第24話「異変7」
「うぉぉぉ!」
時雨は時の能力を左手に圧縮させる。
先程まで俺に負けてクタクタだった分、余力がないことは分かっていたためフラフラしながら能力を使う。
「やめろ!これ以上は能力が暴走するぞ」
天堂が指摘するが…
時雨はニヤリと笑っている。
(時の力が暴走したら……)
同じことを考えたのか天堂と俺の顔は青ざめる
「やめろ!」
同時に時雨に攻撃をしようとしたが………既に…………
時雨に意識はなかった。
(俺の予想が正しければ…この後)
意識のない時雨の左手に暴走した能力が容赦なく時を圧縮させる。そしてそれが今開放される……
後にこの異変は語り継がれ、この技はこう名付けられる。
”クロノス”!!
その技は神の名がつくほど恐ろしく、被害を出した技だった。
「逃げろ!!」
いつも冷静な天堂が珍しく焦り出す。それは当然……あれは時そのもの、当たれば何が起こるか分からない…そしてこの技の範囲も分からない……”未知”そのもの。
クロノスは発生した場所から一定スピードで大きくなっていく。そこで俺は時雨の意識が回復していることに気づく、その目はとても…悲しそうな目をしていた。俺は半分能力にのみこまれている時雨の手をつかもうとしたが……天堂が俺の手を止め、
「諦めろ…」
そう一言いった。
「待って!まだ試験の幻術で起きていない人がたくさんいる!」
剛が叫ぶと…
「平安…」
下城がそうつぶやき、何千という多くの人?を召喚する。
「学校で寝ている人達を連れて逃げて!」
そう指示をする。…が、逃げていた生徒、教師多くの人があの技にのみこまれていく。
「ダメだ間に合わない…」
天堂はそうつぶやき、刀を構える。それを見た俺も止まり、刀を構える。
「念の為、刀をこの技に当てるな…」
俺はそれを聞いて
「真夏の盤「夏早閃」」
を今度は斬撃として打つ。
そして天堂も
「ユダ…」
とあの時の技を繰り出す。
最初に俺の技が当たるが時の力によって消滅する。
(くそ…ダメか!)
隣で巨大になった刀で技を繰り出す天堂。
その技も暴走した時の力を前に消滅する。
「ちっ…」
天堂は舌打ちする。
その後も技を繰り出すがついには目の前まで暴走した時の力が来る。
今まででも多くの人がこの技にのみこまれてしまった……けど後ろにはその何十倍の人数の生徒や教師がいる。このままじゃ……
(筒姫の能力であらかじめ遠くの場所にマーキングをしておけば全員助かったかもしれない……もっと努力をして”防御”重視の真冬の盤を解放すれば何とかできたのかもしれない…)
俺の心の中で後悔がたくさん浮かび上がってくる。
…………。
そう思っていると天堂はふっと笑う
「皮肉にも俺は第1位のくせに守れないなんてな…」
目の前まで来る技に天堂は俺を背負って後ろに飛ぶ。
「避難は間に合わない!」
下城が言う。
「少しでも動きを遅くするために能力を撃ち込め!!」
叫ぶ教師…
学校の屋上まで飛んで天堂に下ろしてもらう。時の能力はまだまだ広がり続け、縦の大きさは学校の屋上ほど大きくなっている。
(能力や技は時の力によって消滅する……この能力は下手したら永遠に広がるかもしれない”暴走”状態。止める手だてはないのか?)
そう諦めかけていると……。
(佐保姫さん!あの人の能力を使えるところまでリンクしていますか?)
筒姫が心の中で叫ぶ。
「能力……”反射”!!」
俺はつぶやく。
(そうかこれなら!ありがとう筒姫!)
「神刀 佐保姫「神姫解放」!!」
天堂が俺に何かを言いかけたが、猛スピードで時雨が最後に放った奥義に向かっていく。
(お主!さては忘れていたな?)
佐保姫が怒っている。
(悪い悪い!また俺に力を貸してくれ!)
俺が頼むと
(勢いよく行くのはよいが、やるなら”反射”の能力を刀に纏ってから”斬撃”で打ち込むんじゃ!)
確かに…直接触ったり、一度当たっただけでも即死しそうだからな…
そう察し、俺は一つ質問をする。
(能力って刀にどう纏むんだ?)
(気合いじゃ!!)
(………)
でももう後戻りは出来ない…時の能力の前まで来てしまっている。
俺は刀を振り出し、光樹や時雨が手に能力を纏っていたことを思い出し、刀に能力を集中させ、やがて刀は白いオーラを纏い出す。
(ハァハァ…これで…いいのか?)
能力を使いっぱなしなんでかなり辛い…
(うむ!十分じゃ!行け!)
「鏡斬桜」
そう言って放った技は恐ろしく広がった時の能力に斬撃として向かう。
「斬撃じゃ無理だっただろう!?」
光樹が叫ぶ。
「いや…」
天堂がそうつぶやき…
俺の斬撃は直撃する。俺はニヤリと笑い
ドーーーーンと轟音がなる。
時の力を反射したため、二つの大きな暴走した時の能力が、ぶつかり合った状態となり、やがて均衡を保てなくなり、
ギューーーーーインと大きな質量が圧縮されていく。
「まずい…」
そう叫んだ天堂や上位の人達を中心に前に出る。
ドーーーーーーーン
と質量が解き放たれ、こちらに眩しい光のように向かってくる。
俺はその質量を直に受けて空中で気絶する。
「ニュートン」
俺は重力を操って地面を壁のように変形させる。
その壁に質量が激突し、ものすごい風や音が向かってくる。
やがて、その場は静かになる…
「怪我人の治療と生存者の確認を!」
その教師の指示で急に慌ただしくなる。
闇鬼は光樹に
「何があったのか説明してくれ…」
そう言っていた…
「刀夜〜!!」
剛と下城、天堂は刀夜の所に駆け寄る。
刀夜はかなり衰弱していた。あの質量のエネルギーを食らったから当然と言えば当然だ……消滅しなかっただけでもすごいことだ…。
(一刻も早く治療しないと……)
「江戸…」
(手術で有名な偉人…これなら!)
「剛!安静な場所へ運ぶわよ!」
(あんたにはまだ死なれちゃ困るのよ!)
「俺が運ぼう…」
天堂がそう言い、刀夜を背負い安静な場所へ運ぶ…。
そして私が召喚した彼は手術を始める…が、途中で消えてしまう…。
「ダメって…こと?」
私がつぶやくと続いて二人も
「おい!刀夜!」
「俺に勝つんじゃなかったのか?」
と悲しい顔をしている。
そんな暗い雰囲気の中一人の足音が向かってくる。




