笑みを浮かべながらそう言い、落としたナイフが勝手に私に向かってくる。
「それが余生でいいかしら?」
私にナイフが当たる直前でナイフは空中で止まる。そして地面に再び落ちる。
「ガ……ハァ!!」
(君はもう死んでいるから)
そう、私は既に相手の首元を切っていたのだ。
そうして医療室に着いた。向かうのは”剛”の部屋だ。
ガチャ!
ドアを開けた。中には……
誰にもいなかった……
「やられた……」
そうつぶやいた声は静かな医療室に何度も反射して響き渡る。




