第11話「中間テスト7」
「始め!」
俺は桜を取ろうと桜が落ちてくる場所を予測し、向かい取ろうとする。
(やっぱり楽勝……)
そう思った時、桜は高速なんで遥かに凌ぐ速度で落下する。それは俺の手を貫通する。
(手が!?)
「落ち着け、ここは精神世界、手という概念は無いから現実の手はそのままじゃ……ただし精神世界で一度消滅した手は、精神世界に一度入り直さなん限り直らんがな」
(それってつまり……)
「チャンスはあと一回ってことかよ!?」
「おぉ〜よく気づいたなそうじゃよ。両手を失ったらお主は現実に帰ってあの天堂とか言うやつに”殺される”それだけじゃ……」
(でも貫通する程の速度の桜をどうやって取れば……しかもチャンスは一度……)
「ちなみに桜は取ろうとする意識をした時にあの速さになるぞ。」
(どうする?一か八かでチャレンジするか?)
お寺には木刀が何本か置いてある。「雪の盤「冬眠冬華」」を左手に集中して発動して衝撃に耐える?
(これが一番有効そうだ……)
「もうチャレンジするのか?」
「ああ……クリアしてやるよ!」
木刀を持ち、庭に出て桜の木の下に歩いて向かう
俺は左手に集中して「冬眠冬華」を発動する。
(狙いはあの桜……取るぞ)
桜のスピードは上がり俺の左手目がけて向かってくる。
桜が俺の左手に直撃する3mm前で「冬眠冬華」にぶつかる。
いくら左手の耐久力が強くなっても身体は耐えられないので俺は桜が飛んできた方向とは別の方向に飛ぶ。
どの方向に向かっても桜はついてくるので衝撃がぶつかり続ける「冬眠冬華」にやがてヒビができる。
(持ってくれよ……)
パリーン
最悪の音がした。
(冬眠冬華でも耐えられないなんて……)
そのまま左手を貫通していく。
俺の身体は吹き飛ばされ……両手を失ったので勢いを殺せないまま桜の木に激突する。
(終わった……試練は…)
桜の木に激突したことで大量の桜がヒラヒラと舞落ちてくる。
(もう桜がトラウマになりそうだ……)
「諦めるのか?了承したら現実世界に戻してやるが……」
(いや……諦め……るかよ!!)
そうして俺は木刀を口で持って
「手で取るのはやめだ!木刀で桜を刺してやる!」
俺は立ち上がり、木刀で刺そうとした。
だが……不思議なことに桜の速度は上がらない……
(???)
俺は桜の真ん中を捉えて木刀で刺そうとするが、口で支えているため、ブレて針に糸を通すぐらいの難しさだ……
数十回のチャレンジの末、俺は木刀に桜を刺す……
(やった……)
その瞬間
「おめでとう!試練突破じゃ!!」
「そんな方法で強引に桜を取ったのはお前が初めてじゃよ。」
「それにしても……なんで速度が上がらなかったんだ?」
(いや…冷静に考えれば、佐保姫は取ろうとする”意識”をした時に速度が上がる……つまり、俺が刺すと言う思考になったから桜の速度は上がらなかったわけか……)
「どうやら気づいたようじゃな……」
「手でキャッチとは言っておらん!頭でも口でもなんでもいいからキャッチすれば良かったんじゃ!」
「頭に乗せるだけでも良かったのかよ……」
「この試練は、”冷静に考えること、無意識に物事を行うこと”を強化する修行でもあったんじゃが……」
「まぁそこはまた修行するとして、わしがお主を認めたことによってお主は春の力を100%使えるようになった。じゃが100%は最終奥義……使い所は考えよ!それに今回は使うな?お主の体力は戻っておらんから使えば身体が耐えられずに死ぬ……」
「分かった…色々とありがとうな…」
「物事は”冷静”に考えよ!現実世界に戻るにはそこの門を通っていけ。」
後ろを見ると門が出現している。
俺はそこを潜り抜け目を開ける。
(うおっ?)
目の前には雷の龍が迫っていた。
(それと……なんだ?この力は……)
気づくと俺はピンクの桜の模様のある裃を着ていた。
脳内で佐保姫の声が響く。
(真春の盤 神刀 ”佐保姫”じゃよ?今の力で50%ぐらいじゃな……今の体力じゃそれが限界じゃな)
(佐保姫がなんで俺に話しかけれるんだ?)
(真春の盤 神刀佐保姫を解放した時のみお主の思考に干渉できる。とりあえず今は戦いに集中せよ。)
そう言われて俺は戦いに意識を戻す。
(わしに合わせてこう唱えよ。)
(真春の盤 「春眠」)
「真春の盤 「春眠」……」
すると桜の龍が出現して雷の龍に向かっていく、互いの龍は衝突することなく、桜の龍が雷の龍を飲み込み、中で何百という斬撃を受け、雷の龍は消滅する。
(これが……真の春の盤の力?)
(こんなので驚くな……まだ50%じゃぞ?)
俺はふとつぶやく
「俺はまだ強くなれる!」
天堂は驚いた顔で俺を見ている。
「本当に面白い奴だ!」
そう言って俺の背後にまで来ていた天堂は刀で俺を斬りつけようとする。
それを俺は無意識にスレスレで避ける。
そしてカウンターを食らわせようとした。その時だった……
ドクンと心臓が痛みだし、俺はその場に倒れる。神刀が元の刀に戻ってしまう。
(服も戻っている。反動か……佐保姫の声も聞こえなくなった。)
天堂の刀は俺の首スレスレで止まる。
「お前との戦い面白かった。本気で戦う日を楽しみにしている。」
そう言ってゴールに向かって去っていく。
(この力があれば……本当に……)
そう考えていると、
「お前は危険そうだからここで殺しておく……」
そう言って天堂の攻撃から逃れていた者が機会を伺っていたのか、ぞろぞろと出てくる。
(反動で……身体が動かな…い)
目の前にナイフが飛んでくる。
カキンッと甲高い音が聞こえ俺の前に二人、誰かが立ち塞がる。
「やっと追いついた〜!てかもうゴールじゃん!」
「俺は強くなるために高めあえるお前が必要なんだ!」
下城と剛だった。
剛は透明化して複数人の首を叩き、気絶させる。
下城は薙刀?を使って何かを召喚し、俺に肩を貸してくれる。
「もう時間がないわ!急ぐわよ!」
「二人とも……なんで? 」
「一緒に卒業するんでしょ?」
「一緒に卒業するんだろ?」
声を揃えて二人が言う……
「ああ!ありがとう!」
こうして三人でゴールの線をこえ、中間テストを乗り越える。
影では教師陣の中でこう言われている。
「実力主義なのに協力なんておかしな奴らだ」
さらに、
「確かにな、そう簡単にこの学校で”信用”はしてはいけない」
……っと




