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MINKU 時空を超えた物語  作者: 榊 直 (さかき ただし)
1章 コングと小さい女の子、そして魔女
3/41

第3話 魔女

 「仕方ないね」老婆の声がして、光が赤く輝き、老婆が現れた。「きゃー」ちいはびっくりした。


コングも目を丸くした。


「私のヘビもやっつけてしまって」老婆はちいの傷を見た。「血が少し出ているね」


老婆は青い光を手から放ち、傷口に当てた。みるみる傷が修復(しゅうふく)されていく。


「うわぁ。治った」ちいは喜んだ。


「魔法使いか?」コングは老婆に尋ねた。



「そうさ。この西地区では一番の魔法使いさ。お前さん達は誰だい?」


「俺は旅人だ」


「そこの娘は?」魔女が聞いた。コングもちいを見ている。何者か気になっていた。


「わたしは・・・わたしはわからない。さっきまで違うところにいたの。ここの世界じゃないもの」魔女は眉をひそめた。


(この服装も見たことないし、この子は一体誰だい)魔女は困惑(こんわく)した。


「とにかく、申し訳ないが、なにか食べ物はないか?腹が減って死にそうだ」コングが言った。


「仕方ないね。城へ入りな」魔女が言った。お城の中はたくさんのビンにくすりのようなものが入っていた。


 見たこともない動物の剥製(はくせい)もおいてあった。ロウソクの炎がゆらめいていて、明かりをともしている。


魔女は奥の部屋から食べ物を出して、「ほら、お食べ」肉や果物やらが出された。コングはムシャムシャとほうばった。


ちいも果物を食べようとしたが、何かへんな食べ物だと思った。


(おいしのかしら)ちいはリンゴのような黄色のものを少し食べた。ぴりっとした酸味があるが、水分は多くて美味しかった。


「魔女さん。わたしはね、どうしてここにいるかわからないの。いつもはパパとママと3人で暮らしているのよ。

学校にも行っているし、もっと生活はゆたかなの。ただ眠ると、このせかいにいるのよ。どうしてかしら」


「どうしてかしらね。初めてだよ。そんなことを言う子は」魔女も悩んだ。


「どうやってその世界にいくのだい」魔女が聞いた。「わからない。突然引き戻される。


たぶんむこうで目が覚めると戻れるのだわ」


「それまでずっといられるのだな?」コングが聞いた。「たぶんね」ちいも答えた。


 ちいは見慣れない生き物を見た。ミンクーだ。


「なあに、これ」羽の生えたもこもこした妖精(ようせい)だった。


「これはミンクー。空気のきれいな所しか生きられない。古くからいる妖精(ようせい)だ。さわってみるかい?」


魔女が聞いた。「うん、おいで」


ちいはミンクーにふれた。ミンクーはパタパタと少し跳んで、ちいの肩に止まった。


「回復させる魔法が使える妖精だよ」魔女はちいに教えた。ミンクーはちいのポケットに入った。


「こら、ミンクー。くすぐったい」そこで、パッとちいが消えた。コングと魔女はびっくり。


「ふたりで何話すのだい」魔女が言った。

挿絵(By みてみん)

西の魔女







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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しみに拝読しています
2024/03/30 18:14 退会済み
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