第29話「Immature」
これは光樹や闇鬼が知らない智美視点の出来事
私は龍華様を安全な場所に連れていくために、事前の避難場所へと影移動でワープする。
「龍華様……ここから絶対に動かないでください!!」
そうして先程の場所に戻ろうとすると私の裾を掴まれる。
「お前はまだ子供だ!たとえ強くても無理な行動はするなよ?」
私はその言葉に微笑み返し、影移動で恐らく戦場になっているであろう場所に移動しようとした。
「なんだよ?敵の大将も餓鬼だし、守っているのも餓鬼か?」
こちらを向いて日本刀を持って歩いてくる人物……
「何者だ!?」
私はすぐに龍華様を庇うように手を出す。
「どうせ死ぬんだ、答えてやる!”あの方”の右翼として戦う者……風雷涼!」
彼はそう名乗る。
「あの方の右翼!?」
私が聞くと。
「自己紹介は終わりだ!」
そう言ってこちらに向かってくる。その速さは光速なんてものは遥かに超えたスピードで……
「龍華様!」
私はすぐに龍華様を影で……
(光樹と闇鬼の元に!!)
他人だけを影移動させるには発動時間が長く、能力発動前に風?のような刃が龍華様を襲うが、私はその刃を全て受け止めようとしたが、途中で奴が刀を振ってこちらに向かってくる。
私はそれを避けることしか出来ず、それを影移動で避け、奴の背後に回る。
風?のような刃は全て受け切れておらず、2.3発龍華様に当たってしまう。
(すいません……龍華様!)
私が心の中で謝罪をし、そこでやっと龍華様が影の能力でワープした。
背後を取っていた私は
「影印」
(念の為だ……)
影を地面にマーキングする。
(すぐに決着をつける!!)
渾身の一撃を……!!
「影駭響震」
影を拳に纏って放つ!
彼はノールックで日本刀を背中で構えて受けようとするが……
(この技は気配を完全に消して不意打ちをできる!)
私は刀を手で触れるだけで攻撃はせず、フェイントをし、もう一度影移動で今度は彼の正面に移動する。
日本刀は背中でがら空き
(いける!!)
「餓鬼のくせにやるじゃねぇか!」
渾身の一撃をぶち込む。
ドーン!
短い大きい音が鳴った。
私が撃ち込んだ技は……薄い緑色のバリア?のようなものであっさりと防がれていた。
彼はニヤリと笑い
「風神の加護……」
と言う。
(風神?風の能力で守ったのか?)
続けて
「雷蛇……」
日本刀に雷がまとい、先程より数段速いスピードで斬りかかってくる。
(雷の能力も?まさか……複数能力持ちか……)
私はすぐにしゃがんで避けたが、
「甘い……」
そう彼が言った直後、日本刀から雷の蛇?のようなものが避けた私に追尾してくる。
それに気づいた私は影移動をしようと影の中に入った。……が、
雷の蛇?は影に激闘し、中にいた私は感電する!
(くっ!)
思わず私は歯噛みする。
私は影移動を身体が痺れてできず、先程いた場所に影から出てくる。
「俺もお前と同じ歳ぐらいの”あの方”に右翼として仕えている。お前もあの逃がした奴の右翼のようなものなのだろう?」
私はその彼の言葉に
「何が……言いたい?」
と聞く。すると、
「同じ右翼でもここまで実力差がある……強いと自分に酔っていただろう?だがお前は地に手をつけている。まだ”未熟者”だ。」
私の歯噛みは強くなり、拳を強く握る。
(そうかもしれない……。この歳でも大人に勝てていたから自分に酔っていたのかもしれない……けど!それはここで負けていい理由にはならない!)
「来い!」
私がそう言うと同時に影の中から”双剣”が出てくる。
「まだ……負けてない!」
私はその”愛武器 影楼”を両手に握り、構える。
そして私は両足にも影を纏わせる。
(本気をぶつける!)
勝負は一瞬……
私は双剣で彼に斬り掛かる。影移動でフェイントを加えながら攻撃をするが彼は私の猛攻を日本刀で全て防ぐ。
(くそっ……実力差がありすぎる…。)
一度攻撃をやめて彼から離れる。
「もう終わりか?」
肩をすくめて日本刀を構える。
勝負をつける気だ!
私もすぐに影楼を構え直して、残りの力を全て注ぐ。
(まだ一度も成功をしたことはないけど……)
そう思いながら
「影羅!!」
双剣をクロスさせて闇より深い影の光線を発射させる。
この技はどんな物も影で消滅させる。いわゆる即死技だ!
だから……この時技で受けようとしている相手を見て勝ちを確信してしまったのかもしれない。
相手が全く持って本気を出していないことを知らずに……
彼はさらにスピードをあげたようで、私の撃った技の危険性を理解した上で直前で”スレスレ”で避けて私の油断を誘った。そのまま彼はこちらへ向かってくる。
「風雷一閃」
雷と風が混ざりあって技の精度を引き立て合い、その日本刀に恐ろしい程の圧が宿っているのが分かる。
油断していた私はその速い攻撃に上手く対応できず……気づけば地に背をつけ、視界は空を見上げていた。
曇った空から一筋の光が差し込んでいるのが見えるが、私は影のように暗い空を見上げている。
「負けたのか……」
久しぶりの敗北だったが何故か悔しいなどという感情はあまりなかった。
(それにしてもなんで私を殺さなかったんだ?)
私が疑問に思っていると……
「餓鬼相手に死ぬかと思ったのは初めてだ……」
彼はそう言う。
「一つ聞かせろ。お前はなんでそこまで力があってあんな非能力者の餓鬼に仕えているんだ?」
私なその問いかけに微笑みながら……
「お前らみたいな非能力を奴隷にするイカれた思想なんてクソ喰らえだ!」
私はそれだけ言って目を瞑る。
(すいません……龍華様)
彼はニヤリと笑い……
「そうか……」
そう言って日本刀を私の首を目掛けて振る。
「……殺すな」
その声で日本刀は首に当たる寸前で止まる。
「んだよ?江田」
(江田、なんて圧だ……)
私はその圧に押しつぶされそうになる。
そこで江田と呼ばれた人物は驚くべきことを口にする。
「月影龍華が見つかった……今すぐ来い!」
(見つかってしまったのか!?)
「待て!」
私が身体をあげようとするが……身体が動かない……
(骨が何本も……)
「こいつは放っておいても動けない。行くぞ……」
江田という男の言葉に風雷はついて行く。
(龍華様だけでなく、あの二人も危ない!)
判断を見誤った……!!




